Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

日経新聞 9/23(日)

タイ水害で日系企業、無保険に/ホンダや東芝など、更新できず

ホンダや東芝など、2011年のタイ大洪水で被災した日系企業の工場で、水害に対して無保険の状態となる事例が相次いでいる。多額の補償金が発生、損保会社が保険の更新時に水害を対象外とするようになったためだ。防水壁などの対策は進んでいるが、当面は被災した場合の補償を得られないというリスクを負うことになる。

タイ洪水関連の支払いが日本の損保26社で総額約5000億円にのぼっており、損保全体でも過去最大の赤字(↓)を出しているので、さもありなんという感じはする。タイ政府としても公的保険を本格発売し始めたが振るわない、と書かれてもいるが、リスクが高すぎる現状においては、明らかに、保険制度よりも、ハード的な洪水対策を優先する必要があるのではないか。

○ 正味支払保険金は、東日本大震災等の自然災害への支払いにより過去最高額
○ 保険引受利益は、国内自然災害やタイ大洪水の影響により過去最大の赤字

幸せの数値化、解はどこに(日曜に考える 創論)

法政大学教授の小峰隆夫氏は「経済悪いと不幸も増大」として、国としては基本的に「成長」を追求する方法が最も効率的と説く。特に、幸福度の指標化が、価値観への介入に繋がる(例えば結婚した方が幸せ)として、政策目標にはそぐわない、とする意見には納得。
これに対して、京都大学准教授の内田由紀子氏は、内閣府の「幸福度に関する研究会」の委員も務める立場から、経済だけではなく「心身の健康」や「つながり(家族や地域との関係性)」も重要として、GDPに取って代わるものではないが重要性を訴える。
日経というメディアもあるのだと思うが、記事全体として、やや「成長こそが幸福の基盤」という小峰氏寄りの論調で、内田氏への質問内容も、やや批判的なものが多い。現在、OECDでは力を入れているともいうが、ここでも描かれているよう、以下のような過去の試行錯誤があまりうまく行っていないことを考えると、指標化は相当困難で、取組み自体に無理があるような感じもする。数値は個別指標でとらえた上で、個々の具体政策を深めるという今の方法しかないのでは?

    • 1970年代 国民純福祉(NNW)→「何が何だかわからない」の略だといわれ定着せず
    • 1990年代 新国民生活指標(PLI)→都道府県別のランキングが批判に

報道の不自由、デモあおる/反日、当局のてのひらに

国境なき記者団」が発表した報道自由度で179国家・地区中で174位(ミャンマーは169位)である中国による「半官製」デモとの解説。この記事もそうだが今回のデモに関して義和団の乱を引き合いに出す人がいるので、調べてみた。

当初は義和団を称する秘密結社による排外運動であったが、1900年(光緒26年)に西太后がこの反乱を支持して清国が6月21日に欧米列国に宣戦布告したため国家間戦争となった。だが、宣戦布告後2か月も経たないうちに欧米列強国軍は首都北京及び紫禁城を制圧、清朝は莫大な賠償金の支払いを余儀なくされる。この乱の後、西洋的方法を視野に入れた政治改革の必要を認識した西太后は、かつて自らが失敗させた戊戌の変法を手本としたいわゆる光緒新政を開始した。

つまり、国家とは無関係に国内で盛り上がった運動を、国が利用しようとして煽ったという点を指している。さらにその支援が結果的には失敗の方向へと助長するものとなったことを持って失敗への第一歩と捉える見方も多い。義和団の乱では日本人犠牲者が出ており、これも含めて日中の歴史は勉強したい。

徒競走は正しいフォームで/短期間でも練習効果

秋の運動会シーズンが近づいてきた。「徒競走で子どもが活躍してほしい」と願うのは親の常だ。「家族の前で格好良い姿を見せたい」というパパも多いだろう。短距離走は素質と思われがちだが、正しいフォームで走ればタイムは縮まる。短期間でも効果がある練習法を専門家に聞いた。

東京大学の小林寛道教授の推進する訓練方法を、実践できる専用マシン(カンド君)のある神田神保町のハイテクスポーツ塾の紹介と、東海大学高野進教授!による家でできるトレーニング方法が紹介されている。
よう太に記事だけ見せて、運動会で順位を上げてもらわなければ…(昨年より下がることは無いので)

都市化で「ゲリラ豪雨」増加/地形・ビル、影響の解明半ば

  • 10分間降水量が増え始めた80年代は気温の上昇傾向が明確化した時期と重なるため、気温上昇→水蒸気量増加が強雨の増加につながっている。
  • 一方で、都市化は上昇気流を促す原因になり得る一方で、水蒸気量の点で積乱雲の発達に逆効果との意見もあり、都市化がゲリラ豪雨と直接関係しているかどうかは不明。

埼玉や岐阜で夏の雷雨が多いのは都心のヒートアイランドの影響と理解していたが、そのことには触れられていなかった。さいたまのときは夕立が多いという感じもしたが、昔と比べて、というのはそれほど実感がないなあ。

川瀬巴水−詩情の風景(上) (16面・美の美)

以前も気になった、メビウス的な作風の版画家。歌川広重の再来と呼ばれたとのこと。
来年が生誕130周年ということで、各地で記念展が予定されているとのこと。見てみたい。

読書

物理学とは何だろうか〈上〉 (岩波新書)

物理学とは何だろうか〈上〉 (岩波新書)

「半歩遅れの読書術」の今月の小島寛之さんは、いつも手に取りやすい本を、読みたくさせる文章で紹介していて嬉しい。数式を極力使わずに平易な文章で熱統計力学を紹介した本で、ボルツマンについて書いた下巻の迫力が物凄いという。なお、今日、本屋で見かけた以下は気になった。
ナゾ解き算数事件ノート (すうがくと友だちになる物語2)

ナゾ解き算数事件ノート (すうがくと友だちになる物語2)


屍者の帝国

屍者の帝国

大森望さんによる紹介がいい。

作家の肉体は滅びても、その精神(=物語)は生き続ける。小説の力で伊藤計劃という存在を見事に甦らせた、史上空前のプロジェクト。その成功を心から称えたい。


復興の書店

復興の書店

「あとがきのあと」での著者本人インタビュー。「書店という場所が町を構成する重要な要素のひとつだという事実が震災によって浮かび上がったのではないか」というのは何となくわかるが実感に乏しい。そういう意味で読んでみたい。