- 作者: 山田由香,高野文子
- 出版社/メーカー: くもん出版
- 発売日: 2010/07/01
- メディア: 単行本
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じぶんがうれしいとき、わたしたちは、まわりの人のかなしみに、気づきません。
じぶんがかなしいとき、わたしたちは、まわりの人のうれしさがにくたらしくなります。人の気もちは、うれしかったり、かなしかったりのくりかえしです。
だから、ときどき、まわりの人の気もちを、想像してみてはどうでしょう?
そうすれば、もしかすると、だれかを助けてあげることができるかもしれません。そして、だれかに助けられたときには、もっともっとありがとうという気もちがわいてくるのではないか、と思うのです。
(あとがき)
山田由香『動物園ものがたり』は児童書で、内容も難しくないものですが、高野文子さんのイラストが素晴らしいこともあり、大人もきっと満足できる話になっています。
- 迷子の女の子、まあちゃん、
- ケンカばかりしているお父さんとお母さん、
- 楽しそうに手をつないだ夫婦、
- 飼育員のカバ係の井上さんと小林さん
- そしてカバのウメちゃん、モモちゃん
皆がそれぞれの思い(悩みやかなえられない願い)を持って、たまたま動物園ですれ違い、そして、「じゅもん」のお蔭もあって、少しだけしあわせになって帰って行きます。またくるね、と言って。
自分も、特に仙台にいた頃は2〜3ヶ月に一度のペースで動物園に行っていたので、動物園の、他の(人工的な)施設にはない、何となく特別な雰囲気を思い出しました。もしかしたら、あの雰囲気は、大自然の一端に触れることで「人間」を感じ、他の「人間」と話をしたくなるような、そんな空気なのかもしれません。また、ゆっくり立ち止まって眺めてみることが普段の生活に欠けているのかもしれません。
今回、この本を読んで、カバの耳ってどんな感じだったかと見に行きたくなりました。できれば、そこで出会った人と話をしてみたいですね。そして、新しい「まほうのじゅもん」を覚えて、また、「それぞれのものがたり」に帰りたい。
参考(過去日記)
←この本のときには、高野文子さんのイラストの「もう何も足したり引いたりしなくていい」完璧な感じを思わなかった。それほどに『動物園ものがたり』のイラストは強力だったと思う。