Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

日経新聞12/2(日)

消えゆく国家戦略会議 諮問会議、復活なるか

内閣府の幹部はこの半年間に、何人かの民主党の閣僚経験者らから同じ内容のことを聞かれた。
経済財政諮問会議はうまくいっていたのに、国家戦略会議はなぜ駄目なんだろうね」と。
今となっては「なぜ駄目だったんだろうね」がぴったりくる。野田佳彦首相が公表した同党の衆院選マニフェスト政権公約)は、戦略会議への記述がない。「首相直属の国家戦略局で予算の骨格を決める」とうたった2009年の鳩山マニフェストとは別物だ。

記事によれば、戦略会議は、諮問会議と比べて「予算と重要政策に関われない会議」「決定権のない会議」で、似て非なる会議だという。結果として、政治が重要事項を直接指揮できない(官僚に任せる)仕組みになってしまったというのが、ここでの主張。記事は、自民党政権公約に「諮問会議の復活」の文字が無いことを指摘して結んでいるが、確かに復興費の横流しのような事態を避けるためには、もう少し政治側のチェックが厳しく働くやり方にするべきだ。
ところで、記事の中では、ダメ出しをされている野田政権下のフロンディア分科会の成果の中で、ひとつだけ評価するものとして「40歳定年制」の話が出ている。これは、あまり内容について知らなかったが、雇用の流動化で労働生産性を高め、国家の衰退を防ぐ狙い産経新聞8/2)という意図のようだ。

座長は東京大学大学院経済学研究科の柳川範之教授で以下のインタビューが読みやすかった。

40歳定年制のポイントは、正規社員の基本契約をいったん40歳にしてみたらどうですか、ということです。そこで切る必要はなく、もっと長い30年契約、40年契約でもいいですし、もう少し短い契約でもいい。いろいろな期間なり働き方の契約を多様に認めることにしましょうという考え方です。現状ですと、非正規の短い雇用の繰り返しと、正社員で60歳まで働くのと、この2種類しかないので、そこをもっと多様な形の雇用契約で、多様な働き方ができるようにしたいということで40歳定年制を提言しました。

記事を読んでみ、考え方には共感できたし、この人自体にも興味を持ったので、少し本も読んでみたい。

元気と勇気が湧いてくる経済の考え方

元気と勇気が湧いてくる経済の考え方

原発事業存続へ提携模索(7面)

火力発電設備を中心とする電力システムの事業統合で合意した三菱重工業日立製作所。11月29日に都内で開かれた会見では両社社長が意外なほど原発事業統合に前向きな発言をした。

2005年以降、米国などで新設計が動き出す「原発ルネサンス」が盛り上がるも、福島原発事故シェールガス革命で先行きがかなり厳しくなったとのこと。
世界の原子力は2030年に2011年比で8割増。世界的に見てもしばらくは原発の技術に頼っていく必要がある中、安全管理の技術はどんどん普及させていくべき。脱原発にしても、脱原発依存にしても、卒原発にしても、その技術が不要となるわけでは無いので、維新の会の「フェードアウト」ではないが、ソフトランディングのできる原発ゼロを模索して、国内の原発技術が途絶えさせるような変な方向に進まないでほしい。

読書欄

ノーベル経済学賞の40年〈上〉―20世紀経済思想史入門 (筑摩選書)

ノーベル経済学賞の40年〈上〉―20世紀経済思想史入門 (筑摩選書)

最近読んだ『日本破滅論』では、日本の経済学者は、自分の専門の経済モデルに、社会を無理矢理あてはめて、お決まりの政策メニューを提示する「マクド経済学者」が多いと罵倒されていた。今度の選挙でも、安倍さんの主張する内容やTPPの是非に、経済学者が賛否両論でよく分からない。ということで、もっと知りたい経済学についての本2冊。
前者は「最新の経済学の具体的な内容を知りたい人の期待に応えた格好の現代経済学ハンドブック」とのこと。中でも人物紹介が面白いとされ、読みやすそうではある。「底意地の悪い記述や八つ当たり気味の部分も多い」とのことで、著者の憤懣がかなり出てしまっている内容のようで、そこが気になる。上下巻の本のようなので、ノーベル経済学賞受賞者で気になる人がいたらその人の部分だけ読みたい。
後者は、経済政策に対する「幻滅」の背景を分析し、経済学の論理の力と限界を知り、「経済の論理だけを言いつのらない品性が求められる」と結ぶ内容のようで、好きになれそうな本だ。限界を知った上での「何ができるか」と考えることは、社会問題を解決する上では、とても重要な視点な気がする。


上海、かたつむりの家

上海、かたつむりの家

かたつむりの殻のような小さな借家で、節約のために毎日インスタント麺を食べる生活を送る姉妹を中心とした物語。上海では、本書を原作としたドラマを1週間で突然打ち切ったというが、それだけ中国の問題を抉るリアリティのある話だからなのだろう。


ユーロ破綻そしてドイツだけが残った 日経プレミアシリーズ

ユーロ破綻そしてドイツだけが残った 日経プレミアシリーズ

こんなタイプの表紙の新書があるのかと初めて知る。
ドイツがとりあえずユーロを救うかたちとなるか、ユーロ崩壊となるか、著者は後者がより現実的だと考えるようだ。難しい問題だが、「ユーロ圏経済の構造的な弱みをクリアに整理している良書」とのことで、安価だし背伸びして読んでみたい一冊。