「サウジアメリカ」と日本(2面・風見鶏)
「サウジアメリカ」を最初に使ったのは、知る限りウォール・ストリート・ジャーナル社説(2012年11月13日)である。
17年までに米国がサウジアラビアを抜いて世界一の産油国になるとする国際エネルギー機関(IEA)の見通しを論じた記事だった。12月にはフィナンシャル・タイムズにも登場した。ただし内容は、いずれもシェールガス・オイルに注目したエネルギー革命論だった。
頭の整理になったのでメモ。
サウジアメリカによる米国への影響(対中国)は以下の通り。
- 中東原油依存がなくなることにより
- 中国を意識して中東からアジア重視に軸足を変える(リバランシング政策)
- それでも米国が中東への関心を維持する理由
- 政治的影響力の大きいユダヤ系の支持を得る
- 中国の影響拡大を防ぐ必要
⇒リバランシング政策は自己矛盾で不可能
サウジアメリカによる日本への影響は以下の通り。
したがって、サウジアメリカを中心とする世界をどう描くかという観点で日米共同の行動計画を作る必要。
原発、活断層問題で「淘汰」 安全立証責任、電力会社に(11面・日曜に考える)
全国の原子力発電所で活断層の有無による「淘汰」が始まった。原子力規制委員会が現地調査をするのは6原子力施設。原子炉建屋直下にある可能性が高いと判断した日本原子力発電敦賀原発2号機(福井県)では再稼働を認めない方針を打ち出した。東京電力福島第1原発の事故は津波が主な原因とされ、敷地内の活断層とは直接関係がなかった。なぜ、活断層が大きな問題になっているのか。
- 1995年の阪神大震災を契機に原発と活断層の問題が注目されるように
- 2001年から原発の耐震審査指針を改定する議論が開始。作業は遅れるも2006年に改定。
- 耐震性の再評価が始まるが、大半の電力会社は耐震工事を迫られると費用負担が大きいため、非協力的で時間稼ぎに終始。
- 2011年の東日本大震災
- 2011年秋に保安院による再調査の指示。
- 2012年9月に規制委員会が発足し、改めて活断層の再評価を進めている。
このとき、活断層認定のルールが保安院と規制委で大きく異なるのがポイント。
これにより電力会社は引き延ばし戦略を使えなくなり、立証責任を負うという立場の逆転が生じている。
また、活断層の位置によって対応が変わる。
なお、東通原発の場合は、原子炉建屋から数百メートル離れた場所に活断層ということで、対応を審議中。
再評価によって耐震工事が必要とされコストを考えて廃炉の道を辿った原発に浜岡原発1、2号機がある。(2008年)
感覚的には、「無いことの証明」は「悪魔の証明」になってしまうので、最近のニュースでよく放送される島崎邦彦委員長代理の「活断層が無いと電力会社が証明できなければ運転を認めない」という物言いは気持ちが悪い。しかし、歴史を紐解けば、阪神大震災を受けた耐震性の見直しの機運を押しとどめてきたのは電力会社であるから自業自得という見方もあるだろう。
しかし、原発は半ば国策であることを考えると、耐震工事などの費用負担について両者が歩み寄りやすい仕組みになっていなかったことが問題であるように思う。
読書欄
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近年の三部作と異なるのは、映画『パリ、テキサス』『トーク・トゥ・ハー』、パチスロ『獣王』など実に多くの通俗的な事物を介して不確かな生の刻印を探ろうとしている点だろう。犯人たちは驚くほど饒舌(じょうぜつ)に細部を語り、それによって人間観察が深まり、人間存在の根源がすこしずつ見えてくる。高村薫にしか書けない内面探索の文学である。
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この本は最近流行りの歴史フィクションではない。何と言えばいいのだろうか。ともかく真実の歴史絡みの本ではあるけれども、読んでいるうちに仰天してしまう。
かなり興奮した書き出しで始まるこの書評も、とても本を読みたくさせる。造幣局監事だったニュートンと贋金づくりの犯人ウィリアム・チャローの対決の話。HONZの紹介も熱いので、相当面白い話なのだろう。
造幣局監事としての数年間は、ニュートンの輝ける科学人生においては余白のようなものであったのかもしれない。だが、その余白を通すことによって、ニュートンが夢見た壮大なる科学、その輪郭のようなものが見えてくるから面白い。