
- 作者: あさりよしとお
- 出版社/メーカー: 学研
- 発売日: 1991/06/01
- メディア: コミック
- 購入: 2人 クリック: 29回
- この商品を含むブログ (22件) を見る

- 作者: あさりよしとお
- 出版社/メーカー: 学研
- 発売日: 1992/05
- メディア: コミック
- 購入: 8人 クリック: 36回
- この商品を含むブログ (26件) を見る
最近になって、twitterのタイムライン上で、学研「5年の科学」に連載していたこの漫画の存在を知り、漫画だったら勉強本でも拒まないよう太に読ませることにした。
勿論、自分も期待はしていたが、所詮は学研の連載漫画だと見くびっていた。当時の最先端の科学トピックをつまみ食いする1巻は、面白いながらも一方で「こんなもんだろう」と思っていた。*1ところが、ロケットの話題がメインの2巻(タイトルは「ロケットの作り方おしえます」)がものすごくいい。
「考える」ということは、難しい話題を追うことではなく、実際に「試行錯誤」することなんだと痛感するストーリー運びは素晴らしかった。
全体の流れはこう。
小学5年生のよしおとあやめの前に、突然、ロケットの神様が出てきて、ロケットに関係するものなら何でも出してくれると言う。ただ、そのアイデアは自分で考えなければならない。
宇宙に行ってみたい二人は、こんな形ならどうだ、これなら上手く飛ぶのでは?と作っては壊し作っては壊し、まさに「試行錯誤」する、というストーリー。しかもゴダードやフォン・ブラウン、ツィオルコフスキーなどの偉人たちのサポートつき。彼らが教えてくれるロケットの作り方はこんな感じ。
- どんな風に宇宙に行く?そのために必要なものは?
- 人工衛星のように地球の周りを回りたい。
- そのためには物を投げたときに描く放物線が地球のまるみに沿う(落ち続ける)ようにする。
- したがって宇宙に行くには「速度7.9km/s」が必要。
- でも、それだけじゃダメ。
- 速度が十分でも地球を周回できないのはなんで?
- ロケットの形はどうすればいいの?
- 飛び方をコントロールするには?
- 宇宙船の重さをどのように運ぶのか?
- 単にV-2ロケットのサイズを大きくしても解決できない。(その分だけ重量が増すため)
- であれば、エンジンの数を増やせばいい。
- エンジンを増やしただけでは宇宙に出てからの「おもり」が増えるため、使い終わったものの切り離しが必要。
- 乾電池の直列つなぎのような多段式ロケットでは、最下段のロケットのパワーが不足。
- 「たばね式」もしくは、上ほどサイズの小さい「多段式」の切り離しが必要。
- さらに地球に戻るための逆推進ロケットをつけて、やっと宇宙へ…。
(上は、試行錯誤するゴダードと二人)
その後、7.9km/sよりも速い11.2km/sが必要な月世界旅行に行く話もあるのだが、やはり一連の試行錯誤を経て宇宙に出るまでのやり取りは本当に分かりやすいし勉強になった。Wikipediaを見ると、あさりよしとおは「宇宙作家クラブの会員で、無類のロケット好き。ロフトプラスワンのイベント「ロケットまつり」にも出演。」とあるから相当造詣の深い方なのだろう。
どんな分野でも専門用語がたくさん出てくると、それを覚えるだけで知った気がしてしまうものだが、それでは本当に理解できていないということに気付かされた、と同時に、こんな形なら、分かりやすく伝えることができるという見本を目にすることができた。先人たちへの愛もたくさん詰まっているし、まんがサイエンスの2巻は傑作です。
参考(過去日記)
- 宇宙キター!〜的川泰宣『宇宙ロケットのしくみ(子供の科学サイエンスブック)』(2012年11月)
⇒実際の写真が豊富なこの本も欠かせない。この本と『まんがサイエンス(2)』の2冊があれば、ロケットの基礎はかなりしっかり学べるのでは?と思います。ツィオルコフスキー、ゴダード、オーベルトの3人はこちらでも取り上げられてました。
⇒ロケットではなく、人工衛星に焦点を当てたこちらの本なら、衛星技術が身の回りにどのように役立てられているのかも意識しながら勉強することができます。こちらは、やや飛ばし読みして終わらせてしまった部分があるので、また読もう。