Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

僕たちの好きなキャプテン翼〜『キャプテン翼の必勝サッカー』

キャプテン翼の必勝!サッカー 満点ゲットSPORTS

キャプテン翼の必勝!サッカー 満点ゲットSPORTS

児童書コーナーをよくご覧になる方はご存じの通り、一昔前と比べると、アニメや漫画キャラクターによる学習本は格段に増えている。これは、自分が子ども自体に夢中になった、学研の「ひみつ」シリーズや歴史漫画とは異なり、漫画のキャラクターが先生代わりになって、主に小学校の各科目についての知識や勉強のコツを教えてくれる内容の本だ。
シリーズ化されているものに、ドラえもん名探偵コナン、ちびまるこちゃん、クレヨンしんちゃん両さんがあり、数えられないくらい多数の本が出ているだけでなく、キャラクター同士で、同じジャンルの本が競合している状況にある。例えば
両さんの地図大達人 (満点ゲットシリーズ/こちら葛飾区亀有公園前派出所)

両さんの地図大達人 (満点ゲットシリーズ/こちら葛飾区亀有公園前派出所)

名探偵コナン推理ファイル 地図の謎 (小学館学習まんがシリーズ)

名探偵コナン推理ファイル 地図の謎 (小学館学習まんがシリーズ)

クレヨンしんちゃんの47都道府県なるほど地図帳 (クレヨンしんちゃんのなんでも百科シリーズ)

クレヨンしんちゃんの47都道府県なるほど地図帳 (クレヨンしんちゃんのなんでも百科シリーズ)


ところが、これらの本の中には、本業について教えている本はほとんどない。例えば、江戸川コナンが探偵業について教えたり、ドラえもんがロボットについて教えたり、両さんが警察組織について教えたりする本はほとんどない。だからどうしても漫画に無理が出てしまう。


そういう意味で、今回取り上げる本は、まさに餅は餅屋とばかり、サッカー界のスーパースターがサッカーを教える、非常にレアな本だと言える。


しかし、この本が凄いところは、その部分ではない。
翼君が「教えてくれない」ところが素晴らしい。
漫画部分が、「キャプテン翼そのまま」になっていて、教える意図があまり見えないのだ。
まず、とにかく絵がいい。ドラえもんであれば、岡田康則さん、名探偵コナンであれば、阿部ゆたかさん・丸伝次郎さんなど、ある程度固定した漫画家の方が描いていたとしても、やはり、それぞれ原作との微妙な違いに目が行ってしまったりする。
しかし、このキャプテン翼は、ものすごく上手いかといえばそうではないが、ちょっと下手だったり力が抜けていたりするところも含めて、小学校〜中学校編のキャプテン翼そのものであるように感じる。
それだけでなく、あまり「教える」ことを意識しないため、各キャラクターが自由に個性を発揮する。


例えば、石崎君はやはり顔面ブロックする。(注意:ヘディングの仕方は載っていますが顔面ブロックのやり方は載っていません)


交通事故のリスクなどを考えると、どう考えたって無理筋な、練習の行き帰りも一切手を使わない「ボールは友だち」理論は、21世紀にも健在だ。(注意:当然、この本で特に推奨されているわけではありません)


学習漫画にもかかわらず、ブラジルから来たサントスは、積極的にラフプレーを仕掛ける。(注意:反則にならないチャージの仕方などの実用的な方法は載っていません)


そして、当然のように最後はオーバーヘッドキックで試合が決まる。(注意:オーバーヘッドキックのやり方は載っていません)


全くスポーツに関心がないが、学習漫画は積極的に読むよう太に買い与えたら、繰り返し読んでいるところを見ると、サッカーに関心を持たせるという当初の目的は果たして余りある内容の本だった。
でも自分でボールを動かして上達しようとすれば、漫画部分以外を読まなくちゃいけないので、その部分は減点。
それでもやっぱり、ここには「僕たちの好きなキャプテン翼」があって嬉しくなれる本です。