Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

日経新聞5/26(日)

物価上昇、世界で鈍化(1面)

世界各国で物価上昇率が鈍化する「ディスインフレーション」が広がっている。新興国経済の減速で商品価格が下落しているためで、主要30カ国の消費者物価指数(CPI)の上昇率は今年1?3月、2年半ぶりの低水準となった。インフレ警戒を緩める各国中銀は追加緩和で通貨供給量を増やし、これが株式などの資産市場に流入。日本などでの急激な株価変動の一因になっている。

ディスインフレーション」について、きょうのことば欄に「インフレーションではなくデフレーションでもない状態」と書いてあり、悩んでしまった。ディスインフレが続けばデフレに陥る可能性が出てくるから、とのことだが、世界レベルで調整するのは、もはや不可能ではないか、と考えてしまうのですが…。

アフリカ市場、開拓のカギは 加瀬豊氏とポール・コリアー氏に聞く(9面:日曜に考える)

6月1日から横浜市で「第5回アフリカ開発会議(TICAD5)」が開かれる。急速に成長するアフリカの課題は何か、日本はどう向き合うべきか。経団連サブサハラ地域委員会の加瀬豊委員長(双日会長)と、アフリカ開発問題の第一人者である英オックスフォード大のポール・コリアー教授に聞いた。(聞き手は編集委員 松尾博文、古川英治)

ポール・コリアーさんの意見の中では成功例としてルワンダを挙げ、カガメ大統領は民主主義者とは呼ばれていないが、、この5年で貧困率を大幅に下げたと評価している。つまり国家よりも部族への帰属意識が強いなど、様々な要因があり、現段階では民主化は二の次という意見で、興味深く読んだ。
TICADについては、中国の影響力を均衡させる一つの手段であり、透明性や統治の問題を改めて強調する場として意義は大きいと述べている。

遺伝子の働き、環境で変化 進む研究、創薬・診断に応用(17面・サイエンス)

食生活やストレスといった後天的な要因で遺伝子の働き方は変わることがわかってきた。「エピゲノム」と呼ぶ現象で、がん、精神疾患の新薬開発や生活習慣病の発症予測といった新しい医療につながるかもしれない。ヒトゲノム(全遺伝情報)の完全解読から10年。想像以上に巧妙で緻密な遺伝子の世界に迫りつつある。

今日一番印象に残った記事。
アンジェリーナ・ジョリーの両乳房切除のニュースで遺伝子検査に注目が集まる中、この動きは面白い。というより、ちゃぶ台をひっくり返している感じだ。遺伝子が働くか働かないかのスイッチが後天的に決まるのなら、全てが遺伝子で決まっているという前提自体が成り立たなくなる。ここで挙げられている症例としては、糖尿病や肥満などの生活習慣病の発症についてだけでなく、「発達障害なども治せる可能性がある」という。エピゲノム解析は「ビッグデータ時代の生命科学の象徴」という締めの言葉も面白く、もう少し突っ込んで知りたい内容。

縮む死海、悩む観光 毎年1〜1.5メートル水位低下、海水注入案も(34面・世界いまを刻む)

中東の塩湖「死海」は日本でもテレビの旅番組や旅行雑誌などでしばしば紹介される有名観光地だ。死海の塩や泥を使った美容関連商品は日本でも愛好者が多い。しかし水位は年々低下している。周辺の人口増や工場建設で取水量が増えた一方、気候変動による少雨が続くことが要因だ。このままでは湖が消滅しかねないと、周辺の観光業者は不安を募らせている。

水位低下の要因は、周辺の人口増や工場建設で取水量が増加する一方、気候変動による少雨が続いていること。
水位低下のスピードがよく分かるエピソードとして「1980年代に建設されたホテルで、完成当時には水辺に面していたのに、現在は2〜3キロも離れてしまった」という例が挙げられている。紅海の海水をパイプラインで注入する案は生態系に与える影響の問題から実現していない、とあるが、一部の菌類を除いて生物が生息できない(だから死海)のだから、それほど考える必要がなさそうなのに…とも思う。
何より一国だけの問題でないことが問題を難しくしているのだろう。

読書欄

ジヴェルニーの食卓

ジヴェルニーの食卓

「本の小径」欄で一作品が紹介されているのは珍しいと思う。マティスドガセザンヌ、モネという近現代絵画の巨匠の人生に光を当てた4編からなるこの作品を、絵画鑑賞をあまり趣味にしていない自分がどのように読めるのかは、少し興味がある。勿論、山本周五郎賞受賞の『楽園のカンヴァス』も読みたい。なお、原田宗典実妹と知り驚いた。
楽園のカンヴァス

楽園のカンヴァス


殺す理由: なぜアメリカ人は戦争を選ぶのか

殺す理由: なぜアメリカ人は戦争を選ぶのか

「なぜアメリカはかくも戦争ばかりしたがるのか」という、この本の主題を扱った本として、油井大三郎『好戦の共和国 アメリカ』、ケネス・J・ヘイガンら『アメリカと戦争』が挙げられている。前者は新書で、日本人著者によるものだから読みやすそうだ。
好戦の共和国アメリカ―戦争の記憶をたどる (岩波新書)

好戦の共和国アメリカ―戦争の記憶をたどる (岩波新書)

アメリカと戦争 1775‐2007―「意図せざる結果」の歴史

アメリカと戦争 1775‐2007―「意図せざる結果」の歴史

  • 作者: ケネス・J.ヘイガン,イアン・J.ビッカートン,Kenneth J. Hagan,Ian J. Bickerton,高田馨里
  • 出版社/メーカー: 大月書店
  • 発売日: 2010/06/01
  • メディア: 単行本
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