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ディズニーブログは違法なのか?〜『違法ダウンロードで逮捕されないための改正著作権法』

違法ダウンロードで逮捕されないための改正著作権法

違法ダウンロードで逮捕されないための改正著作権法


昨日、以下のような話題でネットが盛り上がった。

30周年で盛り上がる東京ディズニーリゾート公式Webサイトで、「皆様に楽しく安全にお過ごしいただくために」と、いくつか文言が追加されたことが話題になっています。
(略)
今までもプレスや事前登録以外の「商業目的の撮影等」は禁止されていましたが、これに加え「公衆送信目的」での禁止が新たに明文化されました。普通に考えるとこの公衆送信目的というのはTwitterFacebook、ブログなどインターネット上に発信することを指しています。

午後になって、ディズニーランド側から追加コメントが出され、禁止としたのは「他のお客様等のご迷惑となる撮影および公衆送信」ということになり、一般客は勿論、特にディズニー系のブログは、ほっと一息をついたところだろう。自分もかなりはまっていた時期は、よくそういったブログに行ってはキャラクター達の雄姿を拝み、癒されていたので、とても安心した。
しかし、TDRは今回も半ば黙認というかたちにしたが、法律上はどうなんだろうか。


ちょうど読んでいたこの本は、タイトル通り、平成24年10月の法改正をメインに著作権法で禁じられている行為が分かるように整理された本。
そもそも法律関係は、最も関心が低い分野だが、無知が原因で、現実に違法行為を犯してしまったり、それについて何かの償いが必要になったりしたら困るので、基本的な部分だけでも知っておこうと思い読み始めたのだった。


タイトルにもなっており、H24年10月の改正で話題になった「違法ダウンロード」については、自分の認識はそれほど誤っていなかった。Youtubeなどは試聴だけであれば違法とはならないが、ダウンロードは(音声だけであっても)違法となる。また、適法な動画であると騙されてダウンロードした場合も、誰が見ても「騙されて当然」という状況でなければ、違法となる。したがって、公式なサイト以外からのダウンロードはしてはいけないという見解。


少し考えを改めなきゃなあ、と思ったのは、例えば複製権の部分。複製は私的利用の範囲ならコピーしてもOKと漠然と思っていて、他の人に配ったり売ったりしなければ大丈夫だよね、というのがこれまでの理解だった。
しかし、厳密に従おうとすれば、逆に考えなくてはならない。
つまり、「基本的にはOK」ではなく、「基本的にはNG」という考え。

複製権とは、著作権制度において全ての著作物を対象とする最も基本的な権利で、著作物を複製する権利である。著作権法において複製とは、手書き、複写、写真撮影、印刷、録音、録画、パソコンのハードディスクやサーバーへの蓄積その他、どのような方法であれ著作物を形のある物に再製すること(有形的再製)を指す

したがって、原則として、著作物の複製には著作者の許諾が必要となり、この例外の1つとして、私的使用*1を目的とした場合があり、引用を行なおうとする場合がある、と考えるのだ。


また、CDのコピーは大丈夫だが、DVDのコピーは「技術的保護手段の回避」という違法行為に当たる。したがって、現状のDVDソフトの状況では、購入したDVDであってもiPadなどで見ようとしてデータを吸い出す行為は違法となる。厳密に言えば、H24年10月以前も不正競争防止法による規制化にはあったが、法改正によって著作権法的にも違法となることになった。


一方で、グレーゾーンが緩んだものに「写り込み」がある。
まず、写真等を撮るということは、撮り方や対象の捉え方などにその人なりの工夫があり、オリジナリティが認められるため、多くの場合は、それ自体が著作物として認められる。
しかし、写真等を撮るときに、他人の著作物が写り込んでしまうことが許されるのかというのが「写り込み」の問題。
H24年10月の改正で、著作権者等の権利者に無断で撮影等をしたとしても、その者らの利益を害さない場合、すなわち分離して撮影することが難しい状況下での軽微な写り込みであるといったような場合なら許されることが明記されるようになった。しかし、あくまで「軽微な写り込み」であり、軽微でない写り込みについては、個別に判断されることになる。
具体例によれば以下の通り。

  • キャラクターTシャツの写り込み:子供にフォーカスしたものならブログ掲載などを行なっても問題がない。しかし、キャラクターにフォーカスしすぎた場合、また、繰り返し同じブログにアップした場合は、社会的に限度を超えた「利用の態様」であるとして、著作権者の利益を不当に害しているとされる可能性がある。
  • 人気キャラクターとの記念撮影:その場の撮影は許諾しているとみられる状況があっても撮影した写真のどんな方法の利用も許諾しているわけではない、とのこと。

例えば撮った写真を集めて無断で人気テーマパークの写真専門サイトを立ち上げたり商用目的で使用したりすることまで許諾しているとは考えられません。p72

つまり、今回話題になったディズニー関連のブログも「黙認」状態ではありながらも、法解釈上は、いつ違法とされ、処分の対象になるかは分からないということになる。
自分がよく行くディズニーブログは、毎日のようにパークに通って情報と同時にディズニー大好きという空気を発信し続けているというサイト。作成者の情熱と努力があってこそ成り立つし、実際、それを見てパークに足を運ぶ人も多いだろう。しかし、著作権者からの訴えがあれば、いつでも畳まざるを得ないという意味では脆いのかもしれない。
自分もブログをやっていて、写真の扱いや「引用」については、何となくという理解でやってきた部分も多い。日頃、何の気なしに行なっていることが、他人の権利を侵害しているかもしれない。そのことを時折チェックして直すべき部分は直すという意味でも、時折、著作権について考えていきたい。

*1:私的使用は「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内」の使用であるため、家族、もしくは、家族のつながりに準じるような強い個人的関係にある友人であれば、例えばCDのコピーを渡しても大丈夫ということになる。