さんてつ: 日本鉄道旅行地図帳 三陸鉄道 大震災の記録 (バンチコミックス)
- 作者: 吉本浩二
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2012/03/09
- メディア: コミック
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ドラマの中のことながら、来週のユイちゃんのことが心配になった自分は、これまでも何度か読んだこの本『さんてつ』に手を伸ばしました。
結論を言えば、ユイちゃんは無事に避難できたことが分かり、胸をなでおろしました。いや、そもそも3月11日に運行していた鉄道は、三陸鉄道も含め多数あり、震災当日は4本の列車が「行方不明」と報じられたものの、いずれも人的被害は無かったのです。*1
そして、あのときユイちゃんの乗った列車に何が起きたのか。、漫画の中では14時12分に久慈駅*2を発車した列車の様子も詳しく描かれており、知りたかったことがよく分かりました。それと同時に、ドラマを通して地域に触れた今回の読書が一番、三陸鉄道被害の全体像が咀嚼できました。そう考えると、ドラマや物語の持つ影響は大きいと、改めて強く感じたのでした。
特に、今回は、前回ぼんやりとしか読んでいなかった北リアス線と南リアス線の違いに興味を持って読むことができました。
被害が甚大だったのは釜石から大船渡(盛駅)を結ぶ南リアス線の方で、津波報道で何度も目にし耳にした場所です。
ユイちゃんが乗った久慈駅と宮古駅を結ぶ北リアス線の辺りは揺れも最大で震度5弱と大きくなかったようですが、それでも、中間地点に位置する(美しい駅としても有名だった)島越駅*3は津波によって跡形もなく流されてしまったのでした。
幸いなことに久慈駅付近は地形の影響もあり津波の被害もほとんど受けなかったようです。このため震災からわずか5日後の16日から無料で運行を再開することができています。勿論、そのために現地の三鉄の方たち(ドラマでいえば北鉄の大吉さんたち)が、どれだけ必死に働いていたかという部分がこの漫画の読みどころです。なお、石井光太氏のインタビュー部分と『遺体』の内容に触れた釜石での状況を紹介した部分は特に、涙無くして読めません。
なお、現状を知るため国土交通省のHPを見ると、北リアス線、南リアス線は来年4月に運行再開に向けて復旧作業が続いているようですが、両者を結ぶJR山田線は運行再開日時なし。また、知ってはいましたが、仙台にいた頃、自分がよく利用していたマンガッタンライナーの走る仙台〜石巻もまだということを改めて知り、震災の傷跡の深さを思い知りました。
ムックの方は新刊での入手は不可能のようですが、鉄道に特化した震災記録の本として以下の本も読んでみたくなりました。
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2011/08/20
- メディア: 大型本
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- 作者: 原武史
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2011/10/13
- メディア: 新書
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*1:例えば、こちらにわかりやすくまとまっています>http://book.asahi.com/booknews/update/2011083000001.html
*2:あまちゃんの舞台となっている北三陸駅は架空の駅で、モデルは久慈駅となります。
*3:震災時の写真はこちらです。http://www.shincho-live.jp/ebook/railmap/line-a/pht15.html