Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

日経新聞10/20(日)

よみがえる「列島改造」の幻(2面・風見鶏)

消費増税によって、「無駄な公共事業」が増えることに警鐘を鳴らす内容。
いわゆる我田引鉄の典型的な事例として大船渡線の別称として「鍋弦線」という言葉を持ち出している。駅配置の関係で直角4回という鍋の持ち手の形になったルートは確かに奇妙。
しかし、あまりに単純な公共事業批判の論調で違和感を覚えた。記事の最後には、大船渡線について、地元政界は「鉄道復活」を叫ぶが、地元高校生は「BRTの方が便利」と言っているという声を載せている。今後の乗客確保が難しいことを考えれば、やはり鉄道復活は相当難しいかと思うが、現在運行しているBRTも色々苦労しているようだ。

米企業、医療保険見直し/負担増大で防衛策(5面)

1980年代に、年金財政の悪化に苦しんだ米企業が、確定給付型の企業年金から、負担リスクの少ない401k(確定拠出型)への切り替えが進んだ。これと同様の流れが、医療保険で起きているという内容。
1面に厚生年金基金の4割が解散を検討しているという記事があったが、日本の医療・年金は同様の問題に対して、舵取りが遅く、どんどん厳しい状況になっているように思える。

歩行支援ロボ 日進月歩/脳の指令検知、より精緻に(17面)

歩くのが不自由になった人の歩行を助ける装着型の歩行アシストロボット。脳からの信号や重心移動などを捉えて動きを支援する仕組み。
ホンダが「アシモ」で培った人の歩行研究の成果を活かしているということに「そうか、何のためになるんだろう?と思っていたアシモがこんなところに!」と感動した。
なお、脳の指令の検知については、皮膚表面に流れる微弱な電気信号を太股あたりで捉えるため、ヘッドギアなどはつけないので、見た目も仰々しくない。

読書欄

土壌汚染 フクシマの放射性物質のゆくえ (NHKブックス)

土壌汚染 フクシマの放射性物質のゆくえ (NHKブックス)

東京電力福島第一原子力発電所の事故で放出された放射性物質による農地や森林の汚染について、東京大学農学部の科学者らが取り組んできた研究成果をまとめた本。
特に食べるものについて、いろいろな情報が飛び回っているからこそ、そして今後同様の事故が生じたときの考え方の基礎を学ぶためにも読んでみたい本。


日本の医療の問題点、プライマリケアとは何か、プライマリケア先進国の最新の実践例、福島での災害医療との関わりについてまとめられた新書。冒頭でも挙げられている、そして、ヨーロッパやカナダなどで一般的な「家庭医」については、よく分からないが気になっているので、一冊読んでみたいところ。


小林一茶 時代を詠んだ俳諧師 (岩波新書)

小林一茶 時代を詠んだ俳諧師 (岩波新書)

2万超にも上るという一茶の残した句から、下層民の代弁者として語る句を多く取り上げ、その視点から文化文政時代を再現しようとした本。「君が代」や「世直し」と言った言葉を読み込んだ句にスポットライトを当てることで、批判者としての一茶も浮かび上がらせる。これも新書で読みやすそう。


森鴎外の『舞姫』は全く読んだことがなく、外国の奥さんが出ることと、森鴎外自身に近い主人公ということくらいの知識で、あらすじも知らなかった。が、著者自身が当初「女性である私にとってはたんなる『むかつく小説』」と感じたという舞姫は「ドイツに置き去りにされた妊娠した恋人が発狂するという結末」の本と聞き、今さらながら興味がわく。その恋人は実在して、鴎外を追いかけて日本にきた女性に迫ったのが著書の前作『鴎外の恋 舞姫エリスの真実』。彼女がドイツに帰ってからの話が『それからのエリス』とのこと。昔の文人は凄いなあ。


家族写真は「  」である。

家族写真は「 」である。

「家族」や「地域」をテーマにいくつかの本を出している写真家・浅田政志による写真集。「それぞれの家族には必ず「らしさ」があり、一つとして同じ家族はない。その「らしさ」が出た家族写真は、他人が見てもなかなかいいものなんです」という言葉に納得。