Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

日経新聞10/27(日)

温暖化 止まらぬ地球(17面・サイエンス)

IPCC第一作業部会が9月下旬にまとめた第5次報告書についての概説と、スーパー台風の増加についての記事。
現在課題となっているのは、90年代終わり頃から温暖化が止まったように見える「ハイエイタス(中断)現象」で、世界の平均気温の予測結果の多くは上昇が続く傾向を示し、現実とは乖離する。(世界平均で見ると、温暖化現象は中断している)。
これに対して海による熱の吸収量の観測・予測によってハイエイタスを説明できると期待が高まっている。つまり、現在は海水中に熱が蓄えられており、しばらくしたら気温が再度上昇するだろうということ。不安が高まる。

CO2削減目標を断念するな(社説)

温暖化に関連して、ちょうど社説では、CO2削減に対して環境省経済産業省が、削減目標を見直す作業を投げ出したことを嘆いている。

国連の気候変動枠組み条約第19回締約国会議(COP19)が来月11日からポーランドで開かれ、削減に向けた国際協力について話し合う。日本は国家目標を持たずに交渉に臨む。環境問題の取り組みで先進性を自負してきた国として、恥ずかしいことだ。

CO2削減は、原発反対の世論ともそりが合わず、莫大な費用がかかることから、取組みは相当に難しいことは分かるが、国際的な視点からすれば、「恥ずかしいことだ」ということになってしまう。COP19に注目したい。

熱風の日本史 西郷生存伝説の狂騒(13面)

1877年、西南戦争で最期を遂げた西郷隆盛が、国外に逃れて生きているという義経伝説に似た話がこの時代に広まったという話。
1891年にロシアのニコライ皇太子が来日する際に「西郷はシベリアに逃れ、ロシアで将軍となり、今回、ロシアの軍艦で帰郷する」と新聞が書きたてたという。その後も「城山で死んだのは東某という影武者」「西郷は北京で存命」「鹿児島の西郷の墓石が他に比べ小さすぎる」など各新聞が乗っかり、大フィーバーの中、皇太子が来日。生存伝説が、大津事件のきっかけになったという。
面白いので、小説で読んでみたいと思ったら、芥川龍之介の短編「西郷隆盛」が、この伝説を題材にした話なんだとか。

朗読CD 朗読街道(59)西郷隆盛 芥川龍之介

朗読CD 朗読街道(59)西郷隆盛 芥川龍之介

あ、日本史にまつわるさまざまな都市伝説?を扱ったこんな作品もあるみたいでこちらも気になります。
妄想かもしれない日本の歴史 (角川選書)

妄想かもしれない日本の歴史 (角川選書)

読書欄

コラム「半歩遅れの読書術」で柴田翔さんがオススメしている本。古本屋で300円で購入した本という紹介だが、法隆寺が構造的にどうできているか、ではなく、人々がその構造物を、時代の風土と歴史の中でどう造って行ったかに主眼が置かれた構成に美しさを感じる本。Amazonでも取扱いなしだが、テキストとイラストのバランスが絶妙で、少年少女に読まれることを想定した本で内容も分かりやすいとのこと。


とっぴんぱらりの風太郎

とっぴんぱらりの風太郎

万城目学の2年ぶりの大長編を豊崎由美が激賞。笑と感動、展開の妙、登場人物の造形の魅力、アクションシーンの臨場感。娯楽小説に求めるものは、すべてこの中にある。現時点での万城目学の最高傑作としており、ずっと気になってきた作家なので、そろそろ読んでみようかと。


フラクタリスト――マンデルブロ自伝――

フラクタリスト――マンデルブロ自伝――

マンデルブロの自伝。世界恐慌から二次大戦、ホロコーストの中をユダヤ人として生きた幼少時代を描いた第一部は戦争文学としても読むことができる。第二部、第三部は、オッペンハイマーフォン・ノイマンなど著名人が次々現れ、それぞれのエピソードが楽しめる。フランクリン自伝やラッセルの自伝と同様、古典的な自伝文学に遺る名著となるのではないか、としている。