- 作者: 藤川大祐
- 出版社/メーカー: 丸善出版
- 発売日: 2013/07/22
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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まえがきに本の成り立ちが説明されている。
千葉大学教育学部教授の著者が、自らの「授業実践開発研究室」の中で、中学3年生を対象に行った「社会とつながる数学」。これをダイジェストで収めたのがこの本ということになる。
- 音律とハーモニーの数学
- 次元を超えるトリックアート
- 素数と暗号
- 証明の起源から3D技術まで
- 虚数iが電気工学で使われる理由
- 最長片道切符と情報工学
- 負けにくい戦略とゲーム理論
- 統計を読み解く―視聴率から犯罪まで
いずれも興味を引く内容で、8つの選択肢があれば、どれか一つはグッと引き込まれる内容があるかもしれない。自分は、1のピタゴラス音律、純正律、平均律の話や、虚数を使うことで三角関数をかけ算で扱えるメリットがあるという5、JRの片道切符の最長ルートを探る6なんかが面白かった。こういった授業があることで、「これって必要?」という内容が出てくる中学生辺りの学習課程では、勉強をやる意味を問い直すことができて良いと思う。
しかし、それぞれが別々の大学生(大学院生)によって作られた授業であるこれら8つをまとめて読むと、ややまとまりに欠け、読んだあとにあまり残るものがないのも事実。結局、数学の面白さは、上澄み部分の薀蓄的なところにあるのではなくて、もっと狭い穴をドリルで深く掘ったときに気がつく骨組の部分にあるような気がする。ただ、それを読むには、重い腰を上げなければいけないので、なかなか読めないのも事実。
ということで、「数学」と題された本を読む場合、薀蓄的な部分よりも、もっと数学的考え方について掘り下げた内容を自分は求めているんだなあ、と気づかされた。そろそろ一巻のみで止まっている『数学ガール』の続きを読んでみる時期かもしれない。
過去日記
- 円周率はなぜ3.…から始まるのか〜新井紀子『生き抜くための数学入門』(2012年10月)
- 考えてわかる「体質」に〜新井紀子『ハッピーになれる算数』(2012年10月)
- 現代数学を学ぶ大切さ〜リリアン・R・リーバー『数学は世界を変える』(2012年7月)
- 今から学ぶ人にこそ〜結城浩『数学ガール』(2011年4月)