Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

最高でした!…でもこれだけはお願いしたい!〜『名探偵コナン・異次元の狙撃手』

東京の街を一望できる高さ635mを誇るベルツリータワー。そのオープニングセレモニーに参加していたコナンたちは、展望台からの絶景を楽しんでいた。その時、一発の銃弾がガラス窓を突き破り、男の胸を撃ち抜く! すぐさま犯人追跡メガネをズームさせ銃弾の軌道先に黒い影を見つけたコナン。
コナンと世良、そして警察とFBIがタッグを組んで捜査を始める中、やがて浮かび上がったのは、海軍の特殊部隊「ネイビー・シールズ」の存在。この狙撃事件は、これから起こる大パニックの“第一ポイント”にしかすぎなかった!そしてその裏では同時に、謎の大学院生・沖矢昴も静かに動き始めていた――。

だいぶ日が経ってしまいましたが、かなり物申したい部分が一点あることを除けば、とても良かったです。


今回、事前情報として、3ヶ月に渡って発売された「コナン新聞」を始め色々な媒体で、「漫画より先に行くストーリー上の進展がある」と聞かされていおり、期待感が煽られました。ポスターを見ると、それが誰についての内容を指すのかは丸わかりだったのですが、それを分かっていたとしても、予想を上回る十分なプラスαが今回の映画にはありました。これまでの疑念を確信に変えるラストシーンはお見事でした。*1


しかし、それだけでなく、やはりアクションシーン。今回は、ラストのベルツリータワー(スカイツリー)のコナンの活躍、少し前の世羅の活躍などで、他の映画では決して味わえない(他の映画では「それはさすがにやり過ぎ…」と冷たくあしらわれる)、コナンならではの「あり得ないアクションシーン」が「盛り」気味に実現されていて、とても満足度が高かったです。
また、舞台もよかったです。勿論、自分がある程度の土地勘があるということもありますが、ベルツリータワーを中心に据えて連続狙撃事件の現場を配置したのは、スカイツリーに行ったことが無い人でも、物語全体を把握しやすくする効果があったように思えます。


勿論不満点もあります。メインのストーリーは、米国退役軍人によるものと思われる連続狙撃事件ですが、サイコロの謎も含めてやや理解しにくく、スッキリ氷解と言うわけにいきませんでした。そもそも米国在住の米国人同士の争いが根本部分にあるのに、全ての事件の舞台が浅草〜隅田川〜押上というのは、どう理屈をこねても無理があります。
また、容疑者のうち何人かは、登場機会が少ないのに、その後、刑事同士の会話の中で名前だけが頻発する状況にあり、子どもは全体像を把握するのが難しい作品かもしれないと思いました。


また、毎回のこととはいえ、FBIが隙だらけなのもちょっと気になります。細かな捜査の進捗報告がてら、いちいちコナン君に意見を求めるジョディ先生は、そういうものとして受け止めるとしても、ファミレス(劇中ではDanny’s)で、捜査の進捗について深刻な顔をして相談するFBIの3人はちょっと笑ってしまいました。他に客がいなかったので、ファミレスを貸切にしていた可能性もありますが、提供企業との関連で、どうしてもファミレスを入れなくてはいけなかったのでしょうか?


そして、アクションシーンについては、かなり気になって少し意見したくなった部分があります。つまり、コナン君のスケボーアクションは公道には馴染まないので、そこを考えてほしいということです。(本気で)
というのも、高速スケートボードでの歩道通行や、スマホを操作しながらの移動は、昨今の自転車対歩行者の事故の増加を見ていると、「カッコいい」よりも「大事故につながりそうで不安」という気持ちが勝ってしまうからです。むしろコナン世界で法律を作っても取り締まるべき行動だと思います。(本気で)
例えば、小学生への教育的意味も込めて、このくらいのレベルは守って欲しいです。(本気で)

  • 歩道でのスケボー高速運転の禁止
  • 車道での逆走禁止(左側通行の厳守)
  • 交差点での一時停止厳守


その意味では、スキー場でのアクションは勿論、公道とは言えトンネル内の3次元空間を巧く使った『沈黙の15分』(2011)は、大事故のリスクは低くなっているように映っていました。



最後に、劇場版コナンに何を求めるかという話を。
ネタバレ要素を含むストーリーにとても満足した、という話を一番初めに書きましたが、実は、その気持ちは若干薄れてしまった部分はあります。今回の映画の展開に関連する話だということで、映画鑑賞後に見たテレビ版の「ベルツリー急行殺人事件」のせいです。テレビ4回に渡って展開されるストーリーは納得度が高く、しかもラストの衝撃は映画に勝るもので「そうきたか!」と声が出るほどでした。
あれほどのストーリー展開も、既にテレビ版でも放映済みであることを考えると、やはり劇場版コナンにはストーリーよりも「異次元アクション」を求めるのが正しいのかもしれないと思いました。過去には、「ボカンコナン」にはうんざりしていた自分ですが、来年は交通ルールは厳守した上でのスケボーアクションを期待したいです。

*1:あまりにも時間が短過ぎて理解しにくい人がいたとしたら、小説版では、文字として書かれているので、そちらがおススメ。