- 作者: 田中芳樹,山田章博
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2013/06/12
- メディア: 文庫
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角川文庫バージョンの表紙(ナルサス)こそは天野喜孝イラストの真骨頂という感じで震えます。
今回、荒川弘verでのアニメ化が決定しましたが、やはり自分の心に強く焼き付いているのは天野喜孝のナルサスであり、アニメーションとしてどう動かすかは別として、これを超えるものはありません。勿論、以前アニメ化された際のナルサスのデザインもそれほど自分のイメージとズレていないとはいえ、天野喜孝デザインの「5億点」ぶりと比べてしまうと、どうしても評価は低くなってしまいます。
とはいえ、カッパ・ノベルス版の丹野忍、光文社文庫版の山田章博と、どのシリーズも表紙イラストは非常に充実しており、読み始めた時期それぞれで、読者が異なるイメージで作品世界を頭に描いているのかもしれません。
さて、この巻のストーリー。
- 聖堂騎士団を率いながらヒルメス軍に大敗退したイアルダボート教の大司教ボダンは、イノケンティス、ギスカール、銀仮面(ヒルメスを認識していない)への復讐を誓ってマルヤムに落ちのびる。(一章)
- アルフリードの兄でゾット族の死んだ族長の息子メルレイン登場。クバードとルシタニア兵を追い払ったあとはマルヤムの幼い盲目の王女イリーナ内親王と行動をともにする。(二章)
- ギーヴは内部でのいさかいをきっかけにアルスラーンとは別行動をすることになる。(三章)
- ルシタニアが築いたチャスーム城が一日で陥落。(三章)
- 続けてアルスラーンらは聖マヌエル城を攻略。ルシタニアの少女エトワール(エステル)を捕獲。(四章)
ーヒルメスはギスカールに素性を暴露。その後、エクバターナの地下に棲む魔同士に助言を受け、聖剣ルクナバードを求めてカイ・ホスローの墓に向かう。(五章)
ここまで順風満帆で来た物語ですが、ここに来て、アンドラゴラスの復活というまさかの展開。
数ページ前まではギスカールがアンドラゴラスをどう利用しようかと目論見をめぐらせる中での大逆転ぶりには本当に驚きました。ルシタニアの脅威を追い払うという当初のゴールが突如として無くなったに等しく、しかもアルスラーンがここまで築いてきたものが一気に無駄になってしまう展開で驚きです。