Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

抑え目の第一巻〜本多孝好『ストレイヤーズ・クロニクル ACT-1』

ストレイヤーズ・クロニクル ACT?1

ストレイヤーズ・クロニクル ACT?1

驚異的なスピードで動く、遠距離の音も聞き分けられる、見たものすべてを記憶する―。常人とはかけ離れた能力を持つ昴、沙耶、隆二、良介。彼らは同じ施設 で育った仲間で、特別な絆で結ばれていた。理由あって、大きな野心を抱く政治家・渡瀬浩一郎のために裏の仕事をしている。ある日、渡瀬から家出中の大物政 治家の娘を追え、と命令される。目的は彼女が持ち出した秘密ファイル。謎の殺人集団「アゲハ」も絡み、彼らの運命は大きく動き出す。 (Amazonあらすじ)

表紙を見てすぐに分かるように、表紙・挿画は田島昭宇*1。その印象が強いだけでなく、内容も良い意味で漫画のようにテンポのよいものだったため、文章よりも絵が勝つ読書となった。
天野喜孝は絵のインパクトが強いが、田中芳樹創竜伝アルスラーン戦記)にしても、夢枕獏(キマイラ)にしても、栗本薫グイン・サーガ)にしても、文章もアクが強いので、読んでいてもあまり気になっていなかったが、今回は少し異なる。勿論、意図された通りの読後感なのかもしれないが、漫画のノベライズ版を読んでいるような気分だった。
物語のクライマックスは、超人的な能力を持つ若者チーム×もう一方の若者チームの人間を超えた対決ということになるが、その構図が判明するのが物語の終盤というのが面白い。今回は1巻なので抑え目なのかもしれないが、派手なバトルはない。彼らの背景はどちらのグループも謎に包まれているが、その中で活躍する生身の人間で、全共闘世代の三井徹がなかなか魅力的なキャラクターだった。
映画化されるとのことで、主人公は岡田将生。敵役・染谷将太のキャラクターは1巻では未登場。3巻完結ということでキリもよく、2巻3巻と読み進めて、(ベタだが面白い)超能力対決を堪能したい。


なお、主人公・昴の文中の一人称が「僕」であることに最後まで違和感を覚えてしまった。(「俺」でダメな理由がよく分からなかった)

*1:自分にとっては『多重人格探偵サイコ』の人です。こちらも内容をほとんど忘れてしまった…