まずセットリスト。多分合っているはず…。
- ボラーレ
- Deep French Kiss
- 一撃アタック
- クレイジアバウチュ
- 沈黙の薔薇
- ウイスキーが、お好きでしょ
- 海が見える丘
- 欲しいのは、君
- Glass
- プライマル
- 春よ、来い(松任谷由実のカバー)
- サンシャイン日本海(Negiccoのカバー)
- 接吻
- 朝日のあたる道
- ラヴァーマン
(アンコール1)
- エブリデイエブリデイ
- Body Fresher
- 青空のむこうから
(アンコール2)
- 夜をぶっとばせ
去年に引き続き、桜咲く坂道を登ってさくらホールに行ってきました。
今回は発売後一ヶ月くらい過ぎてから買って「11列目」と思ったより前方でヒヤヒヤしましたが、結果的に完売で良かったです。
最初に書くと、今回良かったのは、圧倒的に「ラヴァーマン」。
「ラヴァーマン」は良い曲だと思ってはいましたが、自分はカップリングの「クレイジアバウチュ」がかなり好みだったこともあり、これまでいつも聞き流す程度。今回のライヴで、一気に殿堂入り(!)させることになったのは、ある歌詞が耳に飛び込んできたからです。
ということで、以下、ライヴの感想はそっちのけで、「ラヴァーマン」について書くことにします。
いきなり違う歌ですが、「エブリデイエブリデイ」は変わった歌だと思います。
メッセージソングっぽいけど、メッセージソングではなくて、少し”閉じている”と思うのです。
本来は「俺も頑張ってるからお前も頑張れよ」という歌で、既に、何かに向けて毎日頑張っている人にはかなり届くと思います。でも、かなりの人にはそのメッセージは届かない。
というのも、ファンであればあるほど、田島貴男が毎日ジョギングを続けていることをよく知っているから、これを聴いた感想が「田島はやっぱり凄い」ということになりがちで、結果として、田島「俺ってすごいよね」→ファン「そうだ!田島は凄い」という、何だかよく分からない循環が生じている気がするのです。
自分なんかも、当初この歌を聞いたときの「毎日頑張ろう」という気持ちが「田島は凄い!」に少しずつシフトしてきている気がします(笑)。
つまり、「エブリデイエブリデイ」は1.0を1.1とか1.2にできる歌なんですが、0を1にはしません。勿論、「金メダリストも最初はビギナー」という歌詞がある通り、何かを始めてみよう!という歌であるというのも理屈としては分かります。
でも「継続は力なり」という格言が、「だから三日坊主になるくらいなら始めるな」というかなりネガティブな呪いと裏表であるように、この歌を聞いて何かを始めよう、という人はあまりいないと思います。
だからファンは、自分の中の「0」じゃない部分に注目しないと、ただの「田島は凄い」だけの歌になってしまいます。怖い歌だよ(笑)。
さて、「ラヴァーマン」は、春の歌です。
2年前の「ファッションアピール」もそうでしたが、春の歌は、それだけで聴く人を「よっしゃ、やったるで」という気分にさせる力があることが多いと思います。*1
それだけでなく、「ラヴァーマン」には、「ファッションアピール」にはない、多くの人の心に響くリアリティを持っていると思うのです。それがあることで、「エブリデイエブリデイ」が持っていない0を1にする力、何かを始めさせる力を勝ち得ていると思います。つまり、それが最初に言い澱んだ、耳に飛び込んできた歌詞の話なのですが、まだそれは書かずに引っ張ります。(すみません)
今回、「ラヴァーマン」を聴いていて、ふと、「サンシャイン日本海」*2を思い出しました。
「サンシャイン日本海」の歌詞の特徴は、風景を単語で並べるくだりが多いことです。厳密に言えば、風景・風景・プラスアルファです。
- 信濃川ヨットハーバー ビールー杯だけ
- 道の駅 かき氷 あなたはひやむぎ
「ラヴァーマン」でも、海と空が出てくるところがあります。
しかも、メロディへの歌詞の載せ方が変で目立つ部分に。
海辺 青空と 涙と ため息
そう、「ため息」こそが、この曲を殿堂入りさせているキーワードなのです。
「ラヴァーマン」は、少し聴けばわかる通り、恋の予感の歌でも、これから恋が始まる歌でもなくて、1番の最初から砕けている恋の歌です。そして、ここの部分の歌詞も最高なのですが…
春の嵐
吹き荒れて眠れなかった
恋のかなしみで
こころ澄み渡っていった
眠れなかったはずなのに、恋の悲しみで、逆に、心が澄み渡ってしまう(!)という、このめげない感じ。
詳しい説明は省きますが、ちばあきお『キャプテン』で、初代キャプテンの谷口君が、すぐ先に控えた決勝戦の相手との圧倒的な力の差に愕然とする部員たちに、むしろ前より強い気持ちで熱弁を奮うシーンを思い出しました。(笑)
ちょっと話が逸れましたが、「ラヴァーマン」は、胸に矢が刺さっている男の情熱の力は無限大!と大きなことを歌っているようで、その情熱というのは何百、何千もの「ため息」の上に成り立っていることも歌っていると思うのです。そして、大半の大人はそれを知っていて、だから心に響くのです。
つまり、情熱というのは、ため息。
うまく行かなくて何度もついてしまうため息、でもその後に出てくる「それでも好き」というめげない気持ちこそが情熱。
恋愛は勿論、情熱を持って打ち込めることは何だって、自分が思う理想像からは外れてしまう部分がある。
それでも前に進むには、理想像(僕の宇宙の法則)から一旦離れて、何度もトライしていくしかない。
と、自分はこの歌を解釈しました。
ここまで長く書きましたが、「ラヴァーマン」は、久しぶりに「よっしゃ、やったるで」と思わせてくれる歌になりました。そして、自分は、この春らしい明るい歌を聴くとき、心の底で墨谷二中の猛特訓*3を思い出して気を引き締めるのです。
ということで、ライヴの話を全く書きませんでしたが、自身の原風景と語るMCのあとに歌った「海が見える丘」、オーラスの「青空のむこうから」、あと何度聴いても素晴らしい「Glass」が良かったです。
とはいえ、目下の興味関心は、断然、6月に発売される新アルバムです。
アルバムを引っ提げてのバンドツアーも楽しみですね。
本人のMCによれば、フレッシュなバンドメンバー*4になるんだとか…
参考
- 田島貴男 弾き語りツアー 最終日(3/30 渋谷さくらホール) ⇒2014年の弾き語りツアーの感想
- 田島貴男 弾き語りツアー最終日(3/29(金)渋谷さくらホール) ⇒2013年の弾き語りツアーの感想