Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

オリジナル・ラブ「ラヴァーマン・ツアー」最終日(7/18 渋谷公会堂)

セットリストはこんな感じ。今回は最初から最後まで変わらなかったみたいです。

  1. The Best Day of My Life
  2. スキャンダル
  3. 朝日のあたる道
  4. サンシャイン日本海
  5. GOOD MORNING GOOD MORNING
  6. クレイジアバウチュ
  7. 今夜はおやすみ
  8. フランケンシュタイン
  9. 99 粒の涙
  10. ビッグサンキュー
  11. 四季と歌
  12. ウイスキーが、お好きでしょ
  13. きりきり舞いのジャズ
  14. 月の裏で会いましょう
  15. 接吻
  16. フリーライド
  17. LET’S GO!
  18. The Rover
  19. 希望のバネ
  1. ラヴァーマン(アンコール)
  2. ジャンピン・ジャック・ジャイヴ(アンコール)
  1. 夜をぶっとばせ(アンコール2)


今回のツアーの目玉は、アルバム『ラヴァーマン』のライブでのお披露目ということもありますが、何といってもバンドメンバーの一新という部分が大きいと思います。
最初にまとめてしまうと、これほどまでに楽しそうに、いや、ただ単に楽しそう、というより壊れている田島貴男を見るのは初めてだったかもしれません。それはきっと、アルバム『ラヴァーマン』への自信と、それを一緒に作り上げたメンバーとのツアーだったからなのだと思います。


さて、以前も書いたように今回はライブ初日まで、バンドメンバーが誰になるかという情報は伏せられていたため、『風の歌を聴け』の頃に戻って、佐野康夫(Drums)、 小松秀行(Bass)なのか!とか、小松シゲル(Drums)と小松秀行(Bass)とのW小松になるのか?などと、いろいろな噂もありましたが、このメンバーとなったのでした。

木暮晋也を除くと、小松シゲルが所属するノーナ・リーヴスがクリスマス・ライブなどで組む体制、いわゆる「ノーナ7」のメンバーでもあり、その意味では息もぴったり。
ちなみに、年齢を調べてみると、こんな感じ。(年齢順)


今まではこんな感じ(年齢順)。

  • 木暮晋也:1966年生まれ
  • 田島貴男:1966年生まれ
  • 真城めぐみ:1965年生まれ
  • 鹿島達也:1962年生まれ
  • 古田たかし:1958年生まれ
  • 中山努:1957年生まれ*1


これまでのメンバーでは田島・木暮が一番の若造だったので、演奏はベテランなので任せて安心でも、気持ち的な部分では、今回のように弾け壊れることがやりにくかったのかもしれません。
実際、今回のバンドでの田島貴男は心底楽しそうで、どんどん若くなっていき、初日と最終日を比べるだけでも、若返り感が凄かったです。ベンジャミン・バトンかと思うくらいに50を前にして年齢が折り返している感じでした。
ツアー中のMCでは、初日から「ひとりソウルとか言ってるけど、ひとりになりたくない」「ひとりだと、終わってからの飲み会が寂しい」「ココイチに行ってしまう」など、バンドの楽しさ(ひとりソウルの辛さ)をふざけながら話していました(笑)


勿論、バンドの雰囲気だけでなく、メンバー個々人によるところも大きいのかもしれません。
特に、今回一番年齢の若い村田シゲの影響が大きいのかもしれないと思いました。
こういう少し若い人(田島の13歳下)がいることで、バンドがうまくまとまっていたのかもしれないというだけでなく、MCでも田島からの信頼の高さがよく出ていました。過去のインタビューを見ても、田島とは少し違うタイプの人みたいだし、ライブでの彼自身も、演奏に、というよりは田島を見て楽しそうにしていたのが印象的でした。(真城さんはいつも田島を見て爆笑してますが)

何年か前に気付いたんですけど、オレね、音楽よりも人の方が好きなんです。どうしても音楽が必要な人間じゃないんですよ。人がいるからやっているんだと思う。だから、音楽と鍋が好きなんですよ(笑)。どっちも独りだとやれないじゃない?前にね、堂島孝平くんに教えてもらった京都ですごく有名な湯豆腐屋さんがあるんだけど、ツアーのオフの日に独りで行ってみたら、ウンともスンとも美味くなくて。やっぱ、相手がいるから良いんだよね。


ツアーメンバーについてもう一つ言えば、MCで「『ラヴァーマン』の実質的なプロデューサー」と呼ばれていた冨田譲さんも音楽面で大きな影響を果たしていたのだと思います。田島と2歳差ではありますが、今回のメンバーでは最高齢。田島は甘えることも先輩面することも出来て、しかも後輩は、しっかり自分のことを突っ込んでくれる、そういう仲間に恵まれたからこそ、今回のツアーは成功したんだろうなあ、と思います。


さて、今回のツアーでは、最新アルバム『ラヴァーマン』の楽曲の良さを改めて知ることになりました。
(自分の中で)アルバムの核となる「四季と歌」*2を楽しみにしていましたが、初日は歌詞間違いがあり、のめり込めず…。最終日は歌詞は大丈夫で、演奏も良かったのですが、新アルバムで最も盛り上がったのは(「ラヴァーマン」を除けば)「クレイジアバウチュ」と「サンシャイン日本海」でした。やっぱりサビが覚えやすい歌は強いです。
逆に、「フランケンシュタイン」「今夜はおやすみ」「きりきり舞いのジャズ」は、ノリ方が難しく、観客は動きを止めて聴き入っちゃう感じで、その意味でライブ向きではないのかもしれません。
ただし、「今夜はおやすみ」の最後のコーラスはカッコ良かったし、木暮&真城の「きりきり舞いのジャズ」の手拍子ガイドもライブの見どころの一つだったと思います。
なお、最終日の「フランケンシュタイン」は歌詞にものすごい間違い*3があり、ちょっとびっくりしました。


勿論、本編ラストの「希望のバネ」は、アカペラ部分が感動的で、「99粒の涙」も今後のライブでも演奏され続けるだろうと思わせる演奏でした。
新アルバムの中では、色々疑問過ぎて逆に思い入れのある曲「ビッグサンキュー」も、やはりというべきかライブでは良い曲でした。ただ、2度見たライブでは、いずれもニコニコしながら歌っていた(爆笑しながら歌っているという声もありましたが)ので、「弔いの歌」っぽくはないのも確かです。そうすると、やはり(歌の主人公=)山口百恵のストーカー説が有力視されるようになります(笑)→「ビッグサンキュー」の歌詞解釈についてはこちら



アルバム以外だと、「フリーライド」が印象的でした。勿論、これまでのバンドライブでも演奏していたはずの曲ですが、ドラムが面白くてずっと見てました。この曲は本当にライブ映えします。
また、安定感があって、歌詞の心配は(あまり)しなくていい「Let's go」。新アルバムの歌もこうあって欲しいです。この辺りの曲は、本当にドラムとベースがカッコいいのが多くて、村田シゲが頭を前後に動かしながらノる様子が脳裡に焼き付いています。
あと、忘れてはいけないのは「The Best Day of My Life」です。この曲を1曲目に持ってくるところに田島貴男の自信が表れている気がします。まさに「ラヴァーマン・ツアー」に欠かせない一曲で、観に行かれたかたは、自分が、この前の「理想的なラヴァーマンはこれだ!」という文章の中で無理矢理アルバムの中の一曲に入れてしまった理由がよく分かると思います。


今回のツアーで、あともう一つ付け加えなければいけないのは、田島自身の風邪の状況でした。
ツアー初日の少し前に行われた増上寺のフリーライブでもかなり声の状況が悪くて心配されましたが、初日は少し体調を戻してスタート。オリ馬鹿の皆さんの話だと、その後、ツアーが進むにつれて、ステージで鼻をかむようなところもあったそうです。
最終日には何とか戻して終えましたが、久しぶりの人や初めての人に、今回のツアーの田島は、まだギアセカンド*4くらいで、「その先」がある、ということを教えてあげたいです。
多分、田島も、今回、一番の反省点はそこだと思って、さらに体調管理にストイックになるのではないかと思います。ひとりソウルのツアーは長いし、何より「ひとり」ですからね。



最後に少しだけ言いたいのは、やっぱりあのこと。(笑)
まず、最近、自分のブログの記事で面白いのを見つけたので紹介します。2007年に書いた文章です。

以前、「人生は音楽だ」のhiroharuさんが、「ミュージシャンのファン・サービスについて」というエントリで、ファンを意識したPR戦略の必要性を説いていた。
自分は、オリジナル・ラヴの問題は、(それが魅力でもあるのだが)田島貴男が、わが道を行き過ぎるために、ファンのニーズと田島の嗜好に激しいズレが生じる ことなのでは・・・と思っていたので、「ミュージシャンとファンの架け橋が必要だ」というhiroharuさんのエントリを読んで「その通り」と膝をたた いたのだった。しかし、そのための、具体的な方法が「日記」の充実なのかなあ?という気はしていた。
そんなとき、曽我部恵一のインタビューを見て、答えは「ライヴ」なのではないかという思いを強くした。
上 でも引用したように「論理的に考えたことは、全部失敗に終わっていく」というのは、特にミュージシャンとしては、大きい部分なんだと思う。ライヴで演奏す れば、どの曲が人気があって、どの曲が不人気かはたちどころにわかるはずだ。自分としては、ライヴ映えはしないが、CDで聴くと最高な「水の音楽」みたい な曲も大好きだが、やはり、フィジカルな曲がたくさんあるほうが楽しい。

当時、 自分は仙台に住んでいて、アルバム後のツアーで久しぶりに仙台がツアー先から消えてしまったので心を痛めていた頃なのでした。そして、UnOfficialの LIVEGRAPHYのページを見ても、2008年は「もっともライブの少ない年」とされるなど、2007〜2008年頃は、今では考えられないほど、田島貴男の姿を見る機会は限られていたのでした。(2009年の「Hot Starter」ツアー以降が『白熱』以降のオリジナル・ラブに繋がる感じです)
そう思えば、今は本当に恵まれています。あの頃ただひたすら願っていたことが現実化したのです。


ところが、先のエントリで書いていた内容で、「ライブを増やせばきっと…」と期待していたことで、今でもやや果たされていないこともあるのです。

上でも引用したように「論理的に考えたことは、全部失敗に終わっていく」というのは、特にミュージシャンとしては、大きい部分なんだと思う。ライヴで演奏すれば、どの曲が人気があって、どの曲が不人気かはたちどころにわかるはずだ。自分としては、ライヴ映えはしないが、CDで聴くと最高な「水の音楽」みたいな曲も大好きだが、やはり、フィジカルな曲がたくさんあるほうが楽しい。
あと、これが一番心配なのだが、頭でっかちな曲(フィジカルでない曲)については、田島貴男は歌詞を覚えられない可能性が高い。(笑)
先日、スカパーで放送された『街男 街女』ツアーのライヴの様子を見せていただく機会に恵まれたのだが、かなり驚いたことに、田島は「鍵、イリュージョン」の歌詞を間違えていた。しかも、一番と二番とかいう間違いではなく、ワンフレーズずれて間違う、という信じられない間違え方。
こういう間違え方は冷めます。
あれほどの名曲が、まだ、肉体化されていなかったことには驚くが、やっぱりライヴを増やしたことがいいということに尽きると思う。

今回のライブは、ひとりソウルと比べると、田島貴男も、何よりも「弾けること」を優先していたようで、しかもそれが成功していたので、とやかく言いませんが(笑)、あともう少し歌詞をなあ…と、少しだけ思っています。(笑)



渋谷公会堂は今年2015年の10月で一旦閉館して、改築工事に入るようです。再オープンは2018年。
2018年になっても、また、オリ馬鹿の皆さんと楽しく渋谷公会堂オリジナル・ラブを観に行くことができていたらなあと思っています。
3年ですか…。(ノーナ・リーヴスのスーパーな名曲「三年」を思い出しながら…。)


参考(過去日記)

*1:こちらのサイトの情報より→http://www.shock-on.jp/schedules/performance/974

*2:自分の中では、クルマのCMに使われること確定な曲なので、いつCMで流れるのか気になっています笑

*3:スーツ姿のフクロウがこちらを見ている⇒スーツ姿のフクロウの口が動いている???怖さが増しています!!

*4:ワンピースのルフィの潜在能力発揮レベル=本気度を表す用語で、それに応じて容姿も少し変化します。現在ギア4まで確認されています。田島のギア4を見たい人は、ひとりソウルに行くべきです。