Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

高速ハイテンション全裸漫画!〜ヤマシタトモコ『ドントクライ、ガール』

親の不手際で知人宅に居候することになった悲劇の少女・たえ子。そしてピンポン鳴らすと真っ裸でドアを開けた裸族の男・升田。
清純な女子高生相手に、裸で お出迎え…? まさに衝撃の初対面。たえ子が17年間積み上げてきた価値観が、グラグラと音を立てる。
これって現実? わたし、今、正気?
泣いていても始まらない、爆笑青春ストーリー♪


お借りした漫画だが、借りるときに「(pocari)さんが裸族になったらどうしよう」と言われたので、(言われなかったら思いもつかなかったが、)裸族シミュレーションをしてみた。
以前も、よしながふみ『子どもの体温』の感想で書いたことがあったが、こういうところに出てくる男性は、ものすごく「非実在的」。たいがいの男性が、裸族として暮らそうとしたら、鏡の中で発見するのは「とにかく明るい安村」になると思う。どう逆立ちしたって、この漫画に出てくるような升田さんのような「体」を鏡の向こうに発見できない…

あ、一人だけいた。
羽生結弦だったら、どう、少女マンガの男性キャラを振る舞っても100点満点、いや自己最高記録を毎回更新する得点が期待できると思う。


…というように、部屋で全裸で過ごす「イケメン裸族」という設定は限りなくファンタジーだと思う。
そして、ファンタジー設定を上回るハイテンション&高速な展開がこの漫画の魅力。
いや、確かに高速なのは魅力のひとつだが、まさか、これほどの破壊力を持ったネタが単行本1冊行かずに、しかも続編が描きにくいほどのハッピーエンドで終わるとは想像もつかなかった。高速すぎます(笑)


登場人物でいうと、主人公たえ子の可愛さ(健気、真面目、裏が無い)が、何といっても魅力。対する升田もやっぱり健気だが、第三のキャラクターとしての陣内が強烈。
会話にモザイクが入ってしまう効果もスゴいが、何と言ってもマラドレーヌ!(ナニの形にしたマドレーヌ)
個人的な今年の流行語大賞となったマラドレーヌだが、読み直すと、第2話でしか出ていない。
というか、これだけのインパクトにもかかわらず陣内自身も全6話中で半分(2,3,4話)にしか出ていない!
展開が高速すぎるのがこの漫画のキモだとはいえ、陣内の出番が少なかったのは返す返すも残念…笑。


そして、単行本1冊分にならなかったためもう一本収録された話が「3322」。
この漫画が暗い!とても暗い。
初回限定の描き下ろしペーパーには、どちらも主役が“わたくしの大好物「孤独な少女」”だという作者のコメントがある。確かに言われてみると、二人の主人公には共通点がある。

  • 主人公の両親は一人もしくは別居中で、本編には登場しない。
  • 突然、親の知人の家(主人公にとってアウェー)で生活することになる。
  • 知人は、主人公と主人公の親の中間くらいの年齢で、やはり同じくらいの年齢の友人が登場する。

言われてみれば、ドラえもんオバQ(未知の世界から来た同居人)のように基本的なフォーマット(孤独な少女)が同じ漫画と言えなくもない。とはいえ、やっぱり違い過ぎる…。
この振れ幅を理解するためにも、ヤマシタトモコの漫画はもう少し読んでみたい。

参考(過去日記)

→4年前ということで、さもありなん…という感じだが、全く内容を思い出せない。全く、です。