Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

押しつけではなく科学を教える〜『コックリさんを楽しむ本』

コックリさんを楽しむ本―占いと超能力の授業 (常識より科学へ)

コックリさんを楽しむ本―占いと超能力の授業 (常識より科学へ)

コックリさんを楽しむ本 (てのり文庫 (337C003))

コックリさんを楽しむ本 (てのり文庫 (337C003))

少し前に小2の娘・夏ちゃんが、真っ白なコピー用紙に「あいうえお かきくけこ さしすせそ…」と五十音表のようなものを書いていたので、「ひらがなの練習してるの?」と聞くと、「こっくりさん」という予想しない回答が帰ってきてびっくりした。
何でも、怖いもの好きの友だちと約束をして、友だちは50円玉を、夏ちゃんは文字盤を用意するという予定だったという。その表情から、それはもしかして「楽しい遊び」なのかと聞いたら、ちゃんと手順通り終えないと「呪われる」なんてことも言うので、コックリさんとは何かという基本的な部分は、自分が小学生だった30年前とそれほど変わらないのかもしれない。


そんなときに見つけたのがこの本で、タイトルの通り、コックリさんを楽しんでしまおうという本。
第一部は荒木先生という小学校の先生を語り手として話が進む。
クラスで「キューピットさま」が流行して、最初は男女が仲良くなる様子をほほえましく思っていた先生。
しかし、ある日、キューピットさまに「7月に交通事故に遭う」と言われて心配に思っている児童から相談を受けて、このままにしておいてはダメだと考える。
禁止しようかと考えていたときに出会ったのが『授業教育研究』という教育雑誌の記事『コックリさんと楽しくつきあうために(授業プラン)』。この文章を書いたのは千葉県の小学校の塩野先生。塩野先生によれば、コックリさん禁止令は逆効果。

コックリさんを一度信じてしまうと、いくら理屈をもって、コックリさんのカラクリを解明しても、不安な気持ちは残るもの。それより、身近にコックリさんよりも強い先生がいることで、安心してコックリさんを「ゲーム」として楽しめ、楽しむ中で神秘的なものがくずれていくのでは。


ということで、ここからコックリさんを楽しむための、手品や心理実験も交えた「実験授業」の様子が描かれ、それが成功裏に終わる。
というのが第一部で、第二部は、雑誌記事を書いた塩野先生が、授業のやり方について補足する。
そして最後に、大親分である板倉聖宣先生が総括的な解説をする、という構成を取る。おー!いたずらはかせの板倉先生!

もしも原子がみえたなら―いたずらはかせのかがくの本 (いたずらはかせのかがくの本 新版)

もしも原子がみえたなら―いたずらはかせのかがくの本 (いたずらはかせのかがくの本 新版)


板倉先生監修のこの本の結論としては、コックリさんは各自の潜在意識に働きかけてそれを言語化して引き出すゲーム、という言い方になる。
そう言われてしまうとつまらないのだが、それを子どもたちにどう教えるかという部分が面白い。それが、いたずら博士の本などでなじみのある板倉聖宣先生の著書の解説を実践したものだと知って、学ぶ内容以上に、学んでいく過程の大切さに改めて気づかされた。
この本も古いが、さらにこれより古く、いわば種本である『科学的とはどういうことか』も是非読んでみたいし、板倉先生の著書は面白そうなものがたくさんある。
そして、こういう本から学んで夏ちゃんにも科学的な考え方をしっかりと身につけさせよう!


科学的とはどういうことか―いたずら博士の科学教室

科学的とはどういうことか―いたずら博士の科学教室

いま,民主主義とは (板倉聖宣セレクション1)

いま,民主主義とは (板倉聖宣セレクション1)


なお、小5のよう太は、すでに山本弘の以下の本を愛読しているので、ひねくれる方向に行かないか心配・・・。