Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

よくもここまで一晩で〜『ハングオーバー! 消えた花婿と史上最悪の二日酔い』

2日後に結婚式を控えたダグとフィルら男友達3人はラスベガスで、独身最後の夜を一生の思い出にするはずであった。
が・・・翌朝目覚めた彼らを待っていたのは、常識では考えられない驚くべき光景が。
ホテルの豪華なスイート・ルームはメチャメチャ、そして、2日後に結婚する花婿が、いない・・・。
記憶がない空白の時間にいったい何があったのか?
3人は二日酔(ハングオーバー)の頭で必死に記憶をたどる―。
全米だけでなく世界中を大爆笑の渦に巻き込んだ、彼らのおバカで救いようのない衝撃の事実がついに明かされる。

これは面白かった。
自分は、お酒はたくさん飲めず、酔って眠くなるタイプなので、記憶を無くした経験というのはこれまでに無い。記憶を無くしたところを想像すると、何かをしでかす、という以上に、何かを言ってしまうという怖さがある。ただ、そんなときには周りの友人がイエローカード、レッドカードを出してくれるから大丈夫だろうという気もしている。
ところが、彼らは連れ添った4人が揃って何も憶えていない。周りの友人は救ってはくれないのだ…。
それどころか、目を覚ましたホテルの部屋にはニワトリやトラがいるという、記憶していない間に「何かしでかした」証拠が満載。


楽しいパーティーから一転して窮地に陥る、という意味では、『クローバーフィールド』に似ているところがある。しかも、『クローバーフィールド』の世界が手持ちカメラから認識する世界でしかないのと同様、3人の限定された狭い視点から「経験済みの未知の世界」に挑む。
誰もが事態を把握できないのではなく、自分が何も知らない中で、昨晩のことを知っている相手と向き合わなくてはいけない、というハンデを考えると、『クローバーフィールド』以上に怖いかもしれない。


一方、自分は、酔って楽しかったら何してもOK、過ぎてしまえば武勇伝として誇っていい、みたいな主張は断固として拒否するし、そもそも、そういう価値観の流れの中にあるバチェラーパーティーにも素直に賛同できない。この映画で、4人が迷惑をかけたのは、身内どころか、警察や、元プロボクサー(!)など多岐に渡り、それぞれの迷惑ぶりが酷い域に達している。
そういうストーリーの基本的な欠点はありながらも、ほんわかしたエンターテインメント映画として見られるのは、彼らのキャラクターの良さと、実際にはあり得ないくらいのレベルのバカ設定(マイク・タイソンの自宅からトラを盗み出すなど…)が効いている。
特筆すべきは、やはりアラン。
3人で行くはずだったラスベガスに一人部外者で加わった花嫁の弟。結局、4人が記憶を失ってしまうほど酩酊する原因もアランだが、そのバカ具合が最高だ。何かを変えてくれそうな気配だけは持っていたから、ブラックジャックでの活躍シーンは嬉しかった。
あとは、記憶を失っていた間にストリッパーと結婚式を挙げていたステューのピアノ弾き語りはカッコ良かった。
パート3まである続編がどのような形になっているのか楽しみ。謎の東洋人(?)チャウも引き続き登場するんだとか!


補足ですが、アニメ「ユーリ!!! on ICE」の第10話で明かされる、1年前のGPファイナルバケット(パーティー)の泥酔後のダンスバトルシーンは、エンドロール時に写真で醜態を晒されるという見せ方も含めて、この映画『ハングオーバー!』の影響を受けたものなのでしょう。『ハングオーバー!』もユーリ10話も、このエンディングは最高ですね。