Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

とにもかくにも体幹〜柴田輝明『跳び箱に手をつき骨折する子ども』

副題にもある「ロコモティブシンドローム」は、2014年頃からテレビ番組でも取り上げられており、聞いたことがあった。

“しゃがめない” “腕がまっすぐ上がらない” 今、子どもたちの体に異変が起きています。 ロコモティブシンドローム、運動器症候群ということばを聞いたことがありますか? 手すりにつかまらないと階段を上れない、足腰が痛いなど、関節や筋肉といった運動器の疾患で、高齢者を中心にその予備軍も含めて4,700万人いるとも推定されています。 そして今そのリスクが、子どもにまで広がっていると指摘する声が上がっています。
子どもの体に異変あり 〜広がる“ロコモティブシンドローム”予備軍〜|NHK|クローズアップ現代

その危険性が広く認識されて、2016年から学校保健の定期健診の中に「運動器検診」が導入され、小中高で「しゃがみこみ」や「片足立ち」などの検査が実施されているという。
本書は、そんな「子どものロコモ」の現状や、対策方法についてまとめられたもの。


子どものロコモについては、上に引用したクローズアップ現代の内容紹介が、ポイントを押さえて上手くまとまっている。
そこでも書かれているが、問題は、片足立ちやしゃがみ込みができないことそのものにあるわけではなく、運動機能の低下によって、些細なことで大怪我をしてしまうというところにある。(学校での骨折の発生率は、1970年から2011年の40年で約2.5倍、p41)
そして、その理由は、単に運動不足にあるわけではない。スポーツをしている子も昔より怪我をしやすくなっている。つまり、運動は量だけでなく質(多様性)が必要だということだ。

子どもたちにとって、成長、発達には、運動は大切ですし、運動が必要であることは間違いないですね。
でも少なければ運動の効果もないし、多すぎたり、与え方を誤ると、害、副作用があると思うんですね。
この運動の必要性なんですけど、運動には2つのポイントがあって、運動の質と運動の量。
運動の質は、いわば多様性なんですね。
いろんなことをやるということですが、運動の量については、3つのポイントがあって、運動の時間、運動の強度、運動の頻度、何回やるかということですね。
子どもの体に異変あり 〜広がる“ロコモティブシンドローム”予備軍〜|NHK|クローズアップ現代


そして、その際に重要になるのが「体幹」ということになる。またしても「体幹」。
本の中では、グラグラ、フニャフニャせずに良い姿勢を維持して勉強や人の話を聞くためには、まず体幹を鍛える必要があるとし、体幹を鍛えるロコモ体操が紹介されている。さらに、次のように、体力からくる精神力を重視したいと主張する。

姿勢がいいと呼吸が楽になり、血液循環もよくなります。脳への血流もよくなりますから、酸素がよく供給され、脳の活動を活発にします。
つまり、よい姿勢がとれるということは、子どもの生きる姿勢も積極的にします。子どもにとって生きる自信が生まれ、「逃げないでチャレンジしよう」、「もう一度頑張ろう」という意欲につながるのです。p59

本の中では、本題であるロコモの問題にとどまらず、最近の子どもの睡眠や食事にまで言及しており、勇み足のような気もするが、体幹→姿勢→精神力というロジックについては、ある程度納得できるところもある。
ラソンの本を読んでも、毎回出てくる「体幹」については、ここらでしっかりトレーニングをした方がいいのかも。