Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

「生きるヒント」がそこにはある〜つづ井『腐女子のつづ井さん』(2)

腐女子のつづ井さん2 (ピクシブエッセイ)

腐女子のつづ井さん2 (ピクシブエッセイ)

一読目は、1巻を読んだときの衝撃は受けず、少し残念に思ってしまったほどだったが、2度3度読むと、ちゃんと面白くて、よくもこんなにネタ持ってるな、と感心した。
最初に感じた「1巻からのギャップ」は、客観的な他人目線が入り、「無邪気に趣味に打ち込む仲良し」という構造から少し離れたように感じたからだと思う。

  • 「いや そりゃ彼氏できんわ」(一晩かけて二人でアニメを見た感動を二人で歌い上げたあとのMちゃん)
  • 「世界にはこんなにも愛があふれているのに…私には…」(ハッピーエンドのBLを読んだあと「わからねー」と叫んだあとのオカザキさん)
  • 「壁にマスキングテープってねー」「あれ読んだときちょっと心配したわ〜」(ゾフ田)
  • 相手が自分の絵日記を読んでいるのを思い出して、恋愛相談の回答の引用元を「BL本」とばらしてしまうつづ井さん


一巻には少なかった、こういったメタ構造の笑いが増えたように思えて、そこに違和感を覚えてしまったのが最初の悪印象の原因だ。
しかし、この漫画の本質は全く変わっていない。
この漫画の魅力は、主人公たちが、好きな作品の(BL的)魅力を味わい尽くすために奇抜なアイデアを出し、その変わった提案をすぐに友達が受け入れてくれ、実行してしまう、というところにある。

  • イヤホンを鼻の穴に刺して、BLのCDをかけることでイケメンの声を手に入れる
  • ベッドに二人で並んで寝たらどんな感じか確かめてみる
  • 箱買いしたフィギュアで、推しを引くトレーニングをしてみる
  • フィギュアで影絵遊びしてみる
  • 女児会(女児になり切っての女児向けアニメ鑑賞)
  • 彼氏おりそうなツイッターアカウント選手権
  • お賽銭箱型の貯金箱を拝む
  • 語彙を増やすための辞書をつくる

ーBL本を読みながらあたりめの匂いをかぐ4DX

これらの提案を出来る雰囲気があって、しかも提案したら即応で「話が早!」となる王道パターン。
それを可能とする友人関係がある、というのが、まずとても羨ましい。
いや、仲間がいる、というそれだけではなくて、そもそも彼らが、自分ひとりで何でもやってみるDIY精神に溢れているというところが魅力的なんだと思う。

  • 言いたくて仕方ないアニメの感想を壁に話しかけてしまう
  • お賽銭箱型の貯金箱を使って神社を作る
  • 推しカプの当て馬になりたい願望を膨らませてしまう


そして、一巻で出てきた「壁にマスキングテープ」で一晩過ごしてしまう話も含めて、お金を使わずに自分一人で楽しむ(無駄に時間を使う)術を心得ている。
印象的だったのは、「プロジェクターを買って大画面でアニメを見たい」というつづ井さんの願望を、ゾフ田が「石油王の遊びじゃん」と否定して、懐中電灯を使ったフィギュア影絵遊びを提案する話。
身近なものしかなくても、工夫次第で、人生はいくらでも楽しく生きることができるんじゃないか、というヒントが詰まった、良い漫画だと思う。
読む前は想定していなかったけれど、自分もいろんなことにチャレンジしていきたいと思いました。

補足

つづ井さん達が話している漫画が一体何なのか気になったので、調べてみると、どうも『ハイキュー』らしいということが分かりました。一方で、調べる過程で久しぶりに某巨大掲示板のアンチつづ井さんスレに迷い込んでしまい、色々と嫌な話を知ってうんざり。納得できる批判もありましたが、絵柄が、ほしよりこ地獄のミサワのパクリという指摘はどうなんでしょうか。似ているところはあるけど全然許されるレベルと思う…。