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戦場での無人機攻撃について改めて考える〜宮田律『ナビラとマララ』

ナビラとマララ 「対テロ戦争」に巻き込まれた二人の少女

ナビラとマララ 「対テロ戦争」に巻き込まれた二人の少女


小学生向きのノンフィクションで、作者は現代イスラム研究センター理事長で著書も多い。
どうしても「うるるとさらら」を思い出してしまうタイトルだが、「対テロ戦争に巻き込まれた二人の少女」副題にある通り、二人の少女の名前から取られている。
2014年に17歳でノーベル平和賞を受賞したマララ・ユースフザイさんとともに挙げられているのは、同じパキスタンに住むナビラ・レフマンさん。作者の宮田律さんは2015年に日本で開いたシンポジウムに彼女を招いたこともあり、この本の中では二人の少女のうち、ナビラに焦点を当てた本になっている。


マララさんと同様、戦争の犠牲者であるナビラさんだが、アメリカ議会で自らの被害を説明した際には、435人の下院議員のうち5人しか出席しなかったという。それほどまでに関心が低い理由は、彼女を攻撃したのがアメリカ軍のドローンだったから。
ナビラさんが米国議会で訴えた「ドローンよりも教育にお金を」という願いに対しても、ほとんど反応はなかったのだった。


本書の中では、次のように、日本の報道姿勢も非難する。

日本の一部の新聞は、「テロとの戦いを続けるアメリカにとって、無人機は不可欠である」という主張をしています。このような記事を書く新聞記者は、ナビラさんのように、何の罪もないこどもがドローンの被害を受けていることを知っているのでしょうか?それとも、そうした悲惨な現実を知ったうえで、「テロをなくすために、それくらいの犠牲は仕方がない」とでも思っているのでしょうか。p70

自分は、何となく、この中で書かれている「テロをなくすために、それくらいの犠牲は仕方がない」に近い意見だったのかもしれない。もともとドローンによる誤爆については、希望的偏見から、かなり過小評価していたし、米兵側の負担を減らすという意味は大きいのではないか、とその意義を過大評価していたからだ。
この本を読み、ふたをしていた部分をしっかり直視しなければならない、と今更ながら思うようになった。『ドローン・オブ・ウォー』や『アイ・イン・ザ・スカイ』などの映画を観て勉強した方がいいかもしれない。


なお、本の中では、ナビラさんとマララさんの住むパキスタンの歴史についても、ページを割いて触れられている。
中東についてはいくつか本を読んで知識があったが、インド、パキスタンアフガニスタンバングラデシュの関係、また、アフガニスタンパキスタンをまたぐ地域に暮らすパシュトゥン人については、初めてのことが多く、こちらもしっかり勉強しなくては、と思った。
そういえば、大学のときにバングラデシュから来た留学生は温厚な性格だったが、パキスタンのことを語るときだけ怒っていたことを思い出した。


参考

本書の内容は、おおよそ以下の記事に含まれる。


こんなゲームもあるのですね…


やはり池上彰さんは分かりやすい。リンク切れのページも多数あるのが残念ですが。