Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

ORIGINAL LOVE『bless You!』全曲感想(1)ハッピーバースデイソング

オリジナル・ラブの新作 『bless You!』が2/13に遂に発売となりました。
オリジナル・ラブについては、それこそ『街男 街女』の頃からアルバムが出るたびに、色々と駄文を連ねていたこのブログとしては、今回もとても楽しみにしていたのです。
が、アルバム発売直前になって、思いもよらない不幸な出来事が(自業自得的に)自身を襲ったことは、このあと、自然と触れていくことになるでしょう。*1

『ラヴァーマン』から 『bless You!』へ

さて、最初に取り上げるのは「ハッピーバースデイソング」です。
前作『ラヴァーマン』は2015年6月発売だから、それから4年近く経っています。『白熱』が2011年7月、『エレクトリックセクシー』が2014年6月なので、白~エレがほぼ3年、エレ~ラヴァーがほぼ1年、そこからするとかなり間が空きました。
その間のオリジナル・ラブといえば、ライヴ活動自体は休みなくこなす間に、リリースとしては、2016年に25周年記念シングル「ゴールデンタイム」を発売。そして2018年4月(自身の誕生日4/24)に「ハッピーバースデーソング」をVictorから発売。この段階で、オリジナル・ラブのメジャー復帰が明確になり、今回のアルバムへと繋がっています。

2曲のシングルと第一印象

2016年、2018年に発売された2枚のシングルで比べると、(今となっては)インディーズ時代最後のシングル「ゴールデンタイム」に圧倒された自分からすると、「ハッピーバースデーソング」には物足りなさを感じました。というのも「ゴールデンタイム」は、アルバム『ラヴァーマン』と完全に地続きで、「これこそが最新型のオリジナル・ラブだぜ!コラーッ!」と、世の中に物申したいほど感動していたのですが、それと比べると、「ハッピーバースデーソング」は、『ラヴァーマン』にも「ゴールデンタイム」にも繋がらない、所在ない感じがしたのです。
なお、ゴールデンタイムの公式Youtube動画はこちら↓。カッコ良過ぎる!*2

ORIGINAL LOVE ゴールデンタイム


話を「ハッピーバースデイソング」に戻しますが、確かにテーマは良いです。
「優しい人も冷たい人も」「友達も知らない人も」誰もが平等にひとりに一日与えられている誕生日を題材にしたこの歌は、オリジナル・ラブのファンではない人にまで射程を向けた歌です。自分は、まさにこういうのを 田島貴男に 歌って欲しかったのです。
しかし、そこからの自分の思考は、他の人がついてこられないかもしれません。
自分はこう考えました。
とても良いテーマなんだけど、同じテーマを歌ったゴダイゴ『ビューティフル・ネーム』と比べると、弱い。

【超絶かっこいい】Godiego / ゴダイゴ - ビューティフルネーム(Beautiful Name)


何か色々と間違っている気がしますが、そんなこんなで、「ハッピーバースデイソング」は、ケータイに入っていても何度も繰り返し聴くタイプの曲にはならなかったのです。

『bless You!』の中での「ハッピーバースデイソング」

ところが、このアルバム『bless You!』で「グッディガール」の後にかかる「ハッピーバースデイソング」の、完成している感じ、これ以外にはあり得ない感じに、驚いたのです。MUSICAのアルバム評でカジヒデキが以下のように書いています。やっぱり、ここでしょ。そうだよね!と心の中でカジヒデキとハイタッチしました。

アルバム全体は超音楽マニアの田島さんらしく、ソウルもロックもファンクもSSWやポップスも全てが見事に溶け合っていて、そのスリリングさと心地よさに完全にやられます。特にM4からSSW系*3の名曲M5への流れの凄さ、これは田島さんじゃなければ出来ない!新しい物を取り入れる情熱と攻め方にも脱帽。絶品です!

そして、このアルバムが最高である理由は、最初に言ってしまうと表題作「 bless You!」にある*4わけですが、この曲との歌詞の内容の親和性の良さが際立っています。
CDJournalの記事を読むと、アルバムの中では「 bless You!」「ゼロセット」「ハッピーバースデイソング」の3曲がアルバムの中では先に形になったということなので、シングルで聴いたときには、既に 「bless You!」という大ネタを隠し持っていたということでしょうか。それはそれで凄い気がします。(注:のちに他のインタビュー記事なども読むと、「bless You!」自体は、一番最後に出来た曲のようです。CDJournalの記事は曲作りではなく、アルバムレコーディングのことについて語ったもののようです)
なお、 「ハッピーバースデイソング」 はほぼ一人なのですが、ソロ演奏は手伝ってもらっているようです。

―「ハッピーバースデイソング」のソロを弾いている岡安芳明さんは、田島さんのジャズ・ギターの先生ですよね。
「あれも素晴らしかったです。〈ハッピーバースデイソング〉はスティーヴィー・ワンダーみたいな曲だと思うんですけど、全部打ち込みなので、ソロはジャズ・ギターを入れたくて、3~4年前から教えていただいている先生にお願いしたんです。すっごく岡安さんらしいソロですね。ジョージ・ベンソンケニー・バレルのフレーバーを感じさせます」
“生命のありさまみたいなもの”---ORIGINAL LOVE『bless You!』

おー!この方がジャズ・ギターの先生なのですね。
客演も素晴らしいアルバムですが、「 ハッピーバースデイソング」にもそれが表れています。


という感じで、今後も続きます。
昨年4月の人見記念講堂のライヴ(個人的には、最初に「ゼロセット」等のアルバム曲を最初に聴いたライヴ)の感想を読んでいたら、カシオの腕時計「OCEANUS」の田島貴男インタビューへのリンクがありました。ちょっと、恰好が凄すぎて、ロバート秋山の「クリエイターズファイル」を彷彿とさせますね。何で当時そう思わなかったのか不思議です。
oceanus.casio.jp


参考

MUSICAのインタビュー記事は鹿野淳の熱が強いです。この人がワンオクロックの人(森進一と森昌子の長男)なのですね…

MUSICA(ムジカ) 2019年 03 月号 [雑誌]

MUSICA(ムジカ) 2019年 03 月号 [雑誌]


人見記念講堂のライヴを聴いたときは、もしかして新作は『エレクトリックセクシー』寄りなのか…?と思ったことを思い出しました。
pocari.hatenablog.com

*1:ぼやかして言うと、何がしかのネットの不具合により、田島貴男氏のツイッターが読めなくなってしまった…笑

*2:なお、MUSICAのインタビューなどを読むと「ゼロセット」はアルバムの中で最も早く、3年近く前に出来ていたそうです。歌詞は書き直し等あったようですが、再スタートという着眼点が「ゴールデンタイム」と似ています。

*3:SSWってどんな音楽ジャンルなんだろう?と思ってググったらSinger Song Writerの略だとか。知りませんでした…

*4:私見ですが、ほとんどの人がそう思っているのでは…?