Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

あの映画と比べると不満が…~『名探偵ピカチュウ』

 


【公式】映画「名探偵ピカチュウ」WEB用プロモ映像②

 

とても残念だった『バースデー・ワンダーランド』を見た5/1の2日後に封切りとなったこの映画。
完全に色物扱いをしていたところ、意外にも知人も世間一般の評判も良く、何より、ピカチュウが可愛すぎるという声も大きいので気になりっぱなしでした。それでも、今から観たい映画も溜まってきているし、ここはスルーして次に向けて踏み出そうとしていたのですが、ちょうど、土曜日に立川で時間が取れることになり、これも運命かと立川シネマシティで字幕版を鑑賞してきました。

 


結果を言うと、×でした。
正直言って、地下での闇ポケモンバトルあたりまではとても良かったのです。
自分の知っているキャラクターも沢山登場し、特にバリヤードを「拷問」するシーンは爆笑しました。バトルシーンも良かったし、ギャラドスに進化するコイキングも良かったです。
出演していることを知らずに見たので、渡辺謙が登場するのも嬉しかったし、コクーンタワーや新宿、上野など日本の風景がそこかしこに見えるライムシティの描写も気に入りました。
でも、それ以降が…。
最もダメだったのは、それほどピカチュウが可愛くなかったところ。
これは映画が悪かったのではありません。5/3以降の2週間、観たいなあと思い続けた僕の頭の中のピカチュウは、可愛さ大爆発のもふもふモンスターになっていたのですが、映画で見るピカチュウはその妄想を超えることが出来なかったのです。
勿論、ピカチュウ以外のポケモンが概ね気持ち悪かったところもポイントです。先ほど爆笑したといったバリヤードや、ベロリンガコイキングなど、表情と質感が「可愛い」よりも「怖い」ベクトルに偏っているし、ひたすら挙動不審なコダックも準主役の相棒と思えないほどでした。


そして、他の人がどう思うか分かりませんが、個人的に評価を下げざるを得ないのは、今年観た映画ではNo1の『スパイダーマン:スパイダーバース』との類似点が多いこと。
-主人公が白人ではないこと。
-父と息子の物語が軸にあること。

-ビルの立ち並ぶ都市が主な舞台であること
-男性主人公が守るべき相手ではなく、共に戦う仲間としてヒロインが登場すること。
-序盤で、主人公が街なかで敵に追われるシーンがあること。
-敵の秘密を探りに山奥の秘密基地に潜入するシーンがあること。
-クライマックスがビル街の空中戦であること。

そう考えた時にスパイダーバースとの比較で感じざるを得ない不満点は以下の通り。
-主人公ティムの年齢がよく分からないこともあり、結果として彼の内面を想像できず共感しにくい。(スパイダーバースでは、モテたい・認められたい・強くなりたい=ヒーローになりたい、と中学生である主人公の悩みが明確)
-パレードに乗じて起こした騒ぎなど 黒幕ハワードの目的がよく分からない。(スパイダーバースではキングピンの求めているものが明確。かつ、悪人にも良心あり、と思えるポイント)
-そして、敵(ハワード)の圧倒的強さも見えないので勝利の爽快感がない。(スパイダーバースでは序盤でプラウラーがフィジカルでの圧倒的強さを見せ、終盤のドクター・オクトパスとキングピンも時空の歪みを操るほどに強い。)
-主人公の成長があまり見られない(主人公の成長が全編に渡って描かれていたスパイダーバースとは対照的)
-にもかかわらず、ルーシーとの恋愛が進展する。(スパイダーバースでは、マイルスがグウェンに恋心を抱いているような描写もあったが、結局、恋愛はとりあげず、とにかくマイルスの人間的成長に的を絞って描かれている)
これらがことごとく曖昧だったり、見せ方が悪かったりするため、ミュウツーが実は敵ではなく仲間だったり、息子のロジャーが黒幕と見せかけて父親のハワードが黒幕だったり、悪いロジャーはロジャーではなくメタモンだったり、ピカチュウには実は父親の精神が入っていたり等の物語上のツイストがことごとく不発だったという印象です。 (個人的な感覚です。メタモンの登場は嬉しかったですが…)


なお、帰ったら、映画を未見のよう太(中3)に、「ピカチュウはお父さんだった?」と聞かれました(笑)。確かに、モンゴルマンの正体がラーメンマンであるくらい、このことは自明で、でも、それを「やっぱりそうだったんだ!」と感動させるくらいの何かがなければいけなかったと思いますが、観た感想としては、「別にその設定、なくても良かったのでは?」と思うほど拍子抜けでした。
自分の理解力がないのかもしれませんが、ミュウツーが、ピカチュウの記憶を奪って、お父さんの精神をそちらに移した理由とかもよく分からず、すべてに渡って腑に落ちませんでした…。
ゲームと連動しているようなので、あまり自由に脚本を作れなかったのかもしれませんが、面白そうなところは多数あったので残念です。
『スパイダーバース』よりも前に観たらもう少し評価が高かったかもしれません。
『バースデー・ワンダーランド』と『名探偵ピカチュウ』、2作続いて不満の多い鑑賞になってしまい残念です。何か自分の精神状態に問題があるのかも。
次回は、もっと温かい目で鑑賞できる精神状態と作品選定を心がけます。

 

 

 

名探偵ピカチュウ - 3DS

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