Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

Original Love "bless You! Tour"@中野サンプラザ7/20(Tour最終日)

bless You! (通常盤)

bless You! (通常盤)

公演前のすったもんだ

ぼくの知らない間に誰かがきて
ポストの中のものを全部取ったんだろう
 スガシカオ「サービス・クーポン」

今回、個人的に過去最大のトラブルに見舞われました。
前日夜になって準備しようと探したら買ったはずのチケットが見つからない!
まずは寝よう。と翌朝探しても、3月末に国際フォーラムで買ったはずのチケットは姿かたちも見えず。ソールドアウトで当日券の出ない公演だったため、ライブ参加も諦めていました。
しかし…
詳細は省きますが、その後、「電脳空間の神」*1の助けをお借りして、何とか、チケットをお譲り頂ける方に出会え、会場でチケットを入手することが出来たのでした。
結論から言うと、今回のツアー最終日の「bless You!祭り」は、「こんな理由」で参加出来なかったら大後悔の公演で、チケットをお譲りいただいた方には勿論、チケット入手の手助けをしていただいた神様には大感謝しています。
繰り返し御礼申し上げます。

セットリスト

今回、セットリストだけでも10杯ご飯を食べられる公演でした。

  1. Millon Secrets of JAZZ
  2. ペテン師のうた
  3. AIジョーのブルース
  4. 灼熱
  5. 疑問符
  6. DEEP FRENCH KISS
  7. I WISH
  8. ショウマン
  9. 冗談
  10. クロバットたちよ
  11. 地球独楽
  12. 空気-抵抗
  13. ゼロセット
  14. グッディガール
  15. お嫁においで
  16. 接吻
  17. 月の裏で会いましょう
  18. Two Vibrations
  19. The Rover
  20. bless You!

(アンコール)

  1. 逆行
  2. 希望のバネ
  3. 夜をぶっ飛ばせ


今回のセットリストの評判は聴こえてきていたのですが、実際に来てみて、まさかこれほどとは!と思わせるものでした。
『ELEVEN GRAFFITTI』『L』『ビッグクランチ』の楽曲が好きな自分としては、2曲目に「ペテン師のうた」が来た時から嬉しかったのですが、やはり圧巻は7~11曲目。
この流れの中に、最新作から「アクロバットたちよ」が入る、新旧融合ぶりが素晴らし過ぎました。

「I WISH」は、PUNPEEのユニットPSGが「愛してます」でサンプリングに使っていた関係もあり、1月のLOVE JAMで久しぶりに披露されました。ミラーボール?が回って会場に星が降るような演出がされましたが、こういう演出については2階席の方が見やすく、より楽曲に没入出来ました。

PSG - 愛してます



「ショウマン」は、田島自身によるピアノ弾き語りから入る名バラード。この曲は屈指の名曲で、初めてこの曲を聴いた観客、確実に「落ちる」であろう楽曲で、当時この曲を聴いていた人なら8割方は泣いています。


9~11曲目「冗談」「アクロバットたちよ」「地球独楽」は、以下のようなMCのあとで「サイケデリックロック」コーナーとして演奏された曲です。

  • オリジナルラブは長くやってきて、メンバーも途中抜けた。が、デビュー当時から木暮、真城とは一緒に仕事をしてきた。
  • 同級生だったのに、「お前とは組まない」と言っていた木暮は、今では手下(笑)
  • 最初は、こういうサイケデリックな音楽をやって来たのに、時々アルバムに、この種の楽曲が入ると、「方向性が変わった」等と書かれたが、元々あるものが出ているだけ。

この3曲はバックのスクリーンに写真が流れる演出がありましたが、「冗談」と「アクロバットたちよ」は、田島自身の撮影したものが、「地球独楽」は、宇宙の写真( ハッブル望遠鏡?)が使用されていました。
この形式での「冗談」の演奏は、1月のLOVE JAMのときから継続しているので、3曲まとめて定番化することを期待したいです。


なお、メンバー入場時の音楽は「逆行」のイントロで、まさかこの曲から?と驚きましたが、「逆行」はアンコール1曲目に、暗めの照明の中、圧倒的なカッコ良さを持って演奏されました。(ギター演奏に魅せられる中でのオカリナ演奏が最高!)
「空気-抵抗」と「逆行」は、バンド編成でしか演奏されないだろうと思うので、今後もバンドツアーの見せ場で持ってくるのではないでしょうか。

メンバー

何と言っても、この日の(田島曰く)「bless You祭り」を祭りたらしめているのは、参加メンバー。
バンドツアーの面々は、勿論、これまで初日からツアーを続けてきたこのメンバーですが…
ーギター:木暮晋也

これに加えて、7/20はゲストミュージシャンがいました。

ゲストミュージシャンは、それぞれ個性が出ていて面白かったです。
ひたすらクールに極上演奏を聴かせる渡辺香津美さんに対して、その後に出て来た長岡亮介は同じギタリストなんだけど、登場時からフライングVを引き摺るようにして現れ、派手な演奏も含めて、田島のクソ真面目さの対極にあるノイズとして機能していました。また、見た目がカッコいいので、いるだけで華があります。
そして、PUNPEE。上にも書きましたが、LOVE JAMは、サニーデイの参加以上に、PUNPEEが出るというので、忙しい時期に無理矢理参戦したようなもので、アルバム『MODERN TIMES』は何度も聴きました。

PUNPEE - タイムマシーンにのって (Official Music Video)


で、PUNPEEの観客盛り上げ力もさることながら、田島リスペクト感が極端すぎて慇懃無礼みたいになっているのが面白いんですよね。その関係性がわかっていてやっているのか、「お嫁においで」のあとで、田島がニコニコしながらフリースタイルラップバトルを仕掛ける小芝居が最高でした。
PUNPEEのラップはとても聴きやすいし、その中で、田島のオジキを「フリースタイルって言ってるけど、ずっとカンペ見てる」と軽くディスるあたりとかは今回の「祭り」の最大の成果ではないでしょうか。

ORIGINAL LOVE - グッディガール feat. PUNPEE (Love Jam Ver.)



そして、今回の最大の重要ポイントですが、ホーンセクションがいたのです。
その名もOriginal Love Horns!

  • サックス:永田こーせー
  • トランペット:真砂陽地
  • トロンボーン:大田垣 “OTG” 正信



ライブでは、 「夜をぶっ飛ばせ」 なんかは、田島が一人で演奏するバージョンを聴いた数が圧倒的に多いので、近年、しっかりバンドで演奏されるだけでも、感動していましたが、(いつもはカラオケだけだった部分に)ホーン隊が加わると、「カニカマも美味しいけど、カニってこんな味だったんだ!」と、ちょっと驚いてしまいました。
「the Rover」なんかも、ひとりソウルでのソロバージョンも良かったのですが、真城さんのお陰で熱望していた女性コーラスという穴が満たされ、さらに今回ホーンが鳴るのを聴くと、これも(あまり考えないようにしていた)長年の望みが叶って、むせび泣きです。
田島本人も「DEEP FRENCH KISS」「I WISH」のあとで、ずっとホーン隊をつけて演奏するのが夢だったみたいなことを言っていたし、アンコールが終わって舞台を去る際に、木暮さんが「また、ホーン隊とやりたいね」と田島に語りかけていたのも印象的でした。
今回は、東京だけでしたが、ライブのチケット単価を上げるなどしてでも、多くの公演で Original Love Hornsが活躍できるよう、来年以降のバンドツアーには期待したいです。

映像面

最後に、ですが、アルバム完成時に、田島は「 エキセントリックなアートロック エンターテインメントショーにしたいと思ってます」と語っており*2、終了後には「 今回は映像スタッフ、照明スタッフにも随分無理な注文をしたけどしっかり応えてくれて感謝しかない。目でも楽しむことができる新しいOriginal Loveのステージだった。」と語っているように、映像面にも力を入れていることが見て取れました。
bless You!や地球独楽を見ると、映像と音のシンクロも狙っていたようです。コーネリアスのツアーなんかを経験すると、シンクロ度合いを真面目にやろうとすればまた違う方向性になるので、あまりそこに拘る必要もないかな、と思うところもあり。
そして、bless Youの「花まみれのギター演奏映像」(書いていても何だかよく分かりませんが)の謎度合いが、田島貴男っぽいなあ、と思いました。
でも、こういった形で、田島貴男が撮影した写真や、ハッブル望遠鏡の宇宙映像を鑑賞できるのも、今後の楽しみが増えました。
それも含めて、これからのオリジナル・ラブの活動が楽しみになるライブでした。

最後に大好きな「bless You!」の歌詞を。

bless You!
優しさを
思いやる気持ち
もっともっと
おたがい
出会った人たちに
別れた人たちに
共に生きる人たちに
与えられるよう

参考(過去日記)

pocari.hatenablog.com
→真城さんのコーラスが入って嬉しかったときのライブレポ!(2013年エレクトリックセクシーツアー)
まさか「この先」があるとは!!


pocari.hatenablog.com
→これは全く本題ではないのですが、草野マサムネ×田島貴男対談の中でルナルナのアレンジについて「ホーンセクションを入れちゃうと渋谷にいっちゃう」という草野マサムネの発言があり、「渋谷系」と言えば、ホーンセクションだったのだな、という面白い発見がありました。


pocari.hatenablog.com
→アルバム『bless You!』は1曲ごとに感想を書いています(未完)が、中でも文章に力の入ったこちらを是非お読みいただければ!