Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

迎撃!田島貴男DCvol.4『ムーンストーン』『踊る太陽』『街男 街女』編

記事のタイトルは「田島貴男DC」としていますが、「田島貴男のHome Studio Concert ~ディスコグラフィー・コンサート」が正式名称。
買い忘れている人は早くチケットを買いましょう。

それにしても『街男 街女』と『東京 飛行』は2枚で1セットだから絶対に分けないかと思いきや3枚ずつというルールに淡々と従って『街男 街女』で切りましたね。

2021年一月から半年間に渡って、Original Loveのアルバムを3枚ずつピックアップし、その中から選んだ曲のみでライブする月に一度のプログラム「ディスコグラフィー・コンサート」。

第四回は『ムーンストーン』『踊る太陽』『街男 街女』からピックアップ。
 
チケットページURL:https://originallove.moala.live/products/hsc-5-st

■チケット価格:1,500円

■生配信予定日時:2021年4月10日(土) 21:00~22:00

http://originallove.com/news/2021/03/20/3338

対象アルバム

2001年~2004年の音楽

2001年の音楽

シングル


アルバム

2002年の音楽
シングル


アルバム

2003年の音楽
シングル


アルバム

  • 1位 CHEMISTRY:『Second to None』
  • 2位 浜崎あゆみ:『RAINBOW』
  • 3位 B'z:『The Ballads 〜Love & B'z〜』

2004年の音楽
シングル

※シングルCDのミリオンセラーは、1989年以来15年ぶりに皆無

アルバム

  • 1位 宇多田ヒカル:『Utada Hikaru SINGLE COLLECTION VOL.1』
  • 2位 Mr.Children:『シフクノオト』
  • 3位 クイーン:『クイーン・ジュエルズ 〜ヴェリー・ベスト・オブ・クイーン〜』

個人的に大きなイベントがいくつかあったこともあり、色々な音楽を積極的に摂取していたのはこの頃までかもしれない。(何回か書いたことがあるが、モーニング娘。を一番聴いていたのも2000年~2002年の頃。)
それと合わせるように、この頃が最もオリジナルラブから心が離れた期間で、『RAINBOW RACE』から連続して行っていたライヴも、『ムーンストーン』で一回休みとなる。
この頃のことを思い返すと、『ムーンストーン』というアルバムでオリジナル・ラブの音楽に魅力が無くなったというより、別のミュージシャンの音楽に気持ちが移ってしまったということが大きい。


前回、鬼門と書いた『ビッグクランチ』と『ムーンストーン』は、一般的な評価が非常に高いのに、長らく自分にとって響かない音楽で、前回は何故『ビッグクランチ』が心に響かないか、という側面で自己の嗜好を探ったがそもそもアプローチが誤っていた。
オリジナル・ラブの外に原因はあり、それは特にスガシカオによるところが大きい。

  • 『Sweet』(1999年9月8日)
  • 『4Flusher』(2000年10月25日)
  • 『SMILE』(2003年5月7日)
  • 『TIME』(2004年11月17日)

Sweet4FlusherSMILETIME(初回)(DVD付)


スガシカオを聴き始めたのは1998年だったが、この頃のスガシカオは破竹の勢いで活躍を続け、曲は勿論、歌詞の素晴らしさに心を惹かれていた時代。一方、同時期のオリジナルラブは、歌詞に最も「迷い」(ポジティブな言葉を使えば「挑戦」)が見えた時期で、正直言って理解しづらいところがあった。
同時期にアイテムに傾けることのできる情熱量の総量は変わらない、という「トキメキ総量一定の法則」*1にしたがって、相対的にオリジナル・ラブの地位は下がっていく。
ましてや、2004年は岡村靖幸『Me-imi』、2005年1月に100s『OZ』などの個人的名盤が生まれる時期。特に、以前にも増して歌詞に重きを置いて音楽を聴くようになった時期にもかかわらず、自分がオリジナル・ラブに求めていた歌詞と、リリース作品とのギャップがかなり大きかった。
ビッグクランチ』については、当時の苦手意識が今回も払拭できなかったというのは、何だか複雑だが、何事も第一印象が大切ということなのだろうか。

ムーンストーン』(2002年3月20日

ムーンストーン

ムーンストーン

  • アーティスト:ORIGINAL LOVE
  • 発売日: 2002/03/20
  • メディア: CD

実は、『ビッグクランチ』の聴き直しの末の低評価は、自分にとってショックだったのです。今だったら、あれだけ嫌いだった友だちも許せるだろうと思って、久しぶりに会ってみたら「やっぱり無理」なんていう感想は書きたくなかった。
だから、『ムーンストーン』はビクビクしながら聴き直したのですが、これは良いです。感覚的には、自分にとって『ELEVEN GRAFFITI』に似ているかもしれない。圧倒的に好きだったり嫌いだったりする曲が少ないため、全体を通してフラットに聴ける。しかも、全体のコンセプトは一貫しているから、通して聴きやすい。
好きな曲は「GLASS」「悪い種」「冗談」ですが、両A面シングルの「夜行性」「アダルトオンリー」*2も良いですね。


ただ、ひとつ気になるのは歌唱。ベストのキーよりも少し高めの曲が多いのでしょうか。この頃は歌い方にも変化がみられるので、自分の中でのストライクな歌唱法は『L』までで、『ビッグクランチ』『ムーンストーン』と変わっていく中で、いつの間にかストライクゾーンから外れていったのかもしれません。


街男 街女(2004年10月27日)

街男 街女

街男 街女

  • アーティスト:ORIGINAL LOVE
  • 発売日: 2004/10/27
  • メディア: CD

順番は逆になるが『踊る太陽』よりもこちらを先に。
『街男 街女』は、オリジナル・ラブの数あるアルバムの中でも非常に親しみのあるアルバムだ。
というのは、2004年はこのブログを始めた年だから。
勢い余り過ぎて、アルバム詳細が発表される前に収録曲予想について書くなど最も「やり過ぎていた」時代なので、仙台に住んでいたことも含めて、当時のことをとても懐かしく思い出す。


いま改めて聴くと、やはり「築地オーライ」が強烈。今回の3枚の中では特に『街男 街女』は、「ちょっと聴く」のには向かず、このバスに乗ってしばらく小旅行というイメージのアルバムだ。個人的には、バスに乗るために一歩踏み出すのが億劫に感じてしまう。
ただ、乗ると楽しめるアルバムで、特に『街男 街女』のラスト2曲のスペクタクルはオリジナル・ラブ史上でも1,2を争う盛り上がり。
さらに収録シングル曲である「沈黙の薔薇」が名曲過ぎるし、このアルバムの中だと比較的多く演奏される「ひとりぼっちのアイツ」も聴きやすく、幕の内弁当的ですらある。
にもかかわらず、アルバムを聴くのに「重たい腰を上げる」(個人差あります)感覚になってしまうのは、結局、「銀ジャケットの街男」「死の誘惑のブルース」「赤い街の入り口」「或る逃避行」の独特な世界観が、どうしても「重たい感じ」を生んでしまうからなんだと思う。
でも、これらの曲は、いざ聴き始めると結構良いし面白い。


ひとつ、何でかな?とおもってしまうのは、やっぱり「YEN」で、「ものの価値を貯める手段」とか「国に払い過ぎないように知恵もしぼる」とかは、オリジナル・ラブ史上でも最上級にカッコ悪い歌詞だと思う。
勿論、そのカッコ悪さも含めて、「歌詞」に対するトライが見えるけれど、田島貴男が歌う歌じゃないよなあ、と当時の自分は思ったし、その部分は今もあまり変わらない。

踊る太陽(2003年6月18日)

踊る太陽

踊る太陽

1996年からオリジナル・ラブのアルバムを出るたびに聴いてきたが、この『踊る太陽』は、聴く回数の少なさでは1、2を争うかもしれない。

その理由は何かと考えると、ひとつには、「まとまりの無さ」が挙げられると思う。
まず、このアルバムには「恋の彗星」「Tender Love」「美貌の罠」の3つのシングル曲があるが、オリジナル・ラブのアルバムでのシングル収録曲数として最大だろう。それだけでもアルバムの印象をやや散漫にするが、それぞれが、自分の中では「良い曲だが表彰台には上らない曲」だ。それは歌詞に理由がある。
アルバムの特徴は、松本隆松井五郎町田康作詞曲とカバー曲(「ほしいのは君」:訳詞は友部正人)の計4曲(10曲中)が田島貴男本人によらない詞であるということは間違いないと思う。
さらに、田島詞では、岡本太郎色の強い「ブギー4回戦ボーイ」と、新境地「のすたるぢや」と、これまでと少し色が違う曲があり、残った「ふられた気持ち」「相棒」もまた、前作までとは「変えたい」という気持ちを強く感じる歌詞となっている。
結果として、シングル3曲は、冒険をしない、というか、何となく「皆様の考えるオリジナル・ラブ」的なイメージ、「こんな曲だったら売れるでしょ」的なイメージを受け取ってしまって、当時の自分はあまり面白くなかった。


『踊る太陽』からシフトした歌詞世界に対する反発には、個人的な思いも強く影響している。
自分にとって田島貴男は「石と空、それだけの景色」(Your Song)や「見渡すかぎりの海に浮かぶボート」(神々のチェス)のように、風景や、人間がメインに出てこない詞を歌ってサマになる唯一の日本人男性歌手という思いが、特に当時は非常に強かった。
『踊る太陽』は、ツアーでも「網走番外地」をカバーしたように、人間臭い場所に「神」が下りてきてしまったアルバムで、自分にとっては、その挑戦は必要ないのでは?と思ったのだった。(結局、「ふられた気持ち」 に代表される「人間臭い」歌詞世界の路線は、そのまま『街男 街女』に引き継がれ発展していった。)

今改めて聴くと、3曲のシングルは勿論、どの曲も「挑戦」を強く感じ、ファイティングポーズを取り続ける田島貴男の姿を強く感じる。特に(これが「挑戦」なのかどうかは置いておくとして)「Tender Love」のPVを久しぶりに見たら、この二人は付き合っているのか?とすら思わせる仲良し二人組の悪ふざけ映像っぷりが凄い。「呪いのビデオ」とは反対に、見たら幸せになれる「祝いのビデオ」ですね。


www.youtube.com

演奏してほしい3曲

  • 夜行性
  • GLASS
  • 冗談
  • ふられた気持ち
  • 銀ジャケットの街男
  • 或る逃避行
  • 鍵、イリュージョン

お、『街男 街女』への想いが強いか。

セットリスト

工事中

*1:そんなものがあるかどうかは知りません。

*2:それにしても、両A面シングルが1,2曲目に並ぶ曲順は、今聴いて違和感があるわけではないですが、やっぱりよく意味がわからず、一周回って凄いのかもしれないと思っています。