Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

カモン!(少し)高いところ!~『東京もっこり散歩』×『東京 街なか山さんぽ』

丘を越え、行こうよ。古墳、築山、富士塚もっこりでほっこり。

日本の国土は山地が多い。
富士山を筆頭に、3,000m 級の山々が連なる日本アルプスから、
高尾山など都心からのアクセスの良い低山まで、実に様々な山がある。
大都会と称される東京でも、奥多摩に行けば緑の稜線がどこまでも続いている。

それらの山の登山やハイキングコースを紹介する本は数多く出版されているが、
本書はそれらとは一線を画す“超" 低山のガイドブックだ。
超低山とは高さ10m 未満だったり、高くてもせいぜい70 mくらいだったりする、あっという間に登れてしまう山のこと。
その山は、あなたの通う会社や学校へのルート上に、あるいは自宅のすぐ近くにあるかもしれない。
だが、そんな小さな山でも、歴史あり自然ありと見どころに溢れている。

さあ、登ってみよう、街なかの超低山を。
見晴らしは山によって様々だが、ひとつ言えることは、登ればきっと、いつも歩いている街並みとは違う景色が広がるということだ。


週末、マラソンの練習がてら、あちこちに走りに行っているが、高い場所があったらとりあえず登ってみる。
「馬鹿と煙は高いところが好き」という言い方もあるが、やっぱり高い方が眺めがいいからなのかな。
取り上げる2冊の本も、そういう「高いところが好き」な人に向けた本なのかもしれない。もっと、高いところに行ってみたい。


初版は「山さんぽ」が2020年12月、「もっこり散歩」が2020年9月、ということで、完全に企画が被ってしまったように見える2冊だが、以前からこのジャンルの本はあり、2018年出版の『東京まちなか超低山』の新装版が2021年に出ているから、ブームが来ているということなのかもしれない。


『東京もっこり散歩』は、「古墳系」(11か所)、「お山系」(5)、「富士塚系」(12)と対象を3分類するが、全28か所と対象は少ない。曖昧カテゴリーの「お山系」は、箱根山毛呂山公園、石神井城址、旧芝離宮の大山、浜離宮の御亭山のみだが、古墳、富士塚と雰囲気が似ており、企画意図が明確で、文章も読みやすい。


『街なか東京山さんぽ』は、大きくは地域で分類し、東京23区(24か所)、多摩(11)、神奈川・埼玉・千葉(9)。それぞれ「街なかの山」「築山」「富士塚」「里山」のカテゴリーに分類された44か所に加え、番外編として古墳7か所を加え計51か所。全体地図と、見やすいイラストマップと合わせて、近隣情報も充実しており、行先を考えるガイドとして使いやすいが、もっこり散歩に比べて文章はシンプル。


「山さんぽ」は、副題に「超低山ガイド」と言っているのに、この括りから外れる「里山」を加えてしまっている段階で、当初想定した企画意図からブレが生じている可能性があり、「もっこり散歩」の方が軸がしっかりしている気がする。古墳を番外編として分ける理由もよくわからない。
また、掲載点数からすると、「もっこり散歩」に載っているものはほとんどが「山さんぽ」に載っているかと言えばそうでもない。行ったことがあれば絶対に紹介したい、見た目が「ピグモン」(ガラモン)の東葛西 中割天祖神社の中割富士塚は「もっこり散歩」にしかなく、その意味では、「超低山」を網羅できているのは、「もっこり散歩」の方かもしれない。
ただし、共通して紹介されている板橋区の「茂呂山公園」は、「もっこり散歩」では、「毛呂山公園」という誤表記で紹介されている。しかも文章では、近くにある遺跡名は「茂呂遺跡」で「漢字が違う」と触れられており、わざわざ「茂呂山」ではなく(旧町名の)「毛呂山」なのだと強調されているので、思い込みなのだろうか。


ということで、コンセプトはよく似ているが、中身はそれぞれ異なる2冊の本。
写真集的に楽しむなら『東京もっこり散歩』(写真:芳澤ルミ子)、ガイド的に活用するなら『山さんぽ』という言い方もできる。
『東京まちなか超低山』は以前に読んでいるが、今回の2冊を見たあとだとどう感じるか、新装版を改めて読んでみたい。

やっぱり行きたいピグモン富士塚

やっぱり今回の2冊で一番行きたくなったのは、中割天祖神社の中割富士塚
でも、場所が江戸川区東葛西という、都内で最も行きそうにない場所なので困る。
ピグモン富士塚」で検索すると、トップでブログが出てくる有坂蓉子さんは富士塚に詳しく、富士塚についてはこれを読めという本も出しているようなので、こちらも読んでみたい。


行きたい(近く)

ランニングコースとして加えられる範囲として、基本的には旧東京市よりも西側エリアから、気になるスポットを抽出してみた。
【】内は「も」が「もっこり散歩」、「山」が「山さんぽ」。

  • 野毛大塚古墳(世田谷区)【も】:等々力渓谷のすぐ近くで、少し離れて写真を撮れば古墳とすぐにわかる。(もっこり散歩の表紙写真上段)一度行ったはずだが、久しぶりに行きたい。
  • 武蔵野府中熊野神社古墳(府中市)【も】:ここも行ったことがあり、外見としてはインパクトがあるが、展示館が併設されているのは知らなかった。
  • 高倉塚古墳(府中市)【も】:分倍河原駅のすぐ近くとのことで、近くを通り過ぎることが多いという意味で寄りたい場所。
  • 池田山公園(品川区)【山】:品川から目黒に連なる城南五山(御殿山、八ツ山、島津山、池田山、花房山)のうち規模が最も大きい山。「池泉回遊式庭園」という書き方をされているから、それなりに立派な場所なのか。
  • 品川富士(品川区)【山・も】:レインボーブリッジが望める、都内の富士塚で一番の眺望。神社は訪問済みのはずだが、もしかしたら富士塚に登っていないかも。用攻略。
  • 佐伯山緑地(大田区)【山】:本門寺公園から大森寄り。挙げておいてなんだが、池上本門寺の方が魅力的かな。(高低差もある)
  • 西向天神社(新宿区)【山】:箱根山(戸山公園)は2度行ったことがあるが、近くのこちらは未だ。セットで訪れたい。
  • おとめ山(新宿区)【山】:高田馬場の北側にある公園。行ったことがあるが、一部分だけだったので一周してみたい。新宿区では新宿中央公園に次ぐ規模の公園とのこと。
  • 成子富士(新宿区)【山・も】:区内6つの富士塚で最大。見た目がゴツゴツしていて面白い。新宿区のやつはセットで行きたい。
  • 和田山(中野区)【山】:名称は和田義盛の陣屋を構えた伝承から。哲学堂公園妙正寺川付近のみしか見てないので、全体を攻略したい場所。成子富士やおとめ山とセットで行けそうか。
  • 八坂神社の中里富士(練馬区)【山・も】:  練馬区は電車では行きにくいが直線距離だと何とかなる。南の鳥居越しの眺めが日本画のようだとされており、その美しさを確認したい。
  • 清水山の森(練馬区)【山】:同上。大泉富士とセットで行こう。23区唯一のカタクリ群生地があり、3月~4月の一時期のみ開放しているという。
  • 中里富士塚清瀬市)【山・も】:ここも遠いが、ゴールを東所沢におけば、悪くない場所。以前、改修中で行けなかった東久留米駅の富士見テラスとセットで行ってみたい。
  • 三角山(清瀬市)【も】:野火止用水沿いの浅間神社。同じ清瀬市でも中里富士塚とは離れており、ルートを少し考える必要。
  • 滝の城址所沢市)【山】:武蔵野線沿いだが、東所沢駅新座駅のちょうど中間に位置するのが残念。上の中里富士塚とセットで行きたいが…

参考(過去日記)

pocari.hatenablog.com
ここで紹介している『東京周辺ヒルトップ散歩』は丘陵や里山を対象とした本で、スポットの紹介というよりは、コースの紹介がされている。
やっぱりこれらと「超低山」はカテゴリーが違うと思う…。(里山は好きなので、その情報が入っている分は文句はないのですが)

pocari.hatenablog.com
もっこり散歩」は、こちらの本で知ったが、写真をメインにしているという意味では、『見つける東京』と『東京もっこり散歩』は似ている。