Yondaful Days!

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オリジナル・ラブ20枚目のアルバム『MUSIC, DANCE & LOVE』と積み減らし

当初、9/21に発売を予定していたが、発売が11/16に延期となっていたオリジナル・ラブの20thアルバム『MUSIC, DANCE & LOVE』のジャケットと曲目が発表になった。

1 侵略
2 Music, Dance & Love
3 優しい手 - Gentle Hands
4 フェイバリット
5 ソングライン
6 接吻 (M.D.L. Version)
7 雨に出かけて
8 月と太陽
9 Dreams (M.D.L. Version)
10 忘れな草
11 ソウルがある

驚いたのは、これまでライブで何度も演奏していた「ホークアイ」が収録曲の中にないこと。
いや、よく見ると、1曲目に「侵略」という曲がある。


先月9/4の日比谷野音*1で歌詞を変えて演奏された「ホークアイ」は、当日限りの特別バージョンなのではないかと思っていたが、タイトルまで変更したようだ。
日比谷野音のライブで最初で演奏された「ホークアイ」は、河合さんのハモンドオルガンのイントロからゆっくりと始まり、不穏な空気を醸しながら演奏が進むと、聴こえてくる歌詞は明らかにロシアの侵略戦争のことだと分かって来る。*2

核をちらつかせ威嚇する
狂った夢を実現させるのに
小さな命まで奪って熱狂している
見過ごし黙って諦めていてはいけない こればかりは
何度でもはっきりと大声でアピールしよう
この侵略戦争をストップしろと

比喩やほのめかしではなく、あまりに直球の歌詞なので驚き、だからこそ、2022年9月現在のことを歌った、その場限りの歌詞なのだと思っていた。
実際、この歌が次にライブで演奏されても、踊ったり合唱したりすることはないだろう。体を揺らしこそすれ、直立不動で無言で聴き入るしかない。
今回のアルバムには「接吻」*3が入るにもかかわらず、世間一般の、どころか、ファン歴が長い人にとっても従来のオリジナル・ラブ観の枠から外れる曲でだと思う。、
しかし、一方で、これこそ、まさに岡本太郎が言うところの「人生積み減らし」を体現したような曲なのではないかと思う。

人生は積み重ねだと誰でも思っているようだ。
ぼくは逆に、積み減らすべきだと思う。

財産も知識も、蓄えれば蓄えるほどかえって人間は自在さを失ってしまう。
過去の蓄積にこだわると、いつの間にか堆積物に埋もれて身動きが出来なくなる。
人生に挑み、本当に生きるには、瞬間瞬間に新しく生まれ変わって運命をひらくのだ。
それは心身とも無一物、無条件でなければならない。
捨てれば捨てるほど、いのちは分厚く、純粋にふくらんでくる。 
今までの自分なんか、蹴とばしてやる、そのつもりでちょうどいい。

久しぶりに「侵略」を聴き直した時に、「あのときは本当に心配だったけど、最悪を免れて良かったね」と言える未来になってほしい。


なお、日比谷野音のライブでは、この「侵略」(ホークアイ)があったことにより、個人的な評価が上がった曲がある。
それは、最も最近のリリースとなる、TENDREとのコラボ曲『優しい手 ~ Gentle Hands』だ。

優しい手 ~ Gentle Hands

優しい手 ~ Gentle Hands

  • WONDERFUL WORLD RECORDS
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B面なしの1曲リリースの場合、何度も聴こうとすると、その曲ばかりを繰り返し聴くことになるが、そうすると、この曲の歌詞は「甘過ぎる」。
暗いニュースばかりとは言わないけれど、ウクライナのニュースを日々目にする状況では、「優しい手の先に未来はある かならず」というサビの歌詞が浮いて聴こえて、反発を覚えるほどだった。
だから、(個人的感覚では)アルバムのバランスを考えれば、「侵略」で描かれるような厳しい現実認識があることによって「優しい手」の歌詞が救いになり、明るく響いてくる。絶望の中で光に手を伸ばしたくなる。*4


また、披露された新曲でアルバムタイトル曲の「MUSIC, DANCE & LOVE」も「音楽を奪うことはできない」と歌う、力強い曲。祝30(+1)周年の雰囲気を持ちながら、全体としてメッセージ色の強いアルバムになるのではないかと思う。
メッセージ色の強いということで言うと、日比谷野音のライブは、最後にアンコールで「逆行」を演奏して、これも個人的にツボに刺さりまくる選曲だったので、今回のアルバムのラスト曲には注目してしまう。
発表になっているラスト曲「ソウルがある」というタイトルにはダジャレ感もあるが、ガツンと殴られるような楽曲を期待したい。*5

何はともあれ、3年半ぶりとなる新作。大変期待しています。

*1:日曜の夜のライブは行きたくないので自宅参加…

*2:聞き取り内容から2番の歌詞を引用。

*3:先日発売された「MUSIC MAGAZINE 10月号」で、90年代のJポップベストソングスの堂々ベスト1位に輝いた楽曲。おめでとうございます!!

*4:「スイカに塩」効果。この場合はスイカハバネロか。

*5:ダジャレではないよね。念押し