Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

自転車の夢、遠のく(笑)~栗村修『今日から始めるスポーツ自転車生活』×高千穂遙『ヒルクライマー宣言』

(前回までのあらすじ)
高千穂遙ヒルクライマー』は、小説ながらも、素人が自転車にのめり込む様子が描かれており、舞台が生活圏に近いことや、普段ランニングをしていて目につく自転車乗りの人たちの生態がよくわかる内容だった。 
 高千穂さんがロードバイクを始めた50歳という年齢は、今の自分にも近く、これまで「そっちに行っちゃだめだ」という心の声で抑えられてきた「自分も始められるのでは?」が抑えきれなくなり、まずは本を読んで勉強してみよう、ということになった。

2冊のガイド本を読んでみて

高千穂遙ヒルクライマー宣言』は、とにかく本音ベースで、個人的意見が書き連ねられているので、(多分)偏りがある。したがって、ひたすら読みやすいのは良いところだが、本音過ぎてとまどうこともあった。
それに対して、栗村修さんの本は、立場的に色々なものを背負っている*1だけあって(笑)、本音ベースは抑えられ、どのような形で自転車を始めるときにも参考になるような本となっている。
したがって、内容を比較しながら上手く補い合って読むことができ、2冊並行して読んだのは正解だった。


ヒルクライマー宣言』の1章~2章は、まさに小説『ヒルクライム』の冒頭のように、栂池のヒルクライムをきっかけに高千穂さんが「坂に目覚め」、自身がヒルクライムレースに参加する体験談が書いてあるが、練習時の落車事故の話が書いてあったのが、特に勉強になった。
落車したのは多摩川サイクリングロード(多摩サイ)で、自分にとってもランニングで頻繁に利用するところだ。
自分がランナーということもあるが、あそこは幅が狭いのにランナー、歩行者と、ママチャリ、ロードバイクが並走しており、何か事故が起きることは十分考えられると思いながら通ってはいた。
高千穂さんは、骨折は無かったとはいえ、全身打撲でヘルメットが割れ、そのあと、怪我の後遺症が残ったというから大事故だ。
こういう話は身が引き締まる。


それ以降は、3章が自転車、4章がパーツとウェアの選び方、5章が実際に走り始めるまでの話が載っていて、とても初心者向けだ。
しかし、この本は、基本的には「ヒルクライムをやらせたい本」で、例えば自転車選びにおいて読者に選択肢はあまりない(笑)

例えば、『ヒルクライマー宣言』3章では、

  • クロスバイクは後悔するから、ロードバイクを買え(ロードバイクは全くの別物で格が違う)
  • 予算の範囲内で、可能な限り高い自転車を買え
  • もっと言えば軽い自転車にしろ。目安はフル装備で7㎏だ。
  • そうすると、オススメは完成車で25万円が最下限だ。これにペダル・ウェアその他もろもろで、あと5~10万円かかる

という話が載っている。具体的なのは良いが、選択肢がなくハードルが高い(笑)


これに対して栗村修さんの本では、まず自転車の種類を説明した上で、それぞれの長短(というか主に長所)について書かれており、読者は選択が可能だ。
扱われているのは、マウンテンバイク、ロードバイクグラベルロード、クロスバイク、小径車(折り畳み自転車盗)およびE-バイクで、比較的新しいということもあり、グラベルロードがやや推されているようにも読める。(価格はロードバイクで10~100万、グラベルロードで10~30万としてある)
グラベルロードは未舗装道路も走れる万能型のロードバイクで、タイヤが太い。ロードバイクは段差が苦手ということも知り、より安全に乗れそうで、変な道を行くのが好きな自分には合っているように感じる。


ただ(栗村さんの本は、あまり短所が書かれていないので)、ネットで調べてみると、グラベルロードは「重量」でのデメリットがあり、例えばヒルクライムレースに出るならロードバイクを選択するのが普通らしいということもわかった。
なお、レースについて言えば、ヒルクライムレースは、坂道を走るため速度が遅く、ロードレースで見られる集団落車のようなことは起きない安全なスポーツだという。言われるまで気がつかなかった。高千穂さんもその点でヒルクライムを勧めているし、栗村さんも同様だ。


さて、『ヒルクライマー宣言』の7章では、自転車の改造について書かれているが、「パーツの軽量化をしだすと金銭感覚が狂うほど自転車に投資することになる」と書かれているように、怖い話が具体的に書かれている。
こういうところが栗村さんの本には無いので、とても勉強になる。


そして、栗村さんの本に絶対に書かれておくべき内容で何故か書かれていない最重要事項について、高千穂さんの本では触れられている。

さあ、ショップに行こう。
しかし。
その前にやっておくことがある。
部屋の片づけだ。
最初から片づいている人はいい。でも、室内が派手に散らかっている人、持ち物がやけに多い人は、自転車を買う前にそれをなんとかしておかなくてはいけない。
ロードバイクは室内保管が基本だからだ。


これには大ショック。(言われてみればその通りなのだが)
自転車購入の夢が、相当遠のいた。
そして、さらにハードルを上げる、当然必要な準備についても触れられている。

まずは家族の理解だ(そこからか!)。

家の中に自転車を置くっていうのは、ふつうの人にはすごく抵抗がある。場所はとるし、オイルやグリスの臭いもある。おまけに、何よりも邪魔である。
それを説得して、置き場所を作る。


さらに遠のいた。

ただ、色々と知識を得ることができ、今後、ランニング中に見かける自転車乗りがどうしているか、の注目ポイントが増えた。(駐車をどうしているか、シューズをどうしているか等)
野望は胸に秘めつつ、何よりもまず、部屋を片づけるよう努力しよう。

参考(過去日記)

pocari.hatenablog.com
pocari.hatenablog.com

*1:一般財団日本自転車普及協会に所属