Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

劇中劇の構成の妙の真骨頂〜美内すずえ『ガラスの仮面』16

ガラスの仮面 (第16巻) (白泉社文庫)

ガラスの仮面 (第16巻) (白泉社文庫)

全編にわたって「二人の王女」の話が展開します。
アルディスとオリゲルドという二人のライバル関係は、北島マヤ姫川亜弓のライバル関係に近く、一方が天然で、もう一方が、華やかに見えて実は努力型という個々の本質も分かった上で、月影先生は配役を決めたのでしょう。
オリゲルドの「白い眼」率が高いのは、北島マヤの「天才」に常に驚き続ける亜弓さんの心情を表現しています。(笑)
紅天女」と同じ構造ですが、劇中劇のストーリーと本編のストーリーのシンクロさせて、本編の人間関係も平行して深みを増していく流れは、本当に上手いです。

引き立て役の引き立て役、舞ちゃん頑張れ!〜美内すずえ『ガラスの仮面』17

ガラスの仮面 (第17巻) (白泉社文庫)

ガラスの仮面 (第17巻) (白泉社文庫)

この巻からは「狼少女ジェーン」が始まり、演劇界の鬼才・黒沼龍三も初登場です。
共演する桜小路君との再会もありますが、注目は、登場の度に常にオドオドした表情の舞ちゃん(桜小路君の彼女・麻生舞)の名前ありでの初登場(名前なしでの初登場は12巻だと思います)です。
この巻は、かろうじてマヤが桜小路君を恋愛対象として意識するシーンもありますが、結局は、桜小路君はマヤにとっての「魂のかたわれ」である速水真澄の引き立て役。*1そして、その桜小路君のマヤへの思いを表現するための引き立て役が舞ちゃんになります。
なお、1976年連載開始の「ガラスの仮面」における携帯電話初登場シーンは、話題になったようですが、舞ちゃんが桜小路君からの連絡を待っているのは、まだ「黒電話」です。

*1:この巻には、演劇鑑賞に始まり、プラネタリウムにケーキ、縁日と盛り沢山のデートシーンがあります。プラネタリウムシーンは超重要。