Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

紀元前から現代までを18の漫画でつなぐ~茂木誠・大久保ヤマト 『バトルマンガで歴史が超わかる本』

バトルマンガで歴史が超わかる本作者:茂木誠,大久保ヤマト飛鳥新社Amazon歴史と漫画の相性が良いことはよく知っている。駿台予備校世界史講師による本ということもあり、これはかなり期待できるのではないか? と思っていたが、店頭で本を実際に見ての印象は…

「叱られる小説」と思って読んだら「呆れられる小説」~ミン・ジヒョン『僕の狂ったフェミ彼女』

僕の狂ったフェミ彼女作者:ミン・ジヒョンイースト・プレスAmazon 以前「狂ったフェミ彼女」の本を読んだことがある。 pocari.hatenablog.com この本の衝撃(というか罵倒され体験)は自分にとって過去最大級に大きく、そのせいもあり、「叱られ好きな自分」…

作品テーマを見抜けなかった~ジョーダン・ピール『NOPE』

今回、事前情報を出来るだけ遮断して観に行き、「UFOの映画らしい」程度のことしか知らなかった。そのことで逆に、映画館に入ってからもっと知っておくべきだったのでは?と不安になったが、広い牧場と空が絵的に美しい映画で、内容も、ホラーというかパニッ…

あみ子は可哀想?~今村夏子『こちらあみ子』

こちらあみ子 (ちくま文庫)作者:今村夏子筑摩書房Amazon今村夏子『星の子』のラストは、自分にとって衝撃だった。物語のセオリー通りに進まない話だったからだ。 pocari.hatenablog.com しかし、その後、映画を観て改めて考え、読者の押し付けた幸福の物語に…

タイル楽しい~加藤郁美『にっぽんのかわいいタイル 昭和レトロ・モザイクタイル篇』

増補新版 にっぽんのかわいいタイル 昭和レトロ・モザイクタイル篇作者:加藤郁美国書刊行会Amazon 今年の夏休みは、岐阜への帰省にかこつけて、あいちトリエンナーレ(今年から名称が変わり、「トリエンナーレ」が取れて「あいち2022」となった)に行ってき…

ブライアンを愛でる映画~『ブライアン・ウィルソン 約束の旅路』

ビーチボーイズは、自分にとって本当に思い入れのあるグループで、ビートルズはむしろビーチボーイズとの関連から聴き始めた。すなわち『ラバーソウル』に対抗して『ペットサウンズ』が出来、『ペットサウンズ』に対抗して『サージェントペパーズ』が出来た…

「フラグ」に逆らって生きる~大森立嗣監督『星の子』

今村夏子『星の子』は、自分にとって衝撃をもって受け止めた作品だけに、映画では、どのように改変されているのか?そして芦田愛菜はどう演じているのか? 色々と興味を持ってみた映画だった。 そして、同時期に読んだ今村夏子『こちらあみ子』が、『星の子…

それぞれのリトルホンダを育てるということ~長沢栄治監修『13歳からのイスラーム』

13歳からのイスラーム作者:長沢 栄治かもがわ出版Amazonイスラームについての本を読むのは久しぶりだ。 過去のブログを振り返ると、5年前くらいに少し固めて読み、それ以降は、本としてはあまり読んでいなかった。 ということもあり、今回、リハビリがてら易…

『さかなクンの一魚一会』×『さかなのこ』

学ラン姿で釣りをするのん そのビジュアルに一目惚れして待ちに待った映画『さかなのこ』*1。 まずは原作で予習を済ませて万全の体勢で迎え撃った。 さかなクン『さかなクンの一魚一会』 さかなクンの一魚一会 ~まいにち夢中な人生!~作者:さかなクン講談…

「しかたがない」と犠牲を強いてきたのは誰か~平井美帆『ソ連兵へ差し出された娘たち』

ソ連兵へ差し出された娘たち (単行本)作者:平井 美帆集英社Amazon戦争の話というと、1945年8月15日を機に終わり、その後は混乱期のどん底から立ち上がっていく。そのイメージが強かった。*1 しかし、ラジオでフィリピンや中国の残留孤児について扱った映画『…

カモン!(少し)高いところ!~『東京もっこり散歩』×『東京 街なか山さんぽ』

東京もっこり散歩──街中のふくらみを愉しむ作者:いからし ひろき自由国民社Amazon東京 街なか山さんぽ 地形と歴史を楽しむ超低山ガイド作者:江戸楽編集部メイツ出版Amazon 丘を越え、行こうよ。古墳、築山、富士塚…もっこりでほっこり。 日本の国土は山地が…

井上荒野は君に語りかける~井上荒野『生皮 あるセクシャルハラスメントの光景』

生皮 あるセクシャルハラスメントの光景作者:井上 荒野朝日新聞出版Amazon 小説講座の人気講師がセクハラで告発された。なぜセクハラは起きたのか? 家族たちは事件をいかに受け止めるのか? 被害者の傷は癒えるのか? 被害者と加害者、その家族、受講者たち…

ラスト1ページの衝撃~今村夏子『星の子』

今村夏子の作品には前々から興味があった。 特に、豊崎由美×大森望の「文学賞メッタ斬り」の芥川賞予想の企画(ラジオ)で、候補作に入るたび、豊崎由美の「読む楽しさ」がこぼれ落ちるような評が尋常でなかったことが大きい。 さらに、枡野浩一×古泉智浩のp…

楽しい仕掛けに満ちたびっくり箱のような本~横道誠『唯が行く! ー当事者研究とオープンダイアローグ奮闘記』

唯が行く! ー当事者研究とオープンダイアローグ奮闘記作者:横道 誠金剛出版Amazon 双極性障害の家族を持ち自身も発症の疑いを持つ大学生、唯(ゆい)は大学のサークル活動を起点として自助グループの運営にかかわるようになり、当事者研究とオープンダイアロー…

自転車の夢、遠のく(笑)~栗村修『今日から始めるスポーツ自転車生活』×高千穂遙『ヒルクライマー宣言』

(前回までのあらすじ) 高千穂遙『ヒルクライマー』は、小説ながらも、素人が自転車にのめり込む様子が描かれており、舞台が生活圏に近いことや、普段ランニングをしていて目につく自転車乗りの人たちの生態がよくわかる内容だった。 高千穂さんがロードバ…

対話を通じた子どもたちの変化に涙~豪田トモ監督『こどもかいぎ』

映画は「これが観に行きたい!」と決まっている時もあるが稀で、今回も 8/1の午後にiPhoneのバッテリー交換に行く、iPhonを預けている時間に見られる映画があれば… 場所はAppleストアのある有楽町か新宿 映画コムで気になる映画を探して、上映時間を確認して…

「坂馬鹿」たちに鼓舞される小説~高千穂遙『ヒルクライマー』

ヒルクライマー (小学館文庫)作者:高千穂遙小学館Amazon近藤史恵さんの一連の自転車ロードレース小説の関連でAmazonのオススメにこの本が出てきたときは、「同姓同名の人がいるんだな、しかも作家で…」と思ってしまった。 しかし、確認すると「クラッシャー…

ツール・ド・フランス2022後半×近藤史恵『スティグマータ』

news.jsports.co.jp さて、終わってみると、1週目のポガチャルの優勢は、2週目以降、ユンボ・ヴィスマの総合力によって抑えられ、マイヨ・ジョーヌと山岳賞はヴィンゲゴー、マイヨ・ヴェールはファンアールトが取り、つまり4賞*1のうち3賞をユンボ・ヴィスマ…

行きたい!が増える~岡部敬史、山出高士『見つける東京』

見つける東京作者:岡部 敬史東京書籍Amazon岡部敬史・文、山出高士・写真による「目でみることば」シリーズは、手に取りやすいサイズ、写真中心で次々とページをめくりたくなる本だが、この本は、その魅力をさらに倍化した。 構成は、同一キーワードに関する…

栗村修さんの名解説とともに~近藤史恵『サヴァイヴ』

ツール・ド・フランス(ジロ・デ・イタリア)については、Amazonプライム経由で見られるデイリーハイライトと関連番組を見ているが、その時に出てくる解説でも特に好きなのは、栗村修さん。 元選手とは思えない軽々しいトークとダジャレが素晴らしい。 どう…

ツール・ド・フランス2022前半×近藤史恵『エデン』

エデン (新潮文庫)作者:近藤 史恵新潮社AmazonAmazonプライムのJSPORTS(お試し期間無料)にも登録し、ジロ・デ・イタリアの振り返りとツール・ド・フランスの追っかけを始めた。 ジロ・デ・イタリアも約3週間かかるレースなので、休息日にまとめて7~9レー…

ツール・ド・フランスを迎撃~近藤史恵『サクリファイス』×映画『パンターニ/海賊と呼ばれたサイクリスト』

今年は、色んなタイミングが重なり、ツール・ド・フランスを見てみようということになった。 ロードレースの小説の傑作と言われる『サクリファイス』のシリーズを、これを機会に読み直してみよう、そういう流れになるのは当然のことだ。 ということで、ツー…

みんな最悪なんだからみっともなく生きていい~ヨアキム・トリアー監督『わたしは最悪。』

水曜日の仕事終わりに時間が取れそうと思ったとき、ド派手なエンタメや主張のはっきりした作品「ではない」作品を観ようと思って選択した映画。 で、実際、観に行って良かった。 こういう風に、何だかわからないものを観に行って、何だかわからない感じで帰…

上半期の振り返り(鎌倉関連、SF、映画、そのほかのベスト)

5月以降は特に定期的に更新が出来たこともあり、上半期振り返りをしようと思い立ちました。 上半期は大きな傾向が3点あり、この3点に沿ってそれぞれのベストを挙げます。 『鎌倉殿の13人』関連の、源平合戦~鎌倉時代の本が多い なぜか珍しくSFが多い 映画…

悪人が裁かれない嫌な事件~『そして陰謀が教授を潰した ~青山学院春木教授事件 四十五年目の真実~』

そして陰謀が教授を潰した ~青山学院春木教授事件 四十五年目の真実~ (小学館文庫)作者:早瀬圭一小学館Amazon 教授による教え子強姦事件は有罪か、無実か。本作は、1973年に青山学院で起きた「教授による女子学生強姦事件」の真相を、 元新聞記者である著…

アニメ『平家物語』×映画『犬王』×小説『平家物語 犬王の巻』

アニメ『平家物語』 【Amazon.co.jp限定】平家物語 Blu-ray box(「監督・山田尚子、音楽・牛尾憲輔スペシャルインタビュー」視聴コード付)ポニーキャニオンAmazon『平家物語』を見終わったのは、まさに『犬王』を観る一週間前くらいのことだった。 見始めた…

サーリャは今も頑張れているのか~川和田恵真監督『マイスモールランド』

『マイスモールランド』は、同僚から最近見た映画として薦められて、その名を知った。 クルド人難民の映画と聞いて気にはなったが、「社会問題」をテーマにしたドキュメンタリー映画(と勘違いしていた)は、少し敷居が高い。『シン・ウルトラマン』など観た…

軽い気持ちで読んだら歴史的名作でした~高木彬光『成吉思汗の秘密』

成吉思汗の秘密 新装版 (光文社文庫)作者:高木 彬光光文社Amazon またもや『鎌倉殿』関連の読書。『成吉思汗の秘密』というタイトルからは、昔流行した『人麻呂の暗号』を思い出すが、この本は名探偵が登場するタイプのミステリであることが大きな特徴だ。 …

「用例採集」の現場~飯間浩明『知っておくと役立つ街の変な日本語』

知っておくと役立つ街の変な日本語 (朝日新書)作者:飯間 浩明朝日新聞出版Amazon 飯間浩明さんは、三省堂国語辞典の編纂に携わる「辞書の人」として名前は知っていたが本を読むのは初めて。 今回は、図書館で目立つ陳列がされていたので、VOWネタみたいなも…

芸術とAIと青春~斜線堂有紀『ゴールデンタイムの消費期限』

ゴールデンタイムの消費期限作者:斜線堂有紀祥伝社Amazon斜線堂有紀の本は初めて。そもそもは5月に見た映画『死刑にいたる病』からの連想で著作『恋にいたる病』経由でその名を知り、今回、Amazonでレビュー数の多かった本書を読んでみた。 ミステリ作家の中…