Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

「食えない羊羹」としてのスマホ~高橋久美子『旅を栖(すみか)とす』

旅を栖とす作者:高橋 久美子KADOKAWAAmazon 5/12のアトロク(ラジオ番組アフター6ジャンクション)のサウンドスケープ特集がよかった。 これまで、少し足を伸ばせば簡単に行けたあの街ですら、今は、はるか遠い星のよう。だったら、いつかの旅行で訪れたあ…

肖像画って面白い~佐藤賢一『フランス革命の肖像』

<ヴィジュアル版> フランス革命の肖像 (集英社新書)作者:佐藤 賢一集英社Amazon 『ベルサイユのばら』と『大奥』を読んで本当に良かったのは、歴史に興味が沸いたこと。 これまで、フランス革命に対する自分の認識は「非難爆発(1789)フランス革命」という…

「日本の恥」としての入管~織田朝日『となりの難民』

となりの難民――日本が認めない99%の人たちのSOS作者:織田 朝日発売日: 2019/11/01メディア: 単行本 「難民」という言葉を聞いて、あなたは何を思い浮かべますか? 外国で住む場所がなくなった人? それとも、どこか遠い国にあるキャンプの人たち? じつは、日本…

『大奥』と似てるとこ・似てないとこ~池田理代子『ベルサイユのばら』(3)~(5)

ベルサイユのばら 3 (集英社文庫(コミック版))作者:池田 理代子発売日: 1994/12/01メディア: 文庫ベルサイユのばら 4 (集英社文庫(コミック版))作者:池田 理代子発売日: 1994/12/01メディア: 文庫ベルサイユのばら 5 (集英社文庫(コミック版))作者:池田 理代…

さらけ出すコミュニケーション~清田隆之『さよなら、俺たち』

さよなら、俺たち作者:清田隆之発売日: 2020/07/02メディア: Kindle版読まなくちゃとずっと思っていた清田隆之さんの著作を初めて読みました。 男性の書くフェミニズムの本ということで、女性が書くそれよりも、さらに気の引き締まる思いでページをめくりま…

逃げ道が無い「運命」と幸せ~『掏摸』×『メランコリック』

中村文則『掏摸』 掏摸 (河出文庫)作者:中村文則発売日: 2013/06/14メディア: Kindle版 東京を仕事場にする天才スリ師。ある日、彼は「最悪」の男と再会する。男の名は木崎、かつて仕事をともにした闇社会に生きる男。木崎は彼に、こう囁いた。「これから三…

どの作品にもつい桜小路君を探してしまう~池田理代子『ベルサイユのばら』(1)(2)

ベルサイユのばら 1 (集英社文庫(コミック版))作者:池田 理代子発売日: 1994/12/01メディア: 文庫ベルサイユのばら 2 (集英社文庫(コミック版))作者:池田 理代子発売日: 1994/12/01メディア: 文庫フランス革命について勉強するために…という名目で読み始めた…

「電波停止発言」と番組制作~永井愛『ザ・空気』

ザ・空気作者:永井 愛発売日: 2018/07/25メディア: 単行本 人気報道番組の放送数時間前、ある特集の内容について局の上層部から突然の内容変更を命じられ、現場は大混乱に陥る。 編集長の今森やキャスターの来宮は抵抗するが、局内の“空気"は徐々に変わって…

迎撃!田島貴男DCvol.4『ムーンストーン』『踊る太陽』『街男 街女』編

記事のタイトルは「田島貴男DC」としていますが、「田島貴男のHome Studio Concert ~ディスコグラフィー・コンサート」が正式名称。 買い忘れている人は早くチケットを買いましょう。それにしても『街男 街女』と『東京 飛行』は2枚で1セットだから絶対に分…

田島貴男 「弾き語りツアー2021」東京国際フォーラム (配信)の感想

弾き語りツアーは時間を遅らせて家で視聴。最高でした! フレキシブルな形で見ることが出来るのは嬉しいけど、本当は会場に行きたかったなあ。 セットリスト 1.I WISH 2.ラヴァーマン 3.春のラブバラッド (MC:久しぶりのホールでゼロから頑張る/このあと…

シンエヴァあれこれと「労働」

映画を観てから1週間。 前回書いた「感想」に足すべきものが増えたので改めて書いてみた。 何となく自分の気持ちとも折り合いをつけられた気がする。 「プロフェッショナル 仕事の流儀 庵野秀明スペシャル」(2021/3/22) www.nhk-ondemand.jpシンエヴァの制…

感想『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』

『これまでのヱヴァンゲリヲン新劇場版』+『シン・エヴァンゲリオン劇場版 冒頭12分10秒10コマ』メディア: Prime Video 考察を色々と読みだしたら止まらなくなってきたのでシンプルに感想を。 →続きはこちら。 pocari.hatenablog.com メカ 冒頭のパリから良…

それでも野外排せつを続ける理由~佐藤大介『13億人のトイレ -下から見た経済大国インド』

13億人のトイレ 下から見た経済大国インド (角川新書)作者:佐藤 大介発売日: 2020/08/10メディア: Kindle版 つい先日もテレビで「クアッド」と呼ばれる4か国のニュースがあった。 日本とアメリカ、オーストラリア、インドの4か国の枠組みによる初めての首脳…

迎撃!田島貴男DCvol.3『ELEVEN GRAFFITI』『L』『ビッグクランチ』編

記事のタイトルは「田島貴男DC」としていますが、「田島貴男のHome Studio Concert ~ディスコグラフィー・コンサート」が正式名称。 買い忘れている人は早くチケットを買いましょう ■チケットページURL: https://originallove.moala.live/products/hsc-4-st …

推しは命にかかわるか~宇佐美りん『推し、燃ゆ』

推し、燃ゆ作者:宇佐見りん発売日: 2020/09/10メディア: Kindle版 推しが燃えた。ファンを殴ったらしい。まだ詳細は何ひとつわかっていない。何ひとつわかっていないにもかかわらず、それは一晩で急速に炎上した。 そんな冒頭から始まる第164回芥川賞受賞作…

新聞記者の仕事とは ~三浦英之『南三陸日記』

南三陸日記 (集英社文庫)作者:三浦 英之発売日: 2019/02/20メディア: 文庫 住んで、泣いて、記録した。東日本大震災直後に受けた内示の転勤先は宮城県南三陸町。瓦礫に埋もれた被災地でともに過ごしながら、人々の心の揺れを取材し続け、朝日新聞に連載され…

竜児とマヤとキャンディ~いがらし ゆみこ・水木 杏子『キャンディ・キャンディ』

キャンディ・キャンディ (8) 講談社コミックスなかよし (315巻)作者:ゆみこ, いがらし,杏子, 水木発売日: 1978/11/22メディア: コミック 『キャンディ・キャンディ』が届くまで ご存知の方も多いと思うが、『キャンディ・キャンディ』は、日本どころか世界で…

迎撃!田島貴男DCvol.2『風の歌を聴け』『RAINBOW RACE』『Desire』編

記事のタイトルは「田島貴男DC」としていますが、「田島貴男のHome Studio Concert ~ディスコグラフィー・コンサート」が正式名称。 買い忘れている人は早くチケットを買いましょう。 2021年一月から半年間に渡って、Original Loveのアルバムを3枚ずつピック…

さすがに一冊ではわからない~関眞興『一冊でわかるドイツ史』

一冊でわかるドイツ史 (世界と日本がわかる 国ぐにの歴史)作者:眞興, 関発売日: 2019/11/21メディア: 単行本まずは読んだ自分を誉めたい。1月初めに今年は歴史を勉強するぞ!と宣言したその気持ちは続いていることを自分のことながらも改めて認識しました。 …

どこが「復興」し、何に「打ち勝つ」のか?~三浦英之『白い土地』

白い土地 ルポ 福島「帰還困難区域」とその周辺 (集英社クリエイティブ)作者:三浦英之発売日: 2020/11/27メディア: Kindle版 「人類が新型コロナウィルスに打ち勝った証として」という欺瞞に満ちた枕詞がすっかり印象づいてしまったが、そもそも東京五輪は、…

迎撃!田島貴男DCvol.1『LOVE! LOVE! & LOVE!』『結晶』『EYES』編

記事のタイトルは「田島貴男DC」としていますが、「田島貴男のHome Studio Concert ~ディスコグラフィー・コンサート」が正式名称。 本当に素晴らしい企画で期待が高まります。 3枚ずつのピックアップということで、1/23(土)の配信ライブで対象となるアル…

神奈川県or武蔵県or多摩県だった可能性も~梅田定宏『なぜ多摩は東京都となったか』

以前、東京都の歴史を調べたとき、23区が生まれる過程についてとても面白く読んだ。ただ、他の本も同じだが、「東京」のことを書いてある本には、多摩地域のことが載っていないことが多いことが、23区「外」在住の都民としては、とても残念だった。そんなと…

歴史地理に詳しくなりたい~『一冊でわかるロシア史』×『絶対に住めない世界のゴーストタウン』

職場の同僚に東ヨーロッパの国出身の人(日本語は問題なし)がいることもあり、ヨーロッパのロシア寄りの地域に地理的にも歴史的にも興味があります。 先日読んだ『マウス』も、歴史だけでなく、東ドイツ、ポーランドなどの地理的な位置関係が勉強になりまし…

迎撃!田島貴男「ディスコグラフィー・コンサート」(に向けた準備)

LOVE! LOVE! & LOVE!発売日: 2016/02/03メディア: MP3 ダウンロード 選手宣誓 2020年のまとめとして、配信ライブは数多く行われているが、臨場性に欠け、 ライブ会場までの移動がないことも含めワクワクしないという不満を書きました。しかし、その後、確か…

『ジェニーの記憶』と「性交同意年齢」と「性的同意」

ジェニーの記憶 (字幕版)発売日: 2019/01/21メディア: Prime Video年末に、性交同意年齢の引き上げに関するtweetがいくつか回ってきて、その中で、多くの人が、この問題を考える上でオススメの一作として挙げており、しかもAmazonプライム見放題が年内いっぱ…

傑作!でも終わり方がしっくり来ない~柚木麻子『BUTTER』

BUTTER(新潮文庫)作者:柚木麻子発売日: 2020/06/05メディア: Kindle版 結婚詐欺の末、男性3人を殺害したとされる容疑者・梶井真奈子。世間を騒がせたのは、彼女の決して若くも美しくもない容姿と、女性としての自信に満ち溢れた言動だった。週刊誌で働く30…

2020年について

春には家族で久しぶりの海外旅行。高校1年の長男は学校行事で海外研修に行って、東京五輪があって、盛りだくさんの1年だったね。 …とはならなかった2020年。 あまりに普通の年と違ってしまっていて、来年以降もこれが標準としたくない1年間だったので、忘れ…

女性キャラクターが戦う理由~王谷晶『ババヤガの夜』

ババヤガの夜作者:王谷晶発売日: 2020/10/22メディア: 単行本 ちょうど、Yahooの記事で、『鬼滅の刃』に登場する女性キャラクターについて取り上げた記事があった。鬼殺隊の中心メンバー「柱」を担う甘露寺蜜璃と胡蝶しのぶという二人の女性が、それぞれ何故…

炭治郎の「アジる力」~吾峠呼世晴『鬼滅の刃』全23巻

鬼滅の刃 23 (ジャンプコミックスDIGITAL)作者:吾峠呼世晴発売日: 2020/12/04メディア: Kindle版鬼滅の刃の23巻を読んだ。 最終巻も、最後になって無惨が自分の主義を変えるなど、一筋縄ではいかない意外な展開を見せ、全速力で駆け抜けた物語だった。 世間…

アウシュヴィッツ生存者の父親のことを今でも許せない~アート・スピーゲルマン『完全版 マウス』

完全版 マウス――アウシュヴィッツを生きのびた父親の物語 (フェニックスシリーズ)作者:アート・スピーゲルマン発売日: 2020/05/18メディア: 大型本 アウシュヴィッツの生存者、ヴラデックの体験記録。息子のアート・スピーゲルマンがマンガに書き起こした『…