パフェとデートする。~ひとりパフェ活のすすめ~ (ホーム社)作者:斧屋集英社Amazon斧屋さんのことは知っていたが、何となく「孤高の研究者」タイプなのではないかと思っていた。 しかし、『胃が合うふたり』で猛獣のような2人に「パフェ先生」と親しまれて…
経緯 5月に次のようなニュースが世間を騒がせた。 沖縄戦で犠牲になった学徒隊の生徒らを慰霊する「ひめゆりの塔」(沖縄県糸満市)について、自民党の西田昌司参院議員が3日、那覇市内で開かれたシンポジウムで、説明内容を「ひどい」「歴史の書き換え」な…
いなくなくならなくならないで作者:向坂くじら河出書房新社Amazon 死んだはずの親友・朝日からかかってきた一本の電話。時子はずっと会いたかった彼女からの連絡に喜ぶが、「住所ない」と話す朝日が家に住み着き――。デビュー作にして第171回芥川賞候補作。 …
対岸の家事 (講談社文庫)作者:朱野帰子講談社Amazonここ数年は1シーズンで1つか2つはドラマを見ている。 TVerなどの見逃し配信があるので、ずぼらな自分でも追いかけていける。 2025年4月からのシーズンは、「天久鷹央の推理カルテ」*1「対岸の家事」(+朝…
俺ではない炎上作者:浅倉秋成双葉社Amazon これは良かった。 『六人の嘘つきな大学生』に感じた不満は、まるでそれを見透かされていたかのように、完全に解消した。 その不満とは、作品が主張するメッセージはとても良いのに、後半の伏線回収へのこだわりが…
確か1月にジークアクスの映画を観に行ったときに予告編で知り、それからずっと楽しみにしていた本作。 もちろん日本人形に対する怖さ、というのはある。しかし、それ以上に、「部外者による家族乗っ取られ作品」(例:洗礼、ジョジョ第一部)というカテゴリ…
水上バス浅草行き作者:岡本 真帆ナナロク社Amazon上坂あゆ美『地球と書いてって読むな』における「フルーツに生まれ変わるとしたら」の人ということで知った岡本真帆さんの歌集ということで読んでみた。 やっぱり短歌は良い。歌集は良い。 改めて考えると、3…
胃が合うふたり(新潮文庫)作者:千早茜,新井見枝香新潮社Amazon 2人のプロフィール 執筆している2人のうち、一人が自由人で破天荒。もう一人は、寛容で適度に几帳面。 2人の職業が作家と元書店員と聞けば、自由人なのは作家の方だろうと思うが、そうではな…
ミスター・チームリーダー作者:石田夏穂新潮社Amazon 理想を求める中間管理職の奮闘に切り込む、シニカルなボディ・メイキング文学 勤務先で係長に抜擢された後藤は、ボディビルの選手でもあった。ある日、社内の人材の無駄に切り込み組織の代謝を上げると大…
これをやめれば痩せられる―医学的に正しい ダイエットNG習慣ランキング作者:奥田 昌子東洋経済新報社Amazon 栄養や健康面についてまとめられた「食」の本は、時々読むようにしている。 意識せずとも日頃から多くの情報に触れてしまうため、こちらも知識を…
五百旗頭監督の作品を観るのは初めて。 したがって、今回は、『はりぼて』の監督の作品で、能登の震災についても内容に含まれる、との程度のことしか知らずに映画を観に行った。ドキュメンタリー映画をそれほどたくさん見るわけではないため、これまで観た映…
役に立たないロボット 日本が生み出すスゴい発想(インターナショナル新書) (集英社インターナショナル)作者:谷明洋集英社Amazon「弱いロボット」関連の本は、非常に気になっていて、これまで2度挑戦したのに挫折して放置。 しかし、今回、「弱いロボット」…
六人の嘘つきな大学生 (角川文庫)作者:浅倉 秋成KADOKAWAAmazon 面白く読んだ。 面白く読んだが、大きな違和感が残った。元々20代前半の人のオススメで読んだ本ということもあり、今の人たちは、こういうのが好きなのか?という世代間格差を感じてしまった。…
デミ・ムーアがオスカーを獲るかで注目されていた作品ということは知っていたが、その設定を読み、フェイバリット漫画の楳図かずお『洗礼』を思い出し、行かなくては!となった。 しかし、実際に観てみると、『洗礼』がグロテスクな部分もありながら、最後は…
コミケへの聖歌作者:カスガ早川書房Amazon 人類がほぼ絶滅したあとの世界を描くポストアポカリプスもの。 それなのに、女子高生がサバイバルというよりは、日常生活を、趣味を続けるタイプの物語は読んだことがある。終末ツーリング 1 (電撃コミックスNEXT)…
ゆうずどの結末 (角川ホラー文庫)作者:滝川 さりKADOKAWAAmazon ちょっとタイトルが澤村伊智っぽく、信頼の角川ホラー文庫ということで120%の期待を持って挑んだ本。ホラー小説自体、それほど多くを読んでいないので、そもそも、これがホラー「ど真ん中」な…
カフカはなぜ自殺しなかったのか? 弱いからこそわかること作者:頭木 弘樹春秋社Amazonタイトルの引きが強いが、1924年に41歳で結核で亡くなったカフカの生き方、考え方について紹介する本。 変わっているのは、カフカの手紙と日記が大量に引用されているこ…
2016年6月に閉店したニューヨークの伝説的レコードショップ「アザー・ミュージック」の21年間の歴史をたどるドキュメンタリー。音楽ファンの友人同士であったクリス・バンダルーとジョシュ・マデルにより、1995年にマンハッタンのイーストビレッジにオープン…
二木先生 (ポプラ文庫)作者:夏木志朋ポプラ社Amazon どうしたら普通に見えるんだろう。どうしたら普通に話せるんだろう――。 いつもまわりから「変」と言われ続けてきた高校生の田井中は、自分を異星人のように感じていた。友だちが欲しいなんて贅沢なことは…
箱庭クロニクル作者:坂崎かおる講談社Amazon これは途轍もなく巧い小説を読んでいるぞ。 読み始めてからすぐにそう思い、6話の短編すべてを読み終えてもその気持ちは続いた。 直後に読んだ夏木志朋『二木先生』*1も、面白い小説だったが、なぜ『箱庭クロニク…
『名探偵コナン 隻眼の残像(フラッシュバック)』 今年のコナンは長野県警! そんなことは1年前から分かっていたのに、大した予習もしないままに公開初日のチケットを買ってから勉強不足に気がつく。 何とか主要キャラの背景について勉強を終えてから鑑賞…
バーセル・アドラー/ユバル・アブラハーム/ハムダーン・バラール/ラヘル・ショール監督『ノー・アザー・ランド 故郷は他にない』 パレスチナ自治区であるヨルダン川西岸地区において、イスラエルが進める「入植」の実態がよくわかる映画だった。 もちろん…
ラジオ番組で知って、上坂あゆ美さんの本を2冊続けて読んでみました。 エッセイと歌集の差こそあれ、どちらも、ラジオで聴いた上坂さんのイメージに輪をかけて「明け透け」で楽しい本でした。地球と書いて〈ほし〉って読むな (文春e-book)作者:上坂 あゆ美文…
めんどくさがりなきみのための文章教室作者:はやみねかおる飛鳥新社Amazon 10年以上も前だろうか、一時期、文章読本や文章術の類の本をよく読んでいた。 今回久しぶりに手に取ったのは、子どもが小学生時代によく読んでいた、はやみねかおるさんが(というこ…
絵本戦争 禁書されるアメリカの未来作者:堂本 かおる太田出版Amazon トランプ政権の嫌なところはいくつもあるが、思想信条まで手を突っ込んでくるところは本当にどうかしていると思う。 www.newsweekjapan.jp www.newsweekjapan.jp このように、既に思想によ…
私はチクワに殺されます (双葉文庫)作者:五条紀夫双葉社Amazon以前、『全裸刑事チャーリー』を読んだときは、「ワンアイデアを掘り下げず、それのみで描き切っており、作品世界に深みが足りない」というような上から目線の苦言を文章に残した。(⇒自分の感覚…
言霊の幸う国で (単行本 )作者:李 琴峰筑摩書房Amazon これまた申し訳ないが、図書館の予約本。 李琴峰さんの名前は、芥川賞を取ったときに知っていたが、何故この本を予約したんだっけ?と、やや疑問を持ち、しかも現物は500ページ弱あるのを見て「あ、これ…
隠された聖徳太子 ――近現代日本の偽史とオカルト文化 (ちくま新書)作者:オリオン・クラウタウ筑摩書房Amazonこれは面白い、というより、自分の好みに合った新書だった。 表面的には「珍説を楽しむ」部分が確かにあるが、読み進めると、偽史やオカルト言説の…
極上掌篇小説作者:いしい しんじ,石田 衣良,伊集院 静,歌野 晶午,大岡 玲,大崎 善生,片岡 義男,勝目 梓,車谷 長吉,玄侑 宗久KADOKAWAAmazon 図書館で予約していた本が届くと、「自分は何でこの本を?」と思うことが続く中、この本については、予約した理由は…
14歳〈フォーティーン〉満州開拓村からの帰還 (集英社新書)作者:澤地久枝集英社Amazon わたしは軍国少女だった。 満州での敗北、難民生活と壮絶な引き揚げ体験。 自身の「戦争」を、いますべて綴る。「昭和」を見つめ、一貫して戦争や国家を問うてきた著者の…