Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

2024-08-01から1ヶ月間の記事一覧

期待感だけなら満点の反則ミステリ~麻耶雄嵩『あぶない叔父さん』

あぶない叔父さん(新潮文庫)作者:麻耶雄嵩新潮社Amazon 紀伊国屋の新宿本店で、ミステリかホラーか「怖い」に関連するフェアで見かけてこの本を知った。その時のポップに惹きつけられるものがあって手に取った。 麻耶雄嵩 は久しぶりだったが、全く知らな…

「ブラタモリ前」の硬派な街歩き本~松本泰生『東京の階段』

東京の階段―都市の「異空間」階段の楽しみ方作者:松本 泰生日本文芸社Amazon 図書館で、サイクリングマップとか街歩き関連の本を繰り返し借りている。 この種の本は、購入した場合「死蔵」してしまうことが多く、図書館で、背表紙を眺めながら、「これ久しぶ…

落ちるVS吸い上げられる~スコット・マン監督『FALL』×リー・アイザック・チョン監督『ツイスターズ』

『ツイスターズ』は映画館で、『FALL』は配信作品として鑑賞。特に意識して選んだわけではないが、どちらの作品も、バズるために危険なことに挑戦するという題材は似ており、また、観客として、恐怖を感じるスペクタクル映像を求めている点も共通する。 ただ…

根本的な問題はどこに~橋迫瑞穂『妊娠・出産をめぐるスピリチュアリティ』

この本を読むまで 今年出版された三砂ちづる『頭上運搬を追って~失われゆく身体技法』という本を読んだのが、そもそものきっかけとも言える。頭上運搬を追って~失われゆく身体技法~ (光文社新書)作者:三砂 ちづる光文社Amazonこの本は、かつて日本全国で…

「知らぬ間に築いていた自分らしさの檻」の話~ケルシ―・マン監督『インサイド・ヘッド2』

『インサイド・ヘッド2』が好調と聞いて、録画した金曜ロードショーで前作を予習してから劇場に足を運んだ。 で、感想としては、期待していたほどではなかった。 というより明確に前作の方が良かったと感じたので、その理由について文章にまとめておきたい。…

一貫性と政治的正しさと共感から逃れる〜九段理江『しをかくうま』

[asin:B0CXDMG6N9:detail]すごい(すごく意味の分からない)本を読んでしまった。 本を手にしたきっかけは、間をあけて2件の書評を読んだことだったと思う。 あとから読んだのは池澤春奈さんによる書評(読売新聞)だった。その書評からあらすじ紹介部分を抜…