Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

2025-04-01から1ヶ月間の記事一覧

巧い小説はここにあります~坂崎かおる『箱庭クロニクル』

箱庭クロニクル作者:坂崎かおる講談社Amazon これは途轍もなく巧い小説を読んでいるぞ。 読み始めてからすぐにそう思い、6話の短編すべてを読み終えてもその気持ちは続いた。 直後に読んだ夏木志朋『二木先生』*1も、面白い小説だったが、なぜ『箱庭クロニク…

フィクション作品の時間の歪み~『新幹線大爆破』vs『名探偵コナン 隻眼の残像』

『名探偵コナン 隻眼の残像(フラッシュバック)』 今年のコナンは長野県警! そんなことは1年前から分かっていたのに、大した予習もしないままに公開初日のチケットを買ってから勉強不足に気がつく。 何とか主要キャラの背景について勉強を終えてから鑑賞…

ニュースには映らない人たちと暮らし~『ノー・アザー・ランド』×『ウンム・アーザルのキッチン』

バーセル・アドラー/ユバル・アブラハーム/ハムダーン・バラール/ラヘル・ショール監督『ノー・アザー・ランド 故郷は他にない』 パレスチナ自治区であるヨルダン川西岸地区において、イスラエルが進める「入植」の実態がよくわかる映画だった。 もちろん…

ひろゆきと和民~上坂あゆ美『地球と書いて〈ほし〉って読むな』『老人ホームで死ぬほどモテたい』

ラジオ番組で知って、上坂あゆ美さんの本を2冊続けて読んでみました。 エッセイと歌集の差こそあれ、どちらも、ラジオで聴いた上坂さんのイメージに輪をかけて「明け透け」で楽しい本でした。地球と書いて〈ほし〉って読むな (文春e-book)作者:上坂 あゆ美文…

主人公の成長を応援!~はやみねかおる『めんどくさがりな君のための文章教室』

めんどくさがりなきみのための文章教室作者:はやみねかおる飛鳥新社Amazon 10年以上も前だろうか、一時期、文章読本や文章術の類の本をよく読んでいた。 今回久しぶりに手に取ったのは、子どもが小学生時代によく読んでいた、はやみねかおるさんが(というこ…

米国の禁書運動と読まれるべき絵本~堂本かおる『絵本戦争』

絵本戦争 禁書されるアメリカの未来作者:堂本 かおる太田出版Amazon トランプ政権の嫌なところはいくつもあるが、思想信条まで手を突っ込んでくるところは本当にどうかしていると思う。 www.newsweekjapan.jp www.newsweekjapan.jp このように、既に思想によ…

面白いミステリだけれど負の読後感~五条紀夫『私はチクワに殺されます』

私はチクワに殺されます (双葉文庫)作者:五条紀夫双葉社Amazon以前、『全裸刑事チャーリー』を読んだときは、「ワンアイデアを掘り下げず、それのみで描き切っており、作品世界に深みが足りない」というような上から目線の苦言を文章に残した。(⇒自分の感覚…