映画
元々ゲームの概略は耳にしていたので、映画化の話を聞いて、まず、「このゲームをどうやって映画に??」という、その挑戦自体にとても興味を持った。 そして、ボレロが流れ、ゲームそっくりの画面が出る予告編を見てさらに期待は高まる。 今年はいつもより…
遠い山なみの光〔新版〕 (ハヤカワepi文庫)作者:カズオ イシグロ早川書房Amazon イギリスで暮らす悦子は、娘の自殺に直面した喪失感のなか、故郷の日々に思いを馳せる。 戦後の長崎、復興しつつある街で、彼女は佐知子に出会った。娘を一人で育て、男と渡米…
期待度高く観に行ったものの「波に乗れなかった」と感じてしまった一作。 以下、良かった部分を挙げたあと、波に乗れなかった理由を考えたい。 おすすめポイント1:コロナと青春 この映画のおすすめポイントは、イントロダクションに巧くまとめられている。 …
上半期に観た映画は19本でした。以下、感想を書いたものにはそのリンクを、書いていないものについては一言感想を綴っていきます。 1月 pocari.hatenablog.com pocari.hatenablog.com 2月 pocari.hatenablog.com pocari.hatenablog.com 3月 Flow:台詞がない…
経緯 5月に次のようなニュースが世間を騒がせた。 沖縄戦で犠牲になった学徒隊の生徒らを慰霊する「ひめゆりの塔」(沖縄県糸満市)について、自民党の西田昌司参院議員が3日、那覇市内で開かれたシンポジウムで、説明内容を「ひどい」「歴史の書き換え」な…
確か1月にジークアクスの映画を観に行ったときに予告編で知り、それからずっと楽しみにしていた本作。 もちろん日本人形に対する怖さ、というのはある。しかし、それ以上に、「部外者による家族乗っ取られ作品」(例:洗礼、ジョジョ第一部)というカテゴリ…
五百旗頭監督の作品を観るのは初めて。 したがって、今回は、『はりぼて』の監督の作品で、能登の震災についても内容に含まれる、との程度のことしか知らずに映画を観に行った。ドキュメンタリー映画をそれほどたくさん見るわけではないため、これまで観た映…
デミ・ムーアがオスカーを獲るかで注目されていた作品ということは知っていたが、その設定を読み、フェイバリット漫画の楳図かずお『洗礼』を思い出し、行かなくては!となった。 しかし、実際に観てみると、『洗礼』がグロテスクな部分もありながら、最後は…
2016年6月に閉店したニューヨークの伝説的レコードショップ「アザー・ミュージック」の21年間の歴史をたどるドキュメンタリー。音楽ファンの友人同士であったクリス・バンダルーとジョシュ・マデルにより、1995年にマンハッタンのイーストビレッジにオープン…
『名探偵コナン 隻眼の残像(フラッシュバック)』 今年のコナンは長野県警! そんなことは1年前から分かっていたのに、大した予習もしないままに公開初日のチケットを買ってから勉強不足に気がつく。 何とか主要キャラの背景について勉強を終えてから鑑賞…
バーセル・アドラー/ユバル・アブラハーム/ハムダーン・バラール/ラヘル・ショール監督『ノー・アザー・ランド 故郷は他にない』 パレスチナ自治区であるヨルダン川西岸地区において、イスラエルが進める「入植」の実態がよくわかる映画だった。 もちろん…
とにかく絵画的に美しい作品で、最初から最後まで画面に惹きつけられた。 パンフレットに寄稿された宇垣美里評のタイトル「全ての瞬間を額に入れて飾らせて!」に完全同意。 サンダース監督が「クロード・モネによって生命を吹き込まれた宮崎アニメの森を想…
元々評価が高く気になっており、『RRR』のように、かっこいいアクション映画の側面が評価されている映画なんだろうと思っていたが、アトロク2の宇多丸評を聴くと、それだけではないらしい。これは行かずに済まされない、ということで、2/2に鑑賞! 舞台は伝…
『鋼鉄紅女』を読んで、ロボット熱が盛り上がっているところで、公開されたばかりのガンダム新作の入場者特典第2弾がすごい(設定原案を含んだ資料集)と聞き、それ目当てに観に行ってきました。最初に書きますが、自分はガンダム弱者で、40年くらい前に、初…
年末年始はせっかくなので、原作結末を知らないために後回しにしていた「【推しの子】」の実写ドラマを追いかけて、原作ラストもカバーするという映画版を見ることにした。 12/30-31の帰省の新幹線往復+αでドラマ8話までを復習し、1/1に映画を観るという強…
年末に、今年ベストどころか、今後しばらく「残る」だろう映画を観た。 ドキュメンタリー監督の藤野知明が、統合失調症の症状が現れた姉と、彼女を精神科の受診から遠ざけた両親の姿を20年にわたって自ら記録したドキュメンタリー。面倒見がよく優秀な8歳上…
ボディ・ブローのように効いてくる、という言い方があるが、映画『シビル・ウォー』は、まさにそんな感じで、ダメージが増していくばかり。 そもそも映画と非常に関わりの深いアメリカ大統領選に暗雲が立ち込めているように見える。 ハリスが辛勝(トランプ…
アレックス・ガーランド監督『シビル・ウォー』 不思議な映画体験だった。 アメリカの内戦の話だが、結局、内戦が起きた背景や具体的な対立は描かれない。 あるのは、分断と戦争。 そして、音、音、音。 静寂と爆音(本当に爆音。嫌になる爆音)。 不協和音…
映画『ルックバック』は、傑作と評価が高い。 実際に見てみると、確かに、よく挙げられるスキップのシーンも含めて、原作以上の表現、アニメならではの印象的な表現も多かったのは素人目にも歴然としていて、原作から加点要素こそあれ、減点要素がほとんどな…
映画館に行くときは、時間と場所だけを決めて、何を観るかが決まっていないときがよくある。今回、日曜の午前中早い時間に開始という条件で考えて、『ソウルの春』『サユリ』『侍タイムスリッパ―』などの候補から、吉田修一原作ということで気になっていた『…
『ツイスターズ』は映画館で、『FALL』は配信作品として鑑賞。特に意識して選んだわけではないが、どちらの作品も、バズるために危険なことに挑戦するという題材は似ており、また、観客として、恐怖を感じるスペクタクル映像を求めている点も共通する。 ただ…
『インサイド・ヘッド2』が好調と聞いて、録画した金曜ロードショーで前作を予習してから劇場に足を運んだ。 で、感想としては、期待していたほどではなかった。 というより明確に前作の方が良かったと感じたので、その理由について文章にまとめておきたい。…
河合優実は、実は"問題"のドラマ「不適切にもほどがある」でしか観たことがなく、映画では初だ。 つい先日観た『ミッシング』(石原さとみ主演)とは以下の点で似ており、その比較の中での鑑賞となった。 実際の事件をもとにしている。 主演女優の演技が映画…
瀬田なつき監督『違国日記』 そもそもこの映画を観た理由の90%がガッキー。 『正欲』で死んだ目をしたガッキーを見て、その魅力の虜になった自分は、『違国日記』の予告編を見て、あの「死んだ目ガッキー」の「その先」の姿に激しく惹きつけられた。 『違国…
仕事熱心で正義感の強い若手教師のカーラは、新たに赴任した中学校で1年生のクラスを受け持ち、同僚や生徒の信頼を得ていく。ある時、校内で盗難事件が相次ぎ、カーラの教え子が犯人として疑われる。校長らの強引な調査に反発したカーラは、独自に犯人捜しを…
『悪は存在しない』 もともと楽しみにしていた映画ではあったが、『オッペンハイマー』を爆睡してしまう「事件」のあとだったので、同様の失敗を恐れ、「眠気は存在しない」「眠気は存在しない」と唱えるようにして座席についた。冒頭に、そんな自分を試すか…
先日聴いたラジオで、社会福祉は「私たち」をどこまで認めるかで決まってくる、という話があった。一次大戦と強く結びついた「国民国家」意識の話から、最近の移民問題まで、「私たち」の線引きが明確で納得度が高ければ良いが、実際にはそううまくは行かず…
石原さとみ以外 あまりにも石原さとみの映画だったので、まず石原さとみ以外についてメモを残す。 石原さとみを除くと、今回、最も衝撃を受けたのは、沙緒里(石原さとみ)の弟・圭吾役の森優作。 有名な作品にも多く出演されているが、自分にとっては初めて…
映画を観に行くシチュエーションというのは自分には2パターンあって、見る映画が完全に決まっている場合と、映画を観に行く日と時間だけ決まっている場合がある。 映画が決まっていない後者の場合でも、常に観たいストックはたくさん貯めているので、あまり…
『カラーパープル』は公開初日に観たのだが、鑑賞前に、映画.comでの感想を流し見して「誰にも共感できなかった」と書いている人がいるのを目にした。黒人差別という、構造的にはわかりやすいはずの問題を扱っていて「共感できない」ということがあるのだろ…