大河ドラマ『光る君へ』の副読本として、信頼のブランドである岩波ジュニア新書のこちらを読んだ。
ちょうど先日もドラマの中で、藤原道綱母と紫式部(まひろ)が対面して『蜻蛉日記』について語り合う場面があったが、この本で取り上げられる5人、紫式部、清少納言、和泉式部、藤原道綱母、菅原孝標女(すがわらたかすえのむすめ)は、ほぼ同時代を生きた人たち(菅原孝標女のみは少し後の時代)。
よく対比される紫式部と清少納言については、同時代という印象が前からあったが、それ以外は、これまで国語(古典)のテストで、作品名と作者を線で結ぶためだけに記憶した知識で、あまり人間同士の結びつきを意識したことが無かった。
だから、大河ドラマで何度か『蜻蛉日記』が話題に出て来て、しかもその作者である藤原道綱母(財前直見)と、「登場人物」である兼家(段田安則)と道綱(上地雄輔)を見ると、ああ、国語資料集にしか存在しない架空単語なのではなく、実際にその時代に存在した人たちについての本(日記)なのだな、と変な感慨が湧く。
この本でも、大河ドラマの登場人物のエピソードがいくつも取り上げられ、『光る君へ』の今後の展開の予習という意味でもとても有用だったが、一番気になったのは和泉式部。
和泉式部は彰子に仕えたというから、完全に紫式部の同僚で、『光る君へ』で触れないはずはないのだが、いまだにキャストの発表がない。
『紫式部日記』では、年も近い(5歳年下)和泉式部に対しては、知識や理論面で浅いところがある、道徳的に問題がある(略奪愛)とけなしつつも、歌人としての才能は認めざるを得ない、と白旗状態のようだ。(勅撰歌集に247首採られているのは女性歌人でトップ)
この本では「平安の超モテ歌人」「恋愛体質」と評される和泉式部を演じるとしたら誰なのか?というのは確かに気になるところで、ドラマの今後に期待したい。
なお、「平安の萌え系文学少女」と紹介されている菅原孝標女は、 紫式部より35歳年下なので、ドラマには出てこなさそうだが、源氏物語における彼女の「推し」は夕顔と浮舟とのこと。浮舟については山崎ナオコーラさんの『ミライの源氏物語』でも一番気になったキャラクター。
ドラマではもう少し進んでから、源氏物語の執筆が始まるはずなので、それまでに何とかつまみ食いでも源氏物語本編を読みたいなあ。