Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

新潟豪雨〜五十嵐川の堤防決壊について

自分の仕事が河川に関わることなので、豪雨による新潟、福井の被害については思う所も多い。
洪水自体の被害も大変なものだったが、ちょうど暑い時期でもあり、被災地の方は、衣食住の基本的なところ(泥の被った住居の復旧、食料の保存、シャワー等)で苦労されているようだ。
一応、ちょうど読んでいた新潟大学の大熊先生の本と絡めて、少しだけ書いてみたい。

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今回の洪水に関して、避難勧告が遅かったことを挙げて、自治体(ここでは三条市)を非難する声もあるようだ。

避難勧告、堤防決壊後だった…集中豪雨の新潟・三条

 集中豪雨による河川堤防の決壊で4人の死者が出た新潟県三条市で、市が五十嵐川南側(左岸)の「嵐南地区」に避難勧告を出したのは、堤防が決壊した後だったことが15日、分かった。

しかし、この新聞を読んでも分かるように、五十嵐川三条市)の場合、破堤した左岸側は湾曲部の内岸側であり、危険箇所として通常考える水衝部ではない。水衝部で、しかも高さも不足している右岸側には、避難勧告や早めの水防活動も行われていた。状況から言って、右岸側に市の注意が集中したのは仕方がないといえるのではないかと思う。さらに、今回の豪雨は、想定以上の規模だったこともあり、破堤に関する避難勧告の遅れについて「誰か」の責任を問うことが出来るとは思えない。

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ところで、左岸側の破堤の原因については不明だが、堤防の質の不均一、堤防部分の地盤強度のほか、強化した水衝部の跳ね返りによるものと考える向きもあるという。この場合、弱点を強化したがゆえに新たな弱点が生まれたということになる。
すると、今後の災害対策はどのようにすればいいのだろうか?
まずは、現在行っている破堤部の復旧は速やかに行われなくてはならない。しかし、弱点の強化が新たな弱点を生むのは前述の通りで、結果として、どこが破堤するかがさらに予測しにくくなる。したがって、破堤を前提とした場合、あらかじめ決めていた場所で破堤させた方が、むしろ防御しやすいといえる。
(明日に続く)