Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

Mr.Children『I LOVE U』★★★★

I LOVE U
やや書きにくかったので後回しにしていた感想をひとつ。
ロッキンオン・ジャパンとかでは特集で「大名盤」*1と取り上げたりしていたが、昨年の『シフクノオト』と比べると落ちるように感じる。
理由は四点。

  1. マキシシングルというよりは、ミニアルバム的な『四次元』の四曲のうち三曲がそのまま入っている。
  2. 4曲目「僕らの音」がキリンジの曲*2に似すぎ。
  3. ラスト2曲(「隔たり」「潜水」)がイマイチ。
  4. そして、『シフクノオト』との決定的な違いとして、「HERO」「タガタメ」がない。

一つ目については単純。シングルとして分けて出したのならわかるが、わざわざ4枚まとめて曲名以外のタイトルをつけてCDを一枚作っているのに、それをそのまま入れるのはどうか?アレンジを変えての収録ならばわかる。例えば、彼らの7thアルバム『DISCOVERY』収録の「I'll be」は、シングルとアルバムでかなりアレンジが変わっており、それぞれに説得力があって面白い。*3宇多田ヒカルのシングル「DISTANCE」も同様。アレンジそのままで3曲入れるというのは『四次元』買った人に申し訳が立たないと思う。
二つ目については、この曲がいいメロディだから特にそう思う部分。キリンジの方の曲が見つからないので、しっかり聴き比べたわけではないけど、サビがそのままなので残念。受け取る側の心の持ちようだが。
三つ目については、僕がアルバム構成で特に意識するのが「出だし」と「終わり」だから。1曲目「Worlds end」は、あまりにミスチル的であざといが、まあいい曲。しかし、ラスト2曲は、このアルバムのラストを飾るには役不足ではないかと感じる。特に、彼女との「0.05ミリの合成ゴムの隔たり」のことを歌った「隔たり」には歌詞の内容にも違和感あり。
四つ目についてだが、結局、前作はなんだかんだ言っても「HERO」と「タガタメ」の2曲があったからこその傑作だと思うから。この2曲は、他の曲と比べて全然迫力が違うし、だからこそ、この2曲が入っていない『I LOVE U』をロッキンオンジャパンは名盤と言い切るのか理解できない。何でそう書いているのか知るためにも買っとけばよかった・・・。
ただ、一曲一曲は好きな歌も多い。一生懸命開けようとしているそのドアの向こうには、昨日と同じ生活が待っているだけかもしれないことに気づいてしまう「Door」。歌詞に"みのもんた"が登場する開き直りソング「跳べ」。今すぐ君に会いに行きたいことを歌うシンプルなラヴソング「靴ひも」。身近なものから送られているサインを見逃さないで生きていこうというメッセージが、ややYUKI「歓びの種」と似ている「sign」。そして、『四次元』収録の、右に左に意見の揺れる「ランニングハイ」*4
スティービー・ワンダーもそうだけど、ミスチルみたいに、現代社会を真正面から嘆いたり迷ったりする内容を、積極的に歌に取り上げる人というのは必要だと思う。特に(本当のところよくわかりませんが)そういった内容を取り上げると、現代の日本語詞の歌は途端に嘘臭くなるので、難しいんだろうなあと推測するだけに、そういうことを歌って、常にチャート上位に来るミスチルには、ホント感心する。

*1:ミスチル表紙の号。結局買わなかった。

*2:ちょっと家のアルバムの内容を確認するも見つからず。何故か見つからなかった『Fine』収録の曲だと思います。キリンジのベストアルバムと思っているのに未購入なのかも・・・。

*3:フジテレビ「僕らの音楽」のスガシカオとの対談で、桜井和寿は「ブリッジを一つ入れることによって歌詞に説得力が出てくる」という主旨のことを語っていたが、歌詞の「説得力」を意識する、というのは彼が「伝える」ために音楽をやっているからであり、僕は、桜井和寿のそういうところが好きだ。

*4:鈴木謙介カーニヴァル化する社会』で描かれる、現代人像が、まさにこの曲の中で示されているように思う。そういう意味でも凄い曲。