- 作者: 岩明均
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2004/10/22
- メディア: コミック
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もう、2巻まで読んだので、まとめて感想を。
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何故面白いか。ポイントは以下の2点に集約される。
伏線の重層性
2巻までで、主人公エウメネスをめぐる「謎」がひとつ解けるのだが、謎解きへの伏線の張り方が重層的で美しい。
1巻を読んだ段階では、伏線だけでドキドキしていた状態だったのだが、2巻になって、全てが腑に落ちる流れとなっており、岩明均のストーリーテラーとしての威力を見せ付けられた。
具体的には、「謎解き」に対して、以下のような伏線が張られる。
ここら辺のエピソードが絡み合いながら、だんだんと重なり合って密度を増してくる。
「謎」自体は、漫画のストーリーとしては至極普通の内容だと思うが、その見せ方、スピード感が、「漫画を読む幸せ」を強く感じさせる。
これは、すごいっす。
「歴史本」である、ということ。
主人公エウメネスは、2巻の段階では、そうではないのだが、アレキサンダー大王の書記官になる男だということで、いわば司馬遼太郎や塩野七生みたいな本なのである。
普通のエンターテインメントと異なり、歴史を扱う話は、根っこがあるというか、物語自体がふわふわせずに安心して読める。
途中で「王宮日誌−エウメネス私書録」からの抜粋として「箱書き」で、将来のエウメネスが振り返りながら語るかたちになっているのも好みだ。
さらには
やはり、岩明均といえば、残虐性。あの冷酷な目!ね。2巻のトラクス反乱のエピソード、中でも、鎖を外され自由を手に入れたトラクスが涙を流して喜ぶシーンを、台詞なしで2ページ費やしたあとの見開き。あの2ページ。これは最高。
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ところで、これも『げんしけん』と同じく、アフタヌーン。
実は、これら以外にも気になる漫画があるので、自分という人間はアフタヌーン向きなのかもしれない。
amazonを見ると、まだ、3巻までしか出ていないが、ハンニバル、スキピオ、アルキメデス等が登場する『ヘウレーカ』(白泉社、全一巻)というのもあるのですね。これは買いだ。そして、今年は『ローマ人の物語』をまた読み始めるぞ!