- 作者: 田島昭宇,大塚英志
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近いスパンで二つの作品を読んだ人には、尚更そう思われるのではないだろうか?
特に、『デスノート』の大きな売りのひとつであるスタイリッシュ?な絵柄というのは、完全に『多重人格探偵サイコ』と共通する。さらに以下の点なども似ている箇所が多い。(一部強引)
- 2巻登場の「組織の男」とネロ、ニアの造形、飲食シーンの多用。
- 多重人格性
- カーチェイス、倉庫などの舞台設定
ただ、『デスノート』は、さすがにフォロワー?だけあって、『サイコ』の問題点が改善されているように感じる。
- 敵組織が不明なだけでなく、主人公の人格が増えていく『サイコ』は、筋が追いづらい⇒『デスノート』は、基本的にデスノート一冊に、すべての「ルール」が収められており安心感がある。
- 『サイコ』は3巻になっても、まだ敵味方の関係が不明で、しかも、主人公が殺人犯であるという点で、感情移入しづらい。⇒『デスノート』は、3巻の時点でライバル関係が明確で、ライトに感情移入しづらい人は、Lに感情移入するなど、読者が話に入りやすい。
- 上記と重なるが、『サイコ』は、主人公の考えが追いづらい⇒『デスノート』は、モノローグが多用され、読者が、ライトとL双方の思考を読んでいくことが促され、結果として、それが物語の魅力のひとつになっている。
上記事項は、3巻までの評価でもあり、謎が多いということは、逆に考えれば『サイコ』の魅力であるという捉え方もできるかもしれない。ただし、『デスノート』には全くない『多重人格探偵サイコ』の要素というのも勿論ある。
それは、グロテスクなシーン。
もっというと、死体描写。
一巻のあとがきにあるように、漫画の中の「死に行く身体」問題に思い入れが深い大塚英志が意図的に行っていることのようであるが、正直言って、これは微妙。
死体どころか殺人シーンが多すぎ、かえって「死」への感受性が低下してしまうような気がする。
ただし、物語の展開がどこに向かうか、次の展開が非常に気になる作品ではある。