Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

日経概観(7/15(日))

週一で社会問題を勉強するコーナーです。

私の履歴書長嶋茂雄(15)苦悩(36面:文化)

幼稚園児だった一茂を後楽園球場に連れて行き、そのまま置いて帰った話、試合前を試合後と勘違いした話など、長嶋伝説の数々が本人の口から語られるのは面白い。また敬遠への抗議としてバットを持たずに打席に入る写真もあり、エピソードは本当に盛りだくさん。
メインは、長嶋もまた、松井やイチローと同様、「努力の天才」であったことがよくわかる内容だった。7/1の第一回の内容によれば、このコーナーの「題字」は、脳梗塞の後遺症で右半身に麻痺が残っているため、写経で特訓している左手で書いたものだという。今現在もその「努力」が続いていることを知り、自分もやらねばという気にさせられる。
自分は日曜日にしか読むことはないが、素晴らしい連載だ。

「天才若冲の怖ろしさと魅力」瀬戸内寂聴(36面:文化)

先日、会社の人が、奥さんが夢中になっている画家の名前を「わかおき」と読んだら怒られた、という話をしていた。
瀬戸内寂聴の書くこの文章から引用すると

最近若冲ブームが湧き起こり、異常な熱度でそれは燃えつづけ、一向に衰えそうもない。特に若い世代に熱烈なファンが多い。

とある。僕は全く知らなかったが、ブームだそうだ。
Wikipediaを引くと、以下の通り。リンク先では、一つの作品を見ることもできる。

伊藤 若冲(いとう じゃくちゅう、 正徳6年2月8日(1716年3月1日) - 寛政12年9月10日(1800年10月27日))は、江戸時代の京の絵師。写実と想像を巧みに融合させた「奇想の画家」として曾我蕭白長沢芦雪と並び称せられる。

その魅力、熱、エネルギーについて、瀬戸内寂聴は、欄の半分以上を使って賛辞を送っている。
画集でどの程度、その熱が伝わるのか不明だが、ちょっと本屋などで覗いてみようかと思う。

台湾のビンロウ賛否/刺激強い庶民の嗜好品/発がん性の指摘・文化守れの声も(34面・世界いまを刻む)


ビンロウは、ガムのように噛むもののようだ。刺激の強さで口が痺れるという。
否定側の論点は、

  • 口腔ガンの原因となる
  • 売り子(ビンロウ西施)の過激な衣装が女性の尊厳を傷つける

というもの。
対して賛成側の論点は、その習慣や、ビンロウ西施の衣装の「文化」としての価値を評価するもの。
口腔ガンは、ときに下あごの大部分を失うというような激しいものになるようで、非常に怖いが、そもそもどのようなものなのか興味がある。
なお、右の写真は、先日、名古屋の東山動植物園で発見したビンロウ。

「信頼できる政府」ぜひ/規律の緩み正す大改革を(26面・中外時評)

社保庁に代表される「役人への不信感」の問題について、政府の信頼を回復するための改革案こそが必要と説く。
内部統制というキーワードで全体が語られているが、これから本格化する企業の内部統制と比べて、政府自身の内部統制の実態はお粗末である。
たとえば、現状で、不正の摘発や政策の有効性を判断する調査を実施するのは以下がある。

しかし、指摘事態を省庁に無視される、政策評価の検討対象として「優秀」なものしか俎上に上がらない、など実効性に問題がある。
米国では

  • 独立性が高く、人数も多い監察総監
  • 議会に属し、行政府とはつながりの薄い会計検査院

などの仕組みがしっかりしており、日本とは状況が大きく異なる。
これらを真似した制度づくりをすることは、「政府の内部統制」としては非常に実効性が高いものであり、参院選に向けた政策論議でも是非とりあげてほしい。
というのが要約。
まさにその通り。しかし、テレビなどで、大きく取り上げられるのは、やはり消えた年金5000万件を処理できるできない、という表面的なものが多く、将来が不安になる。

社説:農業票ではなく農業再生を競え〜07参院選政策を問う(2面)

私たちは、この民主党の戸別所得補償制度には、日本農業の構造改革を阻む危険が潜むと考える。経営効率が悪い農家まで丸ごと温存し、生産性が低い現状のまま固定する「ばらまき」と言わざるを得ない。
(略)
自民党は農業を輸出産業として育て、2013年までに輸出額1兆円を目指す目標を掲げた。だが、その実現は農政改革が大前提になる。国際交渉によって貿易自由化を進める姿勢を強調しながら、現実に交渉の障壁となっている農産物の市場保護の見直しには一切、言及していない。これでは改革意欲が後退したと判断されても仕方がないだろう。

つまり、農業政策については民主党案は方向性そのものが×。自民党の方向性はいいが、具体策に乏しいのは×というもの。
農業問題については、興味はあるが、なかなか理解しにくい。
特に自給率の問題は最たるもので、これについては泥酔論説委員さんの解説が理解の助けになる。

小沢一郎党首は更に踏み込んで、カロリーベースで食糧自給率100%を目指すと発言していますが、それは戸別補償とかの問題ではないと思います。
自給率を高める必要はありますが、しかしこれには日本人の食生活自体を変える必要があるわけです。
データ集の「主な農産物の消費量の推移」を読めば一発で、カロリーベースの自給率73%だった昭和40年と現在とを比較すると、米の消費量が落ちている代わりに畜産物や油脂類の消費が格段と上がっています。
つまり、食の変化によって飼料や原料となる大豆やトウモロコシの消費量がベラボウに増えたことを意味し、これらを賄うには現在の耕作面積の3?4倍は必要であるとの計算になります。
自給率を高めるには、生産性を高めると同時に国民の食生活をも見直すことが必須なんですね。

今週の週刊ダイヤモンドの取り上げ方もこれに近い。
ただ、自給率の問題は気にする必要がない、という声が強いのも確か。この考えからすれば、多くの輸入先の確保が重要ということになる。
個人的には、限界集落といわれるような山村地域のコミュニティの維持という観点からの農業の重要性への関心度が高いので、自給率を重視するしないに関わらず、やはり農業再生への取り組みは気になるところだ。
〜〜〜
ところで、社説の始めの部分。

農業が経済の中核を占める地方で、互いの政策を批判する漫画入りパンフレットを大量配布するなど、両陣営の非難合戦が過熱している。

それぞれのパンフはコチラ

「よくわかったわ、『気をつけよう、甘い言葉と民主党』ね」「農業をやめたい人は自民党・農業を守りたい人は民主党」というえげつない言葉が刺激的。
ついでに、自民党の政策パンフのコーナーhttp://www.jimin.jp/jimin/kouyaku/pamphlet/に行くと、たとえば「あきれた教育現場の実態」の中には以下のような言葉が並ぶなど、テレビなんかを見ているよりよほどエキサイティングな気持ちになれます。

というか、互いのあら探しはいいので、ちゃんと日本の将来を考えてください。