- アーティスト: 朗読,宮崎美子
- 出版社/メーカー: キングレコード
- 発売日: 2003/04/23
- メディア: CD
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自分はNHK教育の「にほんごであそぼ」で初めて知ったが、故郷山口県長門市には記念館もあるほど有名な人だという。
今回借りたCDは、紺野美紗子、小林綾子、檀ふみ、中井貴惠、宮崎美子という豪華メンバーが朗読するというもの。
まずは、作品の中から一部抜粋。金子みすヾといえば「星とたんぽぽ」(見えぬけれどもあるんだよ)、「こころ」(お母さまのおこころはちひさい)、「蜂と神さま」(蜂はお花のなかに)、「私と小鳥と鈴と」(みんなちがつて、みんないい)あたりが有名なのだと思うので(全部にほんごであそぼで知った)、それ以外のものを。
草の名
人の知ってる草の名は、
わたしはちっとも知らないの。人の知らない草の名を、
わたしはいくつも知ってるの。それはわたしがつけたのよ、
すきな草にはすきな名を。人の知ってる草の名も、
どうせだれかがつけたのよ。ほんとの名まえを知ってるは、
空のお日さまばかりなの。だからわたしはよんでるの、
わたしばかりがよんでるの。
土
こッつん こッつん
打たれる土は
よい畑になって
良い麦生むよ。朝から晩まで
踏まれる土は
よい道になって
車を通すよ。打たれぬ土は
踏まれぬ土は
要らない土か。いえいえそれは
名のない草の
お宿をするよ。
〜〜〜
今回分かったのは、詩に初めて触れる場合は、朗読で聞くよりは文字として見る方がいい、ということ。詩の朗読CDが世に溢れているから、詩こそCDで聞くのが王道と思っていたが、初めから聞くのは辛い。
理由は、集中力が続かないから。
- 物語作品は、言葉を頭で変換して、あくまで「ストーリー」を追いかける(言葉そのものはサブ的要素)のに対して
- 詩は、「言葉」そのものを味わうため、かなり集中して言葉を拾っていく必要があるのだ。
勿論、七語調などの、音的な響きのよさもあるのだが、こちらも正座して朗読CDを聞くわけではないので、始終集中することは不可能だ。逆に、詩を目で見ることは、全体の長さと構造(繰り返しなど)を把握した上で読めるので安心感がある。初読時に、ある程度、詩を知っておいて、それからCDという順序で無ければ、とても頭に入らない。
また、BGMがある(しかも一曲ごとにイメージに合わせて変えている)のは、本当によいのかは疑問だ。シンプルな詩だけに、そういう演出は省いた方が、素直に聞けた気がする。
さらに、茨木のり子の詩集に感動した直後に聞いたのだが、金子みすヾの詩はイノセント過ぎて、その世界とシンクロするのに時間がかかってしまったということもある。ほとんどの詩で見られる七語調も従順すぎる気がして、かえって気になってしまった。
ということで、ちょっと不満の募る朗読CDだったが、今後、同種のCDを聞く際の参考になったのでよかった。
なお、打ち独楽(ぶちごま)という遊びが2度登場するのだが、全く聞いたことがなかったので、スキージャンプ・ペアで紹介されていた「乗りピン」のように架空の遊びなのではないか、と疑ってしまった。調べてみると、山口県の遊びとのこと。
←架空の遊びってなんだよ!(笑)