Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

日経概観(4/8)

特集「検証・民営化20年の風景(下)」やまぬ地方切捨て批判/民の知恵、打開の糸口へ(1面)

例として挙げられているのは、以下の4つ。

  • 郵便局の人件費削減のための、「一部地域」での時間外窓口廃止⇒地方切捨て批判の例として
  • 固定電話網維持のために携帯利用者も含めて一律負担するしくみ(月7円)について⇒固定電話で全国一律サービスを、と考えるのではなく、携帯やIP電話で補完すればよい、という話として
  • 全国の自治体から問い合わせが殺到しているJR北海道開発のDMVについて⇒「民の知恵」の例として
  • 言わずもがなのヤマト⇒民での全国一律サービスも実現可能という話として

結びの文を引用すれば

官業の民営化が「地方切捨てを招く」という議論は独占型サービス維持を前提にしたもの。競争と技術革新を促し、新たな担い手を呼び込むことが国民全体の利益につながる。

つまり、全国規模のサービスを維持するために税金をつぎ込むのでなく、地域の状況に応じた担い手が補完していくかたちをとるのが一番だ、ということ。
教育についても、まずは中央集権よりは地方分権。それだけでなく、義務教育段階から、さまざまな選択肢があってもいいと思う。韓国でも、最近、フリースクールなどが注目を集めているようだが、日本で、小中学校での拘束時間が長時間化するのは、教育の多様化にも逆行する、という意味で、あまり良くないことだと思う。(教育問題については、結構意見がぶれるので、今の気持ちです)

 親の月収以上の教育費をかけたり、厳冬下の入試の最中に親が校門前で願掛けしたり――激化する一方だった韓国の教育熱が最近、変わりつつある。豊かな環境で自発性を養うフリースクールが存在感を増し、情操面を育む塾にも人気が集まってきた。韓国社会は90年代後半の経済危機後、所得や就職、地域間の格差が急拡大したが、一方で価値観が多様化したことが教育意識に変化をもたらしたと指摘される。

けいざい解読/テストが嫌いな官僚たち(3面)

上の記事に直接つながる話だが、厚生労働省が、市場化テストを受けるのを頑として拒んでいるというニュースの解説。
話題にのぼっているハローワークの職業紹介業務について、厚労省がテストを拒むのはILOの条約違反に当たる、という理由だが、これについては、内閣府懇談会の過半が「問題なし」。また、国や外務省でなく厚労省が国際条約の解釈を行うこと自体が越権だとの指摘も紹介されている。
結びの言葉では、職安の一部を民間委託すべしとの提案は90年代からあり、もっと早く実施していれば、フリーター・ニート問題もこんなに深刻にならなかったのでは?とされている。それはどうなのかわからないが、1面の記事を読んだあとでは、「労働官僚は省益を守って国益を損なった」という意見には頷くところが多い。

新型インフル対策大丈夫?/国の指針まだ不十分(9面:医療)

発生初期に感染者の家族や同僚、同級生らにタミフルを予防目的で投与する計画だが、服用後の異常行動が相次いだことによる影響が懸念されている

強制力はない、というが、「打たない」という選択肢自体が他人の感染リスクを上げていることに自覚的であるべきだろう。先週の日曜版では「災害時に逃げない人」を避難させるためには、逃げないことが他人に迷惑をかけることを教えてあげることが有効だ、とあったが、まさにそれにあたる。
自己防衛として怖くなったのは以下の部分。

国のガイドラインでは、流行した際には外出を控えて感染しないようにするために、保存食や日用品、常備薬を二週間分、自宅に備蓄することを勧めている。

二週間、外出できない状況も覚悟しなくてはならないわけか。
地震などの被災時に流行することも十分考えられることを想定すると、水のペットボトルは床が抜けない程度に買い込んでおくのが得策か?

患者の目/夏樹静子(9面:医療)

以前読んだ著書『椅子がこわい』のネタが連続で語られるようだ。
何の前触れもなく襲ってきた腰痛。原因不明のまま、症状は悪化していく、というところで第一回終了。
このあと、夏樹静子は、民間療法から祈祷、霊媒師まで、「原因」を求めて奔走し、ついに腰痛を克服できた、という話なのだが、その「原因」がなんだったか忘れてしまった。心理的なものだったか?

デイヴィッド・ミッチェル『ナンバー9ドリーム』(22面:読書)

ナンバー9ドリーム (新潮クレスト・ブックス)

ナンバー9ドリーム (新潮クレスト・ブックス)

自分が外国作家の小説を読むのを苦手としているのは、ひとえに登場人物の名前による。
しかし、この小説は舞台が東京で、登場人物はほとんど日本人、漢字も訳者によってうまく充てられているということで、非常に興味が沸く。
「書き方はアニメ的でなにより視覚に強く訴えかけてくる」という青山南の紹介文にも惹かれ、ちょっと気になる一冊。