Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

畑村洋太郎『畑村式「わかる」技術』★★★★☆

畑村式「わかる」技術 (講談社現代新書)
畑村洋太郎は「失敗学」で有名な人。『失敗学のすすめ』は、かなり昔に読んで、あまり印象には残らなかったが、これは扱っている「テーマ」のとおり、非常にわかりやすく、ためになった。
本書の中で、「わかる」ということは、目の前の事象が、自分の頭の中にあるテンプレート(型紙)と一致すること、と定義されている。そして、「テンプレートの一致」にも、既存のものから一致するものを探す場合と、新しいテンプレートを作り出す二つの方法がある。たとえば、受験勉強を考えたとき、丸暗記してテンプレートを増やして理解力を高めるのが前者の方法、既存の要素を組み合わせて新しいテンプレートを構築するのが後者の方法だというように分類することができる。
この本での主張は、この「テンプレート」の考え方で終始一貫していながらも、「学校の教科書や授業がなぜわかりにくいか」「面白い話をする人はどこが違うのか」など、多様な面からのアプローチがあり、全く飽きずに読み終えることができた。
個人的には、日常生活の中で数と親しむこと(定量化訓練)、「現地・現物・現人」の原則、手帳を使った記憶の圧縮・解凍の訓練の話が、今後気をつけて取り組みたい内容。
ただ、本としては、もうちょっと難解な部分があったり、表現がくどかったりする方が好みに合っているかもしれない。久恒啓一もそうなのだが、さっぱりし過ぎていると、物足りない気分になる。こう考えるのは、自分が読書に対して受身の気持ちが強いからだろうか?