Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

日経概観3/24(日)

温泉大国枯渇の危機?/くみ上げ型増加 水質など変化も(31面サイエンス)

温泉の過剰な開発により枯渇を懸念する声が上がっているという話題。

温泉の過剰な開発の現状は以下の通り。ここまで増えたのには、掘削技術の進歩(20年前と比較してコストが半分)も寄与しているという。

  • 日本の温泉の湧出量は276万リットル/分(過去10年で10%増、30年前の2倍)
  • 内訳は動力型が30年間で2.4倍、自噴型は頭打ち。
  • 深さ1000Mを越す「大深度温泉」も続々。
  • 温泉を利用した公衆浴場数は7431箇所(30年前の3倍)

それによって表面化した問題点は以下の通り。

  • ①②③の順に進む枯渇化現象①湧出量の減少②水質の変化③泉温の低下
  • 都市部の温泉への人の集中が招く、古くからの温泉街の衰退

さて、記事では、この傾向を止めるものとして、今国会で提出されている温泉法改正案を取り上げているが、いまいち、その内容がよくわからなかったのが残念だった。
都市域での地下水の過剰取水の問題は、高度成長期以降、仙台などでも深刻な地盤沈下を引き起こした。しかし、取水規制により、その傾向はストップし、地下水位の上昇により、かえって既存施設(地下鉄など)に問題を及ぼすほどになっている。
悪影響が住宅地域に及びにくい温泉の場合、法による規制をかけにくいのかもしれないが、「21世紀は水の時代」だとか言われている時代に、いまだに「湯水のように使」い続けるのは、時代遅れのような気がする。驚いたことに、最近では、天然温泉を謳う格安のビジネスホテルなんていうものも見かけるが、はっきり言ってバスクリンで十分です。
温泉や地下水は「資源」であるという視点が、資源小国日本には欠かせないと思う。

若林幹夫『郊外の社会学』(23面 文庫・新書欄)

問題視されがちな「郊外」を、郊外に生まれ、暮らす著者が、多角的な視点から見つめなおす本。
1962年生まれというから今年45歳。
ファスト風土化の話も含めて、「郊外」の問題点ばかりが目に付いてしかたない自分としては、それへの対立的な視点を得るという意味でも非常に興味ある一冊。これは買おうね。