Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

『CD 藤沢周平を読む 隠し剣 鬼の爪』

松平定知による朗読CD。
藤沢周平は初体験。
剣の実力があり、何より誠実な宗蔵。その誠実な宗蔵の心の揺れ動きが、卑劣な家老・堀や、かつてのライバル・弥市郎との対比の中で、印象的に描かれる。
そして女性。同居する手伝いで、素朴な農民娘・きえ、そして、肉感的な弥市郎の妻の二人の対比もよい。二人とも魅力に溢れているし、濡れ場もある。
短い話ながら、ダメ上司、ライバル、不倫、剣、多くの要素が詰まった内容で大満足だった。
文庫本では、連作短編のような形式をとっているようで、こちらにも手を伸ばしたい。

新装版 隠し剣孤影抄 (文春文庫)

新装版 隠し剣孤影抄 (文春文庫)

なお、映画版のストーリーを見ると、内容が微妙に異なるように見えるのは、映画版が表題作と「雪明かり」の二つの短編をもとに作成されているからのようだ。
キャストは、弥市郎の妻=高島礼子に納得、堀=緒方拳に驚き。