- 作者: 金井英之
- 出版社/メーカー: すばる舎
- 発売日: 2006/07/06
- メディア: 単行本
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しかし、最近、何度か人前で喋る機会があり、他の人の上手なスピーチを見て、自分のつたないスピーチをかえりみて自分もあがらずに喋りたいと思うようになった。
その意味で、今の自分のニーズに合った本を図書館で見つけて衝動借り。
さて、Amazon評では辛い評が気になったが、読んでみると、(こんなにポップな装丁なのに)1935年生まれの方の著作ということで、確かに内容に古い部分がある。ユーモアを入れて聴き手を笑わせる事例として「バナナの皮を踏んですべって転んだ話」(p195)があがっており驚いたほか、「このユーモアで爆笑間違いナシ」のスピーチ例がかなり厳しいなど、やはり年の差もあるのだろうか。スピーチの内容事例についてはあまり参考にならなかった。
また、当然なのだが、あがる原因として「練習不足」が繰り返し挙げられており、声を出しての練習をしつこく繰り返すことが推奨されていること。同様のアドバイスとして、
- 日頃から手鏡などを見ながら表情のつくり方を研究する
- 間の習得のために、興味があれば寄席に通って研究する
- プラス思考をする
- 決断力をつける
など、非常に即効性の低いものも多々あり、やや頭を捻ってしまったのも確かだ。
そこで、自分が何を求めていたのかを改めて考えてみた。
読み終えてからわかっても遅いのだが、自分が読みたかったのはこんな本だったのだ。
- スピーチ内容のアイデア出し部分は、個人個人に得意分野や癖があるから不要。
- 練習を重ねて覚えこんでしまえば5分のスピーチはそれほど怖くないし、あがらない。
- 避けたいのは、喋ろうと思っていた部分が話の流れや時間的問題から扱えないこと。
- 不十分な練習状態でスピーチするときに、どういう組み立てをすれば一番安全か。
- 具体的には、完全原稿方式と、当日の流れを重視してエッセンスのみ準備方式とどちらがいいか。
- 多分、後者が優れているはずなのだが、その組み立て方をどうするか。これが知りたい!
改めて見てみると、読みたいテーマはP112以降に書いてあった。
- ポイントは「要点だけのメモ」の作成をしろということで、自分の感じていた通り、「暗記するのが大変」で「丸忘れする危険性」のある完全原稿方式は比較した上で却下している。
- ただし、話の初めに言う主題部分についてのみ、全文原稿を用意すべきとしている。
このハイブリッド方式は、なかなかいいかもしれない。また、話の構成は「主題」→「話題」→「主題」とまとめるべき、とされているのも参考になった。確かに聞く立場から考えると、「結論部分」(主題)が先送りにされるスピーチは、なかなか落ち着かない気分になってしまう。これからは意識的に話を組み立てることにしよう。
なお、練習方法としては、自分の声を録音して繰り返し聞くことが重要ということになっており、これも納得だ。今は携帯電話に録音できるので、こういった練習も手軽に取り組める。
また「おじぎ」が重要視されているのもいい。
話のネタは若い人向けではないものの、簡単に読める本で実践に使える内容も多い本だったと思う。