Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

日経新聞8/26(日)

核燃処分、見直し機運 経産省、法改正準備/地元の反発必至

まとめると

  • 従来:プルトニウムなど再処理する燃料を取り出し、残りを「地層処分
  • 原発ゼロの場合:再処理せずに「直接処分」
  • 第3の方式:廃棄物の最終処分を棚上げして調査、技術開発、説明に時間をとる「暫定保管」

という3つがあり、従来の考え方を継続するのは難しい現在、最終処分法などの関連法を改正する必要がある。
記事では「第3の方式」として結論先送り方式が取り上げられて、読んだときはちょっと笑ってしまったが、候補地が決まるはずがないという状況を考えると、現実的な考え方としてはそうならざるを得ないのかもしれない。

サムスン、新型投入加速で影響回避

米連邦地裁の評決で韓国サムスン電子スマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)の一部特許侵害を認定された。サムスンは新型製品の投入を加速し、販売差し止めの影響を最小限にとどめる考え。ただ、今後は「模倣者」のイメージが付いて回るのは避けられない。米グーグルの「アンドロイド」陣営も対アップル戦略の見直しを迫られる。

ちょっと驚いたのが「訴訟リスクを回避するため、製品開発のペースをさらに速める」という判断。
「携帯端末の分野は商品の入れ替わりのサイクルが速いため、販売差し止めが認められても判決が出たころにはその商品が主力ではなくなっている」という、損したけどそれ以上に儲けた今回のやり方を(見直すのでなく)加速するという。なりふり構わなさすぎるし、このような方法が成功してほしくない。

街中水族館 海水に秘密(17面・サイエンス)

海沿いにあるのがふつうだった水族館が海から離れた内陸の都市に進出している。京都駅の近くに京都水族館京都市)、東京スカイツリーの足元にすみだ水族館(東京都墨田区)が今年相次ぎ開館した。いずれも海の水を使わず人工海水だけを用いる国内初の試み。色鮮やかな魚たちや、イルカのショーが街中で楽しめるのも、人工海水を大量に作る技術や浄水技術が進歩したおかげだ。

大成建設の技術紹介。
人工海水を大量製造する装置によって、人工海水を作る手間やコストが大幅に減ったという。
それほど場所も取らない、水の汚れの原因となる有機物を回収し、硝酸を発生させない脱窒システムによって、天然の海水をタンク車で運ぶ手間やコストがなくなったという。
なお、人工海水は天然海水に含まれる成分を全部含むのではなく、塩化ナトリウムだけを使う施設も多いという。病原菌や水質汚染物質を含まないということも人工海水のメリットの一つ。


エプソン品川スタジアムやすみだ水族館など、最近できた施設は行ってみたい。水族館は高くつくけど。


北極海の氷 面積最少に

宇宙航空研究開発機構は25日、北極海を覆う海氷の面積が24日現在で421万平方キロになり、観測史上最小だった2007年の425万平方キロを下回ったと発表した。
宇宙機構によると、北極海の氷は例年9月中旬から下旬にかけて面積が最小となるため、氷は今後も解け続ける見通し。近年の北極域の温度上昇などに伴い、氷が薄くなっていると推定されるという。

ということで、9月下旬に大々的に報じられるのでしょうか。
楽観視できないし、北極の資源をめぐってこれまで以上に、動きが激しくなるなどのニュースも出てきそう。地球温暖化の原因が二酸化炭素かどうかは別として、温暖化していることが地球に大きな影響を与えていくのは必至。

読書欄 リーダーの本棚

正法眼蔵〈1〉 (岩波文庫)

正法眼蔵〈1〉 (岩波文庫)

味の素会長山口範雄さんが座右の書として挙げているのは『正法眼蔵』。会社に入って何年目かに、先輩から見せられ、以来、解説書も数十冊読んだという。時代の違いなのか、人間力の違いなのか分からないが、入社数年目どころか十数年目でも『正法眼蔵』を薦められるシチュエーションは想像できない。でも少し、こういうのもいいかも。

今の瞬間は、過去や未来とは関係ない。時は一瞬、一瞬の積み重ねに過ぎず、春は春であって、冬が春になるのではない。「生」と「死」も同じで、生の延長として死を恐れるのは幻におびえるのと同じというわけです。


僕らは星のかけら 原子をつくった魔法の炉を探して (ソフトバンク文庫)

僕らは星のかけら 原子をつくった魔法の炉を探して (ソフトバンク文庫)

その他、宇宙についての科学史を分かりやすく解説した『僕らは星のかけら』も面白そう。惹き文句も凄い。これは読もう。

SFを凌ぐ面白さの科学者列伝
英国で絶賛されたポピュラーサイエンスの傑作!
物質はすべて原子で成り立っている。私たち人間も例外でなく、「星のかけら」たる原子の集まりなのである。
古代ギリシャの原子仮説から、ビックバンや超新星爆発という現代宇宙論への系譜を「元素の起源」というテーマに沿って
面白くわかりやすく解き明かした、科学啓蒙書の傑作。

読書欄そのほか

水危機 ほんとうの話 (新潮選書)

水危機 ほんとうの話 (新潮選書)

危機感の吹聴や、その反動の技術楽観主義がもたらすレンズの曇りをぬぐい、ゆがみを正そうとする本とのこと。安井至教授も取り上げていた。すぐに買って読んでしまおう。

中味が本格的なので、いささか本の題名が柔らかすぎるような気もするが、一読をすることをお薦めしたい。これだけの中味ならば、お買い得である。

様々な指摘がなされている。水について、正しい理解をしていると思っている人であっても、この本を読むことによって、これまで誤解していたことに気づくだろう。


明治二十一年六月三日─鴎外「ベルリン写真」の謎を解く

明治二十一年六月三日─鴎外「ベルリン写真」の謎を解く

2012年は森鴎外の生誕150年、没後90年にあたります。
ここに一枚の集合写真があります。明治21年(1888)6月3日、ベルリンのフリードリッヒ写真館にて撮られたもの。陸軍省医務局長の石黒忠悳が欧州視察の途次、ドイツに立ち寄ったのを機にしての記念撮影でした。
写っているのは19人、そのほとんどが日本人医学留学生です。彼らはその後、帰国してそれぞれの分野で大きな業績を挙げますが、全員が一堂に会することは二度とありませんでした。その意味でこの写真は近代日本医学史上の「奇跡の一瞬」をとらえたものと言えましょう。
しかし、驚くべきことに、ここに写っているのがいかなる者たちだったのか、最近までほとんどわかっていなかったのです。 本書は、この一枚の写真に写っているそれぞれの男たちとその周辺、鴎外との関係を追い、近代日本医学のあけぼのを描きます。

これは面白そう。医学留学生時代の森鴎外北里柴三郎が写った「ベルリン写真」。留学生の人生を通して、当時の留学生の使命感を知る内容。第十七回新田次郎文学賞受賞作で、芥川龍之介自死の謎解き本『藪の中の家』の流れにあり、第三弾として漱石本が控えているとも。