Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

少子化対策とニート対策

今朝見た「報道2001」では、新閣僚として、猪口邦子小坂憲次が出て、少子化対策ニート対策論議をやっていた。男女共同参画を柱とした教科書どおりの少子化対策を主張する猪口に対して、西部邁が「基本的には、男は外で仕事して金を稼ぎ、女は家に入って家庭を守るべき」という旧態依然とした持論を展開し、ちゃぶ台をひっくり返していたのは面白かった。
政府の少子化対策の反対派として、西部邁以外に、「プロ教師の会」の人(名前失念)が出ていた。彼の主張は、既婚者カップルの出産数はほとんど変わっておらず、むしろ、若者達に結婚しようという意思がないことの方が問題だ、というもの。そういったことと、引きこもり、ニートの問題はつながっているものだという。どの程度まで真実味のある話なのか少し興味アリ。ちなみに、ニート対策についての彼の主張は、大卒以外の若者の就職が絶望的に厳しくなっている現実を改善すべき、というもの。ニートの問題はまじめに考えたことがなかったが、そういうものかもしれない。
ニートに関連して、内田樹*1の「フリーターが危ない」という文章が滅法面白かった。

フリーターたちがフリーターをしているのは、彼らに労働意欲が足りないからではなく、就業機会が提供されていないからだという議論をよく聞く。就業したくないのではなく、就業したくてもできないのだと説明される。

という、よく使われる論法に対して、彼らが就きたい「やりがいのある仕事」の正体を示して、私たちの「大衆社会」のもっとも典型的なメンタリティを体現しているのが彼らだと説く。

大衆社会」とは、その成員たちが「他の人たちが欲望するもの」を欲望する社会のことである。
彼らは「他の人が欲しがるもの」(権力、財貨、威信、情報、文化資本などなど)を手に入れることによってしか満足を得ることができないのであるが、まさに他の人たちも同じものを望んでいるという当の事実が、彼らがそれを獲得することを構造的に阻止しているのである。

非常に説得力のある内容であり、非常に興味深かった。時間があれば、「あと一歩」掘り下げたい内容だ。
なお、リンク先で内田樹さんの顔を初めて見ました。少しイメージが違いました。

*1:「樹」を「たつる」と読むのにはなかなか慣れない