日曜日だけ新聞を買う人の記録。
民力アジア 第一部 自生の経済圏(3) ヒトの回流 多方向に/国境越す労働、成長が刺激(1面)
タイトルの通り、国境を越えた労働者の流れについて、アジア全体を見渡した内容。
- 中国で働くフィリピン人メイド(英語力が売り)
- 台湾で働く日本人の半導体技術者
- ニューヨークから本国に戻ったインド人ビジネスマン(印僑)
- 本国回帰が加速する中国人留学生(一方で、中国に戻らない留学生が増加という声も聞く。理由はライフスタイルを縛る「ひとりっこ政策」)
- シンガポールのコールセンターにフィリピン人を雇うソニー
- 日本以上の少子化に悩み、海外からの単純労働者の受け入れを積極的に行う韓国
- 欧米での博士号取得者に国籍を与える制度を導入したシンガポール
結論は、「成長の糧としてアジアの人材を取り込もう」という攻めの姿勢を強くするアジア各国に対して、日本の消極的姿勢を問題視するもの。
先日、コメント欄でも少し書いたが、3月に見た、NHKスペシャル「介護の人材が逃げていく」の内容が思い出される。
この番組の要旨は、労働環境の余りにも悪い介護の現場から、資格取得者や、介護の仕事に生きがいを感じている人さえも逃げ出している、というもの。後半部で、番組の舞台が出稼ぎ大国であるフィリピン*1に移ったとき、「そうか。つまり、介護の人材は海外に求めざるを得ない、という結論なのだろう」と自分は展開を予測したが、それは裏切られる。
介護人材を求めている国は、日本以外にもあり、条件で劣る日本に行きたがるフィリピン人(取材を受けていたのは専門学校の学生)は、ほとんど存在しなかったのだ。2年間で永住権を得られるカナダなどの人気が非常に高い一方、日本は4年生大学卒しか受け入れない、国内で6ヶ月通学の必要があり、4年以内に専門資格を取る必要がある、など、敷居が高すぎて、むしろ避けられているという印象だった。
これからの人口減少社会を憂えるときに、少子化のみを話題にして、移民について考えないのはおかしい、という批判があるが、それ以上に、介護のような明らかに人不足の部分については、積極的な受け入れ策をまじめに考える必要があるのではないか?
社説(2面)
- 「石原」銀行は早期に幕引きすべきだ
- 金正日氏は高笑いか
奇しくも、岡田斗司夫『世界征服は可能か』の「支配者の4つのタイプ」のうち、「C:自分が大好きで、贅沢が大好きなタイプ」の代表とされた二人の人物が、並んで社説を飾った。『ドラゴンボール』のレッドリボン軍総帥のタイプ。ちなみに、自分も、4つのうちならこれかなあ・・・。
「外食にマイオイル」の怖さ(7面・気流潮流)
- なぜ中国で外食の際に「マイオイル」を持参する人が増えているのか?
⇒下水溝などに溜まった油を抽出した「地溝油」の製造工場がたびたび摘発されるなどの状況にあるから。
- 海外で高まる中国製品への不信感に対して、中国から見ると意外感はない。なぜか?
⇒国内では、以前から悲惨な事故が相次いでいたから。(2003年、粉ミルクの事故で12人が死亡など)
中国国内で、蔓延している利益至上主義の体質は、なかなか改まらない、というまとめ。これが中国人の国民性なのか、途上国という経済の発展の段階における特徴なのか、よくわからないが・・・。
名人伝(13面・遠みち近みち)
中島敦『名人伝』をとりあげ、人生哲学について語られたエッセイだが、枕の部分に目が行った。
中島敦は33歳で早世*2とのこと。
これは、今年自分が33歳のうちに読めということか。『山月記』を読んだ記憶がおぼろげながら残っているが、改めて読んでみよう。
どうなるケータイの未来/仮想と現実を融合(23面・読書・今を読み解く)
ケータイ文化に関する本を多数紹介。
以下メモ。
いのち見つめる科学者の歌(27面・詩歌のこだま)
柳澤桂子歌集『萩』の紹介。
作者は、かつて、分子生物学者として、研究の最前線で仕事をしていた人物。難病を発症以降はエッセイなどの執筆活動を重ねているというが、挙がっている短歌は読みやすく、興味深い。
- マナティーが月を見るとき思うだろう山に登ればあれが取れると
- けものなら死ぬであろうに人ゆえに医学によりて生きて苦しむ
Amazonを検索するとトップで出る、これなんか読んでみたい。般若心経絵本!?
- 作者: 柳澤桂子,堀文子
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2004/09/18
- メディア: 単行本
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進化のカギ「おばあちゃん」/孫の世話で貢献 研究途上の仮説(31面・サイエンス)
注目されている「おばあちゃん仮説」についての特集。
- 一般に「哺乳類の寿命は繁殖能力を失う時期と一致」。例外は、ヒトやコビレゴンドウ。
- 霊長類の中でおばあちゃんが存在するのはヒトだけ。
- こうしたことから、ヒトの長寿命化、人口増加のきっかけが「おばあちゃん」にあるのではないか、とされている。
これは、関連する本を読んでみたいテーマ。
太陽光発電容量「ドイツは急増 日本は伸び悩む」(38面・社会面)
- 2006年のドイツの太陽光発電の発電容量は日本の二倍近く
- 長く世界一位を誇ってきた日本は、05年にドイツに抜かれ二位に転落
- 発電装置の生産量ではシャープがトップだがドイツと中国メーカーが猛追
- 日本の新エネルギー促進法は、目標値が低すぎて機能していない。2020年までにエネルギー消費の20%を再生可能エネルギーでカバーすることを決めた東京都のような取り組みが必要
この話題、自分のブログでも三年前にとりあげていた。日本がまた世界一位だった頃だったのか・・・。
⇒太陽光発電について
結局、技術が高くても世界を引っ張るところに持っていけないのは、日本のお家芸ということか。
エネルギー政策というのは、それこそ業界の力が強くて、政府主導でうまくやることができないのか?