Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

日経概観6/17(日)

日曜日だけ新聞を買う人の記録。

民力アジア 第一部 自生の経済圏(3) ヒトの回流 多方向に/国境越す労働、成長が刺激(1面)

タイトルの通り、国境を越えた労働者の流れについて、アジア全体を見渡した内容。

  • 中国で働くフィリピン人メイド(英語力が売り)
  • 台湾で働く日本人の半導体技術者
  • ニューヨークから本国に戻ったインド人ビジネスマン(印僑
  • 本国回帰が加速する中国人留学生(一方で、中国に戻らない留学生が増加という声も聞く。理由はライフスタイルを縛る「ひとりっこ政策」)
  • シンガポールのコールセンターにフィリピン人を雇うソニー
  • 日本以上の少子化に悩み、海外からの単純労働者の受け入れを積極的に行う韓国
  • 欧米での博士号取得者に国籍を与える制度を導入したシンガポール

結論は、「成長の糧としてアジアの人材を取り込もう」という攻めの姿勢を強くするアジア各国に対して、日本の消極的姿勢を問題視するもの。
先日、コメント欄でも少し書いたが、3月に見た、NHKスペシャル「介護の人材が逃げていく」の内容が思い出される。
この番組の要旨は、労働環境の余りにも悪い介護の現場から、資格取得者や、介護の仕事に生きがいを感じている人さえも逃げ出している、というもの。後半部で、番組の舞台が出稼ぎ大国であるフィリピン*1に移ったとき、「そうか。つまり、介護の人材は海外に求めざるを得ない、という結論なのだろう」と自分は展開を予測したが、それは裏切られる。
介護人材を求めている国は、日本以外にもあり、条件で劣る日本に行きたがるフィリピン人(取材を受けていたのは専門学校の学生)は、ほとんど存在しなかったのだ。2年間で永住権を得られるカナダなどの人気が非常に高い一方、日本は4年生大学卒しか受け入れない、国内で6ヶ月通学の必要があり、4年以内に専門資格を取る必要がある、など、敷居が高すぎて、むしろ避けられているという印象だった。
これからの人口減少社会を憂えるときに、少子化のみを話題にして、移民について考えないのはおかしい、という批判があるが、それ以上に、介護のような明らかに人不足の部分については、積極的な受け入れ策をまじめに考える必要があるのではないか?

社説(2面)

  • 「石原」銀行は早期に幕引きすべきだ
  • 金正日氏は高笑いか

奇しくも、岡田斗司夫『世界征服は可能か』の「支配者の4つのタイプ」のうち、「C:自分が大好きで、贅沢が大好きなタイプ」の代表とされた二人の人物が、並んで社説を飾った。『ドラゴンボール』のレッドリボン軍総帥のタイプ。ちなみに、自分も、4つのうちならこれかなあ・・・。

「外食にマイオイル」の怖さ(7面・気流潮流)

  • なぜ中国で外食の際に「マイオイル」を持参する人が増えているのか?

⇒下水溝などに溜まった油を抽出した「地溝油」の製造工場がたびたび摘発されるなどの状況にあるから。

  • 海外で高まる中国製品への不信感に対して、中国から見ると意外感はない。なぜか?

⇒国内では、以前から悲惨な事故が相次いでいたから。(2003年、粉ミルクの事故で12人が死亡など)
中国国内で、蔓延している利益至上主義の体質は、なかなか改まらない、というまとめ。これが中国人の国民性なのか、途上国という経済の発展の段階における特徴なのか、よくわからないが・・・。

名人伝(13面・遠みち近みち)

中島敦名人伝』をとりあげ、人生哲学について語られたエッセイだが、枕の部分に目が行った。
中島敦は33歳で早世*2とのこと。
これは、今年自分が33歳のうちに読めということか。『山月記』を読んだ記憶がおぼろげながら残っているが、改めて読んでみよう。

どうなるケータイの未来/仮想と現実を融合(23面・読書・今を読み解く)

ケータイ文化に関する本を多数紹介。
以下メモ。

  • 『コミュナルなケータイ』:フィンランドとの比較。日本はバーチャルな情報交換を優先、フィンランドはリアルを補完する道具としてケータイを使用。
  • 『モバイル社会の現状と行方』:著者3名の中に正高信男が入っている、ということで注目。
  • 『ケータイの未来』:ドコモ執行役員執筆の将来戦略
  • 『電話代、払いすぎていませんか』:アスキー新書。

いのち見つめる科学者の歌(27面・詩歌のこだま)

柳澤桂子歌集『萩』の紹介。
作者は、かつて、分子生物学者として、研究の最前線で仕事をしていた人物。難病を発症以降はエッセイなどの執筆活動を重ねているというが、挙がっている短歌は読みやすく、興味深い。

  • マナティーが月を見るとき思うだろう山に登ればあれが取れると
  • けものなら死ぬであろうに人ゆえに医学によりて生きて苦しむ

Amazonを検索するとトップで出る、これなんか読んでみたい。般若心経絵本!?

生きて死ぬ智慧

生きて死ぬ智慧

進化のカギ「おばあちゃん」/孫の世話で貢献 研究途上の仮説(31面・サイエンス)

注目されている「おばあちゃん仮説」についての特集。

  • 一般に「哺乳類の寿命は繁殖能力を失う時期と一致」。例外は、ヒトやコビレゴンドウ。
  • 霊長類の中でおばあちゃんが存在するのはヒトだけ。
  • こうしたことから、ヒトの長寿命化、人口増加のきっかけが「おばあちゃん」にあるのではないか、とされている。

これは、関連する本を読んでみたいテーマ。

太陽光発電容量「ドイツは急増 日本は伸び悩む」(38面・社会面)

  • 2006年のドイツの太陽光発電の発電容量は日本の二倍近く
  • 長く世界一位を誇ってきた日本は、05年にドイツに抜かれ二位に転落
  • 発電装置の生産量ではシャープがトップだがドイツと中国メーカーが猛追
  • 日本の新エネルギー促進法は、目標値が低すぎて機能していない。2020年までにエネルギー消費の20%を再生可能エネルギーでカバーすることを決めた東京都のような取り組みが必要

この話題、自分のブログでも三年前にとりあげていた。日本がまた世界一位だった頃だったのか・・・。
太陽光発電について

結局、技術が高くても世界を引っ張るところに持っていけないのは、日本のお家芸ということか。
エネルギー政策というのは、それこそ業界の力が強くて、政府主導でうまくやることができないのか?

*1:なお、フィリピンは、ホスピタリティの高さが国外で高く評価されている国として有名とのこと。

*2:=夭折。つまり若くして亡くなること。念のために辞書を引いてしまった。